ネットで実際に拡散された、迷い猫の情報を求める貼り紙の画像。確かに「320万元相当の住宅」と書かれている(蘇州新聞)

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 経済成長に伴い、ペットブームを迎えている中国だが、またとんでもない騒動が起きた。大富豪が、行方不明となったペットのために多額の懸賞金をかけ、大きなニュースになっているのだ。

「蘇州新聞」(7月11日付)によると、蘇州市内に、自宅から逃げ出してしまった飼い猫の情報を求める貼り紙が多数貼られているのをネットユーザーが発見。中国でも迷い猫や犬の情報を求める貼り紙は珍しくないが、今回は発見者に320万元(約5,120万円)相当の住宅を提供するという内容だったため、SNS上ですぐに拡散した。

 貼り紙には「我が家の猫は家族の一員です。家族の幸せの中心には、いつもペットの猫がいました。どうか、写真の猫を見かけた方は情報を提供してください。有力な情報提供者には、320万元相当の住宅を提供いたします」と書かれている。また、問い合わせ先として、電話番号とSNSも明記されていた。

 地元メディアはこの飼い主に取材を申し込むため、貼り紙に書かれた電話番号に連絡を試みたが、誰も電話には出なかったという。ネットユーザーの中にも、飼い主に連絡を試みた者がいたようだが、やはり連絡が取れず、ネット掲示板などには「脱走したペットの情報が欲しくて、ウソの懸賞金を掲げたのではないか」「『逆に懸賞金欲しさに、ウソの情報を提供する輩が後を絶たず、飼い主が仕方なしに連絡を遮断したのかもしれない」など、現在もさまざまなウワサが飛び交っており、事の真相は明らかになっていない。

 今回のように、中国では行方不明となったペットに多額の懸賞金をかける富豪のニュースは珍しくない。「今日頭条」(7月5日付)は、中国富豪ランキング1位の大連万達集団(ワンダ・グループ)の御曹司・王思聡氏がSNSで公開した愛犬に関する投稿について報じている。王氏の飼っているハスキー犬が自宅から逃げ出してしまったのだが、SNS上に「発見者には100万元(約1,600万円)の懸賞金を提供する」と発表したのだ。SNS上には「仕事を辞めて富裕層専門のペット捜索業をやろうかな」「俺がいなくなったって、こんな大金かけて探してくれる人いない。富豪の家のペットにでもなりたい!」など、新たなビジネスチャンスと見るネットユーザーがいる一方で、ペットをうらやむ声も多く寄せられた。

 一方で、新たな犯罪の出現を危惧するのは、上海駐在の大手紙記者だ。

「これだけ懸賞金がつり上がると、それ目的でのペット誘拐が必ず出てきますよ。現在では希少な高級犬を転売目的で盗む犯罪者がいますが、今後は飼い主に“買い戻してもらう”ビジネスモデルになるかもしれません。2015年9月には、蘇州市で愛犬を盗まれた女性が犯人の要求に応じて1万元(約16万円)で買い戻した事件も起きています。買い戻す価格が数百〜数千万円ともなれば、立派な誘拐ビジネスが成立する」

 中国ではよく、生まれる場所によってその後の人生が大きく変わるといわれるが、ペットたちも同様のようだ。
(取材・文=青山大樹)