「自己啓発セミナー」に騙された人々――30万円も出費したのに売上ダウンした飲食店経営者の場合

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「あなたも成功できる!」「引き寄せる」などの心地よい言葉が並ぶせいか、騙される人が一向に減る気配のない自己啓発セミナー。なぜ、人々はそこに引っかかり続けるのか? そこで起きた最新の“事件簿”を追った。

◆まともなモノを見つけるほうが難しいこの世界!

 長谷川輝さん(仮名・45歳)は「小学4年から天才脳をつくる」というセミナーに参加した。某学習塾が主催しているが、成人も参加可能で、開始してすぐ東大出身の講師が「ここは自己啓発セミナーです」と堂々宣言した。

「『天才脳のもとは自己肯定感。子供の成績を上げることが目的でなく、生まれてきた目的を知り、最高の人生を歩んでいくこと』が趣旨だというんです」

 携帯の電磁波の話や、引き寄せの法則で、はやりの量子力学の解説。やがて「宇宙エネルギー」に移り、言葉も意識も時空間も素粒子、だから言葉がすべてを作るんだ!という結論に。そして「自己否定が自己実現を妨げる」とし、講師が「わたし大好き! よくやってるね! えらいね!」と叫び、「自分に感謝」と3回唱和させられたという。どう考えても子供には悪影響がありそうだ……。

◆セミナー仲間が溜まる店になり逆に売り上げダウン

 大阪で飲食店を経営する清川義弘さん(仮名・56歳)。欧州で長年修業し、創業以来無借金で経営するやり手のシェフだった。常連から「必ず売り上げアップに繋がる」と誘いを受け、自営業者限定のセミナーに参加した。

「いわゆる自己完結型の“意識高い系”の人が集まる場所で、入会金に20万円、毎週の会合代を含めて年間30万円近くの出費でした」

 内容は“あなたは必ずできる”と暗示をかけるように繰り返し、セミナー参加者で助け合っていこうというものだった。それにより当初、売り上げは若干の向上を見せたが、徐々に下落していく。

「セミナーの参加者が団体でお店に来て、大声で通話したり、我がもの顔でパソコン作業したりマナーが悪かった。すると、常連客が嫌がり始めたんです。さらに彼らはケチで、ディナーで1000円前後しか使わないのに、何時間も粘る。結果的に、お店は閑古鳥が鳴くレベルで売り上げが落ちた」

 金額にすると月間20万円前後。

「最後に、『ギヴァーズ・ゲイン』(与えれば得られる)と全員で唱和するんですが、自分のように腕一本でやってきた人間にとって、助け合いは甘美な響きでした」

 結局、清川さんは参加者がセミナーの名前を印刷した焼酎ボトルをお店で販売しようというふざけた提案をしたことで目が覚めたという。現在、どん底状態からは抜けたというが、常連客の足は遠のいたままだ。

※写真はイメージです
― [自己啓発セミナー]に騙された! ―