浦和逆襲の鍵は「興梠1トップ固定」と「柏木の位置」 Jを熟知するリトバルスキーが提言

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ヴォルフスブルクのスカウト部長として定期的に視察 8位低迷の現状に「選手に迷いが見える」

 浦和レッズは今季のJ1リーグで開幕8試合を6勝1分1敗と強さを見せつけて首位に立ったが、第9節の大宮アルディージャ戦に0-1で敗れると大失速。

 その後の10試合は3勝1分6敗で8位に転落、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の進退問題にまで発展した。

 15日に行われたドルトムントとの親善試合(2-3)を含めて、浦和の試合を定期的に視察しているヴォルフスブルクのスカウト部長ピエール・リトバルスキー氏は、日本随一のビッグクラブの現状をどのように見つめているのだろうか。

「ドルトムント戦はあくまで親善試合です。レッズも前後半でメンバーを入れ替えていました。それでも、あんな終了間際の失点で負けてしまうのは良くない。前半は良かった。ドルトムントに決定機はなかったし、浦和は球際でも戦っていた。決定機も作っていた。ドルトムントは始動直後で、来日翌日という厳しいコンディションでした。ホームの試合ですから、あの時間帯の失点で負けることは残念です」

 現役時代には西ドイツ代表(当時)の一員として、1990年イタリア・ワールドカップで優勝したリトバルスキー氏は、93年に来日してジェフユナイテッド市原(現・千葉)に加入。日本サッカーを熟知する名手は、ドルトムント戦をこう振り返りながら、現在の浦和のサッカーに対する印象を語り始めた。

「前線のメンバー変更も奏功していない」

「今の監督(ペトロヴィッチ監督)が来てから、3バックのシステムが確立していますね。全体的にはパス能力、ゲームを組み立てるクオリティー、決定機を創出する能力はすごく高い。しかし、今季はディフェンスが良くない。失点が増えていますね。DFが不安定で、選手には迷いが見えます。

 浦和の試合を見る時、これまではチームに漂う自信を感じました。失点をしても、『逆転できるんだ』という雰囲気を漂わせていたんです。今もゴールこそ決め続けていますが、あまりに失点が多すぎる。ミスによる安易な失点も目立ちますし、落としてはいけない相手に試合を落としている。特にホーム戦です。浦和はホームでの強さが、今は影を潜めていますね。100%のチームバランスではないように見えます。守備は何よりも修正しなければいけないでしょう」

 リトバルスキー氏はリーグトップの得点力をもってしても、補填し切れない不安定な守備陣を問題視。その目には、浦和イレブンが漂わせる迷いが見て取れるという。そして現状の改善に向けて、次のように提言した。

「前線のメンバー変更も奏功していないように思います。なぜ興梠は1トップに固定されないのか。リオデジャネイロ五輪でも見ましたが、前線でのポストプレー、動き出しは抜群です。8番のブラジル人選手(ラファエル・シルバ)が入ることも多いですが、興梠の時もあります。ドルトムント戦でも素晴らしいフィニッシュを見せていました。8番が2列目に下がれば、前を向いた状態でプレーできる機会が増えます。個人的には興梠の1トップ、8番の2列目が理想的な並びだと思います」

「柏木が前線近くでボールを受ければ…」

 リトバルスキー氏はヴォルフスブルクのスカウト部長として、昨夏のリオ五輪での手倉森ジャパンの試合も視察している。オーバーエイジ枠で参戦した浦和FW興梠慎三のクオリティーもチェック済みのようだ。

 そして今後の浦和逆襲に向けたキーマンは、背番号10だという。

「浦和でキープレーヤーになるのは、中盤では柏木でしょう。彼はこのチームで、いわゆる攻撃面で“違い”を作らなければいけない選手です。ドルトムント戦では、イメージよりも運動量豊富で球際で頑張っていました。彼の問題は、どのポジションでボールを受けるか。そして、いかにボールを受けるか、というところでしょう。

 彼にはラストパスのクオリティーがありますが、あまりにも自陣の低いポジションでボールを受けても相手にダメージを与えることはできません。前線と近い位置で良い形でボールを呼び込むことができるか、そこがテーマです」

 リトバルスキー氏はMF柏木陽介のパサーとしての能力を評価する一方、敵陣の高い位置でのキーパスの数を増やすことを求めていた。リーグ8位に沈む浦和は後半戦に向けて顕在化した課題を修正し、浮上のきっかけをつかむことができるのか。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images