携帯会社の動きはこれからどうなる(画像はイメージ)

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KDDI(au)は2017年7月14日、スマートフォン(スマホ)の主要料金プランを最大3割引き下げた。勢力を拡大する「格安スマホ」への流出を防ぐためだ。KDDIの新プランが引き金となり、NTTドコモ、ソフトバンク(SB)を巻き込んだ携帯料金引き下げ競争が起きる可能性もある。

新プランは「auピタットプラン」と「auフラットプラン」の2種類。いずれも端末代金の割引をなくす代わりに、通信料金を従来プランに比べて2〜3割程度引き下げた。

思い切った値下げに踏み切る

「ピタットプラン」はデータ利用料に合わせて5段階の定額料金が自動的に適用される分かりやすい仕組みだ。例えば1か月のデータ使用量が1ギガバイト(GB)以内で、5分以内の国内通話がかけ放題の場合は月3480円。固定通信とのセット割引「スマートバリュー」500円と、新規契約・機種変更時に適用される期間限定割引「ビッグニュースキャンペーン」1000円を加味すると、月1980円という格安スマホ並みの価格になる。ネットをほぼ使わないなら、この金額に収まる可能性が高い。

チャットやSNSがメインで、動画や音楽も時々視聴という3GB以内なら3480円(キャンペーン適用後)、ゲーム、音楽、映画などをみっちり利用する5GB超〜20GBなら5480円(同)となる。

一方、「フラットプラン」は国内通話5分以内かけ放題を含める場合、20GBなら6500円、30GBなら8500円となる。各種キャンペーンを適用すると、20GB4500円、30GB6500円まで下がる。ただし、米アップルiPhoneの購入を伴う新規契約、機種変更時には二つの新プランに加入できない。

ここまで思い切った値下げに踏み切るのは、伸張する「格安スマホ」に客を奪われないためだ。総務省によると、2017年3月末時点の移動系通信の契約数における事業者別シェアは、大手から回線を借り、格安SIMなどを提供している事業者(MVNO)が9.4%と3か月前に比べて0.5ポイント、前年同期比で1.6ポイント増えた。「10%超え」は時間の問題だ。

一歩抜け出た感

一方、大手3社はNTTドコモ39%、KDDI26.8%、ソフトバンクグループ24%で、いずれも横ばいまたは微減。KDDIは同じグループに格安の「UQモバイル」などを展開するUQコミュニケーションズを抱えるが、現状ではUQへの流入よりも、KDDI本体からの流出の方が深刻とみているようだ。

単純な価格比較だけなら「格安スマホ」に分があるが、大手ならではのサービス、安心感を考慮すると、新プランは競争力があるといえそうだ。

次の注目は、ドコモやソフトバンクがどう動くかだ。これまで大手3社は、おおむね似たような料金水準だったが、今回のKDDIは一歩抜け出た感がある。KDDIに触発され、残る2社が新たなプランで対抗すれば、スマホ利用者全体に恩恵が波及することになる。