暑い夏の日は、発汗などによって体内が脱水気味になり、血中濃度が上がり尿酸値も高くなる。尿酸とは、体内でプリン体が分解されてできた老廃物。ビタミンCを上回る強い抗酸化作用があり、酸化ストレスから組織を守る有益な作用を持つと言われる。
 しかし、血中濃度が「7mg/dl」を超えると結晶になり、その結晶が関節などにたまって激痛を引き起こす。これが「痛風」だ。

 日本痛風・核酸代謝学会では、尿酸値が“7”を超えている場合は「高尿酸血症」としているが、そのすべてが痛風発作を起こすわけではない。
 「患者さんの中には、発作が起こっていないものの、尿酸値が高い人もたくさんいます。日本では、痛風患者が約100万人、無症候性高尿酸血症は500万人いると推計されている。私の知り合いの方も、18年前に初めて高い尿酸値が原因の尿管結石で、激痛発作に見舞われました。以来、ずっと尿酸値を下げる薬を飲んでいましたが、放置していたツケがきて入院治療が必要となったのです。こうした体験から、その方は日頃から尿酸値の定期検査を受けています」(学会医療機関者)
 この患者は、高い尿酸値による結石形成だけでなく、動脈の石灰化の恐れもあったため、尿酸値のコントロールのために酒もやめ、現在は体調も良好だという。

 今年は梅雨の季節が短く猛暑が続くという。熱中症を防ぐためには水分摂取が必要だが、痛風患者は脱水すると再発しやすいため、いつもより水分補給をしっかりしなければならない。
 また、夏が過ぎ秋になりかける時期も、再発に十分気を付けるべきだという。
 東京・大田区で総合医療クリニックを開く医学博士・久富茂樹院長はこう言う。
 「理由は二つ。一つは、猛暑の夏に比べると、涼しさが増す秋は水分の補給がガクンと減ることにあります。これで血液中の尿酸濃度を薄める効果のある水分が減ってしまい、尿酸が出やすく、固まって結晶化しやすくなる。痛風持ちの人は、1日約2リットルの水分を摂るように指導していますが、暑さが和らぐと、どうしても水分飲料が減り、痛風が出やすい環境が生じてしまう。これに冬場の寒さが加われば、なおさらなこと。足の親指(関節部分)に最も痛風が発症しやすいのは、心臓から最も遠いところにあり、体で一番冷たい部位の一つだからです。長く放置していると足に限らず、体のあちこちの関節に尿酸の結晶体がたまり、痛風が起きやすくなってしまうのです」

 だが、中高年の高尿酸血症で注意しなければならないのは、痛風や結石だけではない。
 心血管疾患の発症にも大きく関係しているという報告が欧米に多くあるうえ、高尿酸血症の人の死亡原因の第1位は、心筋梗塞などの心血管疾患というデータも存在するのだ。
 もともと尿酸値が高い人は、高血圧、肥満、高脂血症、糖尿病などを合併しているケースが多く、それが心血管疾患が増える大きな要因だと考えられている。いずれも動脈硬化を促進させる大きなリスク因子で、動脈硬化は心筋梗塞、狭心症、弁膜症、大動脈瘤などの心臓病を引き起こす要因になると言われる。
 高血圧学会では、日本人は尿酸値が“1”上昇するごとに、男性で18%、女性で25%が高血圧を合併しやすくなるとの発表もあり、男性は7.5以上、女性では6.3以上の場合、心血管症の発症が増えるという報告もある。
 やはり尿酸値が高いまま放置しておくのは、リスクも高いと考えていいのではないだろうか。

 では、そもそも尿酸値が高くなりやすいタイプとはどんな人か。痛風に詳しい健康ジャーナリストの泉准也氏はこう語る。
 「痛風学会などのガイドラインでは肥満の人が多いのですが、他にストレス、飲酒などの生活習慣が乱れがちな人も多い。高尿酸化の代表格であるプリン体や脂質の高い食品を摂り続けると痛風へ一直線です。食品別でいうと肉類では豚、牛、鶏のレバー。魚介類ではカツオ、マイワシ、大正エビ。ほかに、かつお節、煮干し、干し椎茸などがそれにあたります。ただ、あまり神経質になると何も食べられなくなってしまう。連続して多くを食べない心掛けをするということです」