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遺言の正しい作り方を普及しているNPO法人「遺言・相続リーガルネットワーク」が、遺言にまつわるショートムービー「ラスト・メッセージ〜家族に残す最期の言葉〜」を作成した。元モーニング娘。の小川麻琴さんらが出演し、今秋ごろからセミナーなどで上映していく。

ショートムービーでは、祖父が自分で書いた遺言が法的には効力のないものだったと判明し、正しい遺言の書き方について学ぶストーリーとなっている。同法人事務局の岩月泰頼弁護士と川健一郎弁護士に、遺言をめぐるトラブルについて聞いた。

●残された家族は、親の財産探しに一番時間がかかる

残された家族にとって一番時間がかかるのは、親御さんの財産探しの作業です。何も残されていないと、預貯金口座の数も分からず手探りで調査します。探す作業だけでも数か月かかり、同居していなかったり、仲が悪かったりした場合は、より一層難しくなります。最近流行っている「エンディングノート」は、遺言にはなりえません。ただ、財産などについて書き込まれていれば、その後スムーズに遺産相続が進むことが多いです。

●自筆遺言だと、遺言自体の真偽をめぐって揉めやすい

遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。自筆の場合は偽造される可能性も高く、形式的不備により無効になる危険性が高いです。また、開封する際は家庭裁判所に提出し、「検認」の手続きを行う必要があります。さらに、内容を見て「無理やり書かせたんじゃないか」、「父は少し認知症の症状があった」などと遺言自体の真偽をめぐって兄弟間で争いやすいのです。一方、公正証書遺言は公証役場で公証人に作成してもらいますので、紛失や偽造の心配もありません。

●相続の紛争は10~20年にも渡り、孫の代まで続くことも

「兄弟は仲良いから大丈夫だよ」と思われる親御さんも多いのですが、実際、遺産を巡ってはいざこざが発生しやすい。「継ぎたくない家業を継いだじゃないか」、「兄貴は家の頭金を出してもらったじゃないか、ずるい」と喧嘩も始まります。相続の紛争は10~20年かかることもあり、結局子どもだけでは終わらず、孫の代まで続くこともあります。

弁護士まで相談に来られる際には、すでに兄弟間で激しく揉めているケースがほとんどです。また世帯ができると、配偶者の意向もかなり影響してきますね。調停では、配偶者が待合室にいたり、許可を得て調停に同席したりと、キーマンともなってくることも多いです。

●遺言の「付言事項」で、最後のメッセージを自由に残す

公正証書遺言では、付言事項として最後に自由にコメントが書けます。ここがすごく重要なので、これまで携わってきた遺言については(十何通)ほぼ100%書いています。メッセージがあるかどうかで、「親父がきちんと考えて決めたことなんだ」と納得してもらえます。

内容の例は、「誰々へ、これはお父さんはこういう気持ちで書いた。お前たちと親としてどこまでできたかわからないが、生まれてきてくれてありがとう。この遺言を尊重してお前たちがこの先ずっと仲良くいてくれることを天国から見守っています」といったものです。それを大体2ページに渡って書いてもらいます。

財産分けだけ書かれていても、遺言は無機質になってしまいます。残された家族は「なぜこういう風に分けたのか」と理由が分からずに、不信感が溜まることもあります。それを緩和するために「なぜこのような遺言になったのか」ということを、その人の言葉で書いてもらっています。

預貯金や株式など何か資産がある方は、作った方が残された家族のためにもなります。ただ子供から親に働きかけるのは、よほどざっくばらんな関係でない限りなかなか難しいですよね。本人が遺言を書く気になるかどうかが一番です。

(弁護士ドットコムニュース)