アリペイの新アプリは、個人情報を悪用して中国の格差を広げている

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著:Oiwan Lam 翻訳:Ko Ito

 中国最大のオンライン決済システムである「アリペイ(支付宝)」は、先週の11月24日に新しいSNS機能「サークルズ」を発表した。このSNSの特徴は、ユーザーのオンライン活動を追跡し、身元情報、社会的地位、オンラインでの支払い記録に基づき、セサミと呼ばれる信用ポイントをつけることである。

 アリペイは、イーコマースの巨人アリババの子会社、アント・ファイナンシャル・サービス・グループが運営しており、4億5千万ユーザーを抱えている。この新しいSNSアプリには、サークルと呼ばれる趣味、消費性向、学歴、職歴などに基づくユーザーグループがあり、現在およそ100サークルある。

 たとえば、ペットフードや金融投資商品をネットで購入し、特定のオンラインゲームを頻繁にプレイするプログラマが、アリババ関連アプリに本名や個人情報を登録している場合は、IT専門家、ペット好き、金融投資家、オンラインゲームなどのサークルに招待される。

 サークルごとに入会条件が決められており、国営メディアや一般のネット住民は、エリートでないユーザーを入会させないルールについて非難している。このアプリは、かなり下品な方法で社会的格差を称賛しているように見受けられる場合もある。

 問題になったサークルは、「キャンパス日記」と「ホワイトカラー日記」で、どちらも国営メディアに目をつけられ、11月29日に閉鎖させられた。

 両サークルの入会条件は次のようなものだった。

1.女性しか投稿できない
2.男性は、読む、いいねをつける、(アリペイで)チップを払うことしかできない
3.750セサミ以上を持つ男性は、記事にコメントもできる

 以下は、男性の覗き見を誘うかのような、ホワイトカラー日記のウェルカム・メッセージである。

 「ようこそ、ホワイトカラー日記へ!ここでは、ホワイトカラーの女性しか投稿できません。仕事のことを話したり、日常の写真を投稿したりしてね。男性は投稿はできないけど、「いいね」やチップはOK。かわいい子を見つけよう!」

 男性からチップをもらうため、女性は彼氏募集のメッセージをつけたセクシー写真を投稿するようになった。

 この2つのサークルは、案の定すぐに公序良俗を乱すサービスに指定され、ネット市民はこのアプリをアリピンプ(ピンプは売春斡旋の意味)と呼ぶようになった。男性が高額なチップを払い、セサミポイント得るというルールは、中国の金持ち男性と一般女性間の金と力の不均衡をあらわにした。

 ツイッターユーザーの@straighteaは次のように指摘している。

 「アリペイのサークルは、ひどいアプリで話にならない。これは、社会的ステータス自慢や女性の商品化が前提になっており、ユーザーから批判されるのも当然だ。アリペイは、いくらSNS事業に進出したくても、恥知らずと後ろ指を指されたくなかったらもっとマシな手段を選ぶべきだ。」

 国営チャネルのCCTVも、すぐにこの考えを批判し、11月28日の放送で、これらサークルのルールは猥褻かつ道徳規範を乱していると指摘した。

 同日、アント・ファイナンシャル・サービス・グループの広報担当者は、謝罪し、ネットコミュニティの規範を犯している投稿とユーザーをすべて削除すると述べた。そして2つのサークルは、次の日に閉鎖された。

◆個人情報についての問題
 2つのサークル閉鎖後も、この新しいSNS自体が持つ問題は残る。つまり、ユーザーのオンラインショッピングや金融取引の履歴等のビッグデータが悪用される可能性があるからだ。たとえば、アリペイでの購入商品を公開する機能がある。これは、ユーザーのプライバシーを侵害し、裕福自慢の風潮や中国に広がる格差を助長することにもなりかねない。

 アリペイはWeiboで謝罪文を掲載したが、それに対するコメントを見ると、ユーザーの経済状態がサークルの入会条件になっていることに多くの人が憤慨している。

 「オンライン支払い機能を、SNS機能とは紐づかないようにしてほしい。」

 「他人が私の貯金や支払いを見る必要はない。私自身を見て欲しい。」

 「サークル機能自体はいいけど、支払い機能とは別のアプリとして開発してほしい。アカウントも別にしてほしい。」

 「顧客情報を自由にできるからSNSでそれらを活用して、さらに情報を増やしたいのだろう。でも、銀行がSNS事業をしますか?自分の立場をわきまえて支払いサービスに徹しましょう。SNSという武器は放棄しなさい。」

 「SNSから撤退せよ。お金の使い方は個人情報です。自分のアリペイでの購買記録が、SNS経由で他人に漏れることが心配でなりません。」

This article was originally published on Global Voices. Read the original article.