犬の避妊手術について

女の子の犬を飼うと、私達飼い主が考えないといけないことがあります。
それは、「避妊手術をするかしないか」という選択です。
愛犬に子供を産ませる予定が無いなら、病気の予防の為に避妊手術をすることを病院ではすすめますが、病気の予防の為に健康な子のお腹をきるのは可哀想と思う飼い主さんも多いと思います。実際私も自分の子の避妊手術の時にすごく悩みました。
痛みが少しでも緩和させるよう手術の時は痛み止めを注射しますが、お腹を切る手術なので全く痛みが無いとは言えません。それに避妊手術のデメリットもあります。ですが避妊手術をしないと起こる病気もあり、そのせいで亡くなる子も年間何頭もいるのです。

子宮蓄膿症や乳腺腫瘍

避妊手術で子宮をとっていない子によく起こる病気が、子宮に膿が溜まる子宮蓄膿症です。
若い犬でも起こりますが、高齢のワンちゃんによく起こる病気です。何度も発情出血を繰り返していると高齢やストレスなどで免疫力が下がり、細菌感染を起こしやすくなり子宮に膿が溜まることがあります。
よくある症状として、

食欲元気がなくなる嘔吐を繰り返す熱がでるたくさん水を飲みおしっこをたくさんするお腹が張ってくる陰部から出血または赤黒い膿みたいなものが出てくる(出ない場合もあります)

高齢で未避妊でこの症状が出た場合、先生はまず子宮蓄膿症を疑いエコー検査や血液検査を行います。
検査から子宮蓄膿症と判れば、状態が悪くても手術をする必要があります。海外薬で注射で膿を出す治療方もありますが、それでは間に合わず緊急で手術になることも多い病気です。

高齢の犬でなおかつ状態の悪いまますぐに手術になるので、麻酔に耐えられず手術中に亡くなってしまう子や、お腹の中で子宮が破れ、膿がお腹全体に広がり手のつけようがなく、亡くなった子もいました。無事に手術が終わっても、回復することなく家に帰ることが出来ないまま病院で亡くなった子もいました。
その時に思うのは、元気なうちに避妊手術をしておけば、こんなことにはならなかったのにと考えてしまいます。
全ての女の子の犬がなる病気ではありません。
ただ、すごく多い病気であり、避妊手術で子宮を摘出していれば防げる病気です。
子宮蓄膿症以外にも避妊手術をしていない子は、乳腺腫瘍が出来やすくなります。乳腺腫瘍については早期に避妊手術をすれば、乳腺腫瘍の発生率はかなり低くなります。
乳腺腫瘍で悪性だった場合、治療が遅れれば付近のリンパ節や肺などに転移しやすく、早期に見つかったとしても高齢で心臓や腎臓が悪く手術が出来なかった子もいました。

避妊手術のデメリット

避妊手術をしなかった場合の病気について書きましたが、避妊手術にはデメリットもあります。
一番のデメリットで多いのは、太りやすくなることです。
女性ホルモンが避妊手術をすることによって出なくなる為、避妊手術前と同じ食事をしていると太りやすくなる傾向があります。それに避妊手術後は、好き嫌いが多く食べむらがあった子がよく食べるようになったといわれることもよくあります。確かに避妊手術後は、ほとんどの子が太ってしまい、悩んでいる飼い主さんも多いです。
他には、毛質の変化や尿失禁を繰り返す子もいます。また、手術の事故も起こることもあります。
私は経験がありませんが、麻酔薬のアレルギーや突然不整脈が起ったり出血が止まらなかったりと、何があるか予測出来ません。
そんな事故が起こらないよう病院では、手術中は細心の注意を払い緊張感をもって行いますが、100%安全とはいえません。

まとめ

今まで動物病院で働いてきて、避妊手術をしていれば助かった命を何件かみてきました。
後悔して泣いている飼い主さんをみるのは辛いですが、後悔して泣いても失った命はかえってきません。
それにうまく手術が成功しても、手術後はぐったりとして回復するまで入院することになります。
お金も時間もかかり、愛犬の負担も大きくなります。若いうちに避妊手術していれば、次の日にはご飯やお水も飲んで歩いて帰って行きます。数日でいつもの生活に戻れます。
私達はどうしても病気の犬をみるので、こうなる前に予防を・・・と考えてしまいます。
元気な子の体にメスを入れることを、不安に思う気持ちもよく解ります。実際に手術のデメリットもあります。
もし、今手術について悩んでいる飼い主さんがいれば、一度かかりつけの動物病院に相談してみて下さい。
愛犬をずっと健康で長生きさせる為にはどうしたらいいのか、しっかり考えて最善の選択をしてほしいと思います。