深キョンのブランド力は高まり続けるーー『ハロー張りネズミ』“まぶい”役柄に注目

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 軽快なバディドラマに、ヒロインが加わればますますドラマティックなムードが加速するのは映像作品では定番である。大手リサーチ事務所から、面倒な案件を進んで引き受ける「あかつか探偵事務所」を勧められた四俵蘭子(深田恭子)が、事務所を訪れたところで幕を下ろした先週の『ハロー張りネズミ』第1話。

参考:瑛太×森田剛のバディから目が離せない 『ハロー張りネズミ』第1話レビュー

 21日に放送された第2話では、“人情”と“お節介”をモットーにしたこの探偵たちの物語が本格的に動き出した。25年前に貿易会社の副社長だった父親の死の真相を究明してもらいたいと、東武東上線の各駅停車に揺られて「あかつか探偵事務所」を訪れた蘭子。悪い予感を感じ取った所長のかほる(山口智子)が一旦は断るものの、蘭子の美貌に心奪われた七瀬五郎(瑛太)は、その依頼を引き受けることに決める。

 ところがそこには貿易会社内の派閥争いと大物政治家がらみの贈収賄事件が隠されていたのだ。さながら前クールの日曜劇場『小さな巨人』(TBS系)にも似た、因縁渦巻くサスペンスフルなムードが漂い始める。先週の第1話では痛快な人情コメディの様相を呈していたというのに、180度空気が変わってしまうのだから興味が尽きない。

 何といっても、深田恭子演じる蘭子の魅力が今後の本作の見どころのひとつであろう。ほんわかとした空気を漂わせながらも、何か裏がありそうなミステリアスな依頼人。案の定、瑛太演じる五郎は出会った瞬間に彼女にときめいてしまうし、事件のカギを握るリリー・フランキー演じる南も、「まぶい」と呟いて見つめてしまうほどだ。

 ちょうど今年で女優デビュー20年を迎えた深田恭子は、ここ最近急激にその魅力に磨きがかかってきた印象を受ける。昨年の『ダメな私に恋してください』(TBS系)でのアラサー非モテ女子に続き、今年1月クールの『下剋上受験』(TBS系)での元ギャルで楽天的な母親役。そこに来て今回のミステリアスな女ときたら、ますます“深キョン”というブランド力は高まり続けるのは当然のことだ。

 先日行われた本ドラマの試写会の場で、演出を務める大根仁が「隙があるのかないのか読めないところがすごく素敵」と褒めちぎる一幕があった。大根といえば、女優を美しく撮ることに長けた演出家の一人であることは言うまでもない。そんな彼が深田持ち前の魅力にお墨付きを与えた以上、今後の劇中で彼女の魅力が最大限まで引き出されていくと期待してもいいだろう。

 さて、ドラマの内容のほうに話を戻すと、今回の案件は次回までまたがって描き出される。実に濃密すぎて、2話分も時間が取ってあるとは思えないほどの急展開が続くだけに、第3話の前にもう一度第2話を見返してみる必要がありそうだ。

 現場検証の写真からダイイングメッセージを見つけ出した五郎、蘭子に疑念を抱き始めた所長に、当時を知る関係者と接触したグレ(森田剛)。そして電話の向こうの南の事務所で突然起こる爆発。思わず唖然としてしまったこの結末のおかげで、早く続きが観たいという連ドラ特有のジレンマが最高潮に達してしまったではないか。

■久保田和馬映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。