昨季の終盤から、原口元気の周辺は騒がしかった。2018年まであるヘルタ・ベルリンとの契約を延長するのか、しないのか。クラブ幹部がメディアに状況を説明しなければならないほど、現地でも注目の的だった。そのことがパル・ダルダイ監督の選手起用にまで影響したと言われている。


移籍説が流れるなか、ヘルタに合流した原口元気

 原口が契約延長のサインをしないことから、移籍先の具体的なチーム名も飛び出していた。プレミアリーグに昇格を果たしたイングランドのブライトンからオファーがあったという話は、キッカー誌などでも報じられた。それはドイツ国内で信用のおける情報として扱われていたということを意味する。一時期までは、あとは最終調整だけとも言われていた。

 原口本人は、すでに2015〜16シーズンの終盤から移籍希望を公言していた。自分の望むポジション、つまりゴールゲッターとしてプレーするのはヘルタでは難しい。また、自信がついてきたことから、もう少し上のレベル、特に欧州の舞台(チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ)でプレーしてみたい、というのがその理由だった。それはある意味で当然の希望のように思われた。

 だが結局、原口は7月のチーム始動から少し遅れてヘルタに合流した。15日、16日と2日連続で行なわれた練習試合では45分ずつの出場で、両試合ともに右サイドバックでプレーした。原口の主戦場だった右MFには指揮官の息子が入るという、なんともやるせない状況だ。キッカー誌によれば、ヘルタのミヒャエル・プレーツSD(スポーツディレクター)は「原口にもう一度契約延長をオファーすることはない」と話しているという。

 こうした状況について原口本人に聞けば、移籍を含むあらゆる可能性に備えつつ、「まずはヘルタで全力を尽くす」とのことだ。

「今は全然、難しい状況ではないです。昨シーズンの終盤、契約延長のプレッシャーをかけられていたときの方が、メンタル的にも難しかった。それはいったんは断りました。今はお互いにリスペクトして、そういうプレッシャーはかけないでいてくれている。僕としても何かあれば動く可能性はあるけれど、でも、『ここでやっていることでは手を抜かないから』ということを、ちゃんと伝えてやっています」

 移籍の可能性を残しながら、ヘルタでの練習に集中するというのは、難しそうにも思えるが、原口にとってはさほど問題ではないようだ。

「とりあえず延長の話はしないでいてくれています。とはいえ、契約の話なんていつでもできるんでね」

 現状はお互いに納得して、落ち着いているようだが、それは、いつまた昨季末のようになるかわからないということでもある。一方で、はたから見れば、契約延長を求められるのは光栄なことのように思える。だがそんな話を振っても、原口は苦笑いをするばかりだ。

 欧州の移籍ウィンドウは8月31日まで開いている。だが、原口はそれより少々早めの時期をデッドラインに設定している。

「開幕までに決まらなかったら、ヘルタに残ります」

 ブンデスリーガの開幕は8月18日、その1週間前にはドイツ杯も始まるから、その頃を想定しているのだろう。もちろん、その先にも何が起こるかわからないのがこの世界ではあるが。

 決して強豪とはいえないヘルタにあっては、原口は持ち前の運動量を守備面で生かすことを求められることが多い。ゴールゲッターの仕事ができない、納得のいかない状況が続くのは気の毒ではあるが、それをこの1年で、自らが望む状況に持っていくのもひとつのやり方だろう。

 今季、ヘルタはヨーロッパリーグに出場することが決まっている。いつもとレベルもサッカーのスタイルも違う相手との対戦は、原口にとっても刺激的なはずだ。そこで活躍することができれば、それはもちろんワールドカップにもつながるに違いない。もし今季、ヘルタでプレーすることになったとしても、決して悲観することはない。

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