香港で開かれた劉暁波氏の追悼集会に参加する人々(2017年7月15日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】中国本土では政治活動がかつてなく抑圧され、香港(Hong Kong)では民主化勢力が脅威にさらされる中、獄中でノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞した民主活動家、劉暁波(Liu Xiaobo)氏の死によって中国の反体制運動は重要なリーダーを失った。

 2009年に中国の政治改革を求める「08憲章」を起草、流布したとして投獄されて以降、劉氏の声が世界に届くことはなかったが、同氏は中国の民主化運動と、共産党一党独裁への反対派に強力な影響を与え続けた。

 収監されていた劉氏が13日に末期の肝臓がんで死亡すると、習近平(Xi Jinping)国家主席率いる政権下で無情な抑圧にさらされている反体制派の間には、怒りと失望が湧き起こると同時に、絶望感も広がった。

「中国当局が人の生と死をいとも簡単に操ることができるとなれば、人々は闘うことをいっそう恐れてしまう」と、活動家のス・ユートン(Su Yutong)氏は言う。同氏はNGOでの活動をめぐって度々拘束され、尋問を受け、その後ドイツに逃れた。「人々は、ノーベル平和賞受賞者でさえ獄中死する可能性があることを知ったのだ」

 劉氏の支持者たちも当局から標的にされる恐れがある。特に劉氏の妻の劉霞(Liu Xia)氏は2010年以降、自宅軟禁の状態が続いている。

 香港中文大学(Chinese University of Hong Kong)のウィリー・ラム(Willy Lam)教授(政治学)によると、劉氏の友人の多くはすでに24時間監視されているといい、反体制派周辺は全体的に「かなり士気が落ちている」という。

 人権派弁護士で米プリンストン大学(Princeton University)客員研究員の滕彪(Teng Biao)氏は、中国政府と良好な関係を維持したいという各国政府の思惑の方が、国際社会からの支援を上回っていることも大きな打撃だと指摘する。「欧米社会が中国を怒らせることを避けたがるならば、希望はない」と滕氏はAFPに語った。

■香港民主派への影響

 劉氏の死は、特別行政区として半自治権を有している香港にも大きな悲しみをもたらした。香港の民主化勢力も、ますます強引さを増す中国政府との闘いを強いられている。

 劉氏が死亡した翌日には、香港・立法会(議会)の民主派議員4人の就任宣誓をめぐる司法審査で、香港の高等法院(高裁)が4人の議員資格を取り消す決定を下した。この審査には中国政府による異例の介入があった。また香港の独立を主張する別の議員2人も、宣誓無効ですでに議員資格を剥奪されている。

 習国家主席は今月初旬、英国からの香港返還20周年の記念式典に出席した際、中央政府の権威を脅かす挑戦は越えてはいけない一線で絶対に許さないと発言し、香港の独立を求める動きをけん制した。

 香港の民主化運動は、中国全体の変化を求める旧来の活動家と、香港だけのために闘うべきだとする若手活動家の間で分裂が起きており、方向性が揺れている。評論家は、議員4人の失職に伴う補欠選挙の結果によって、民主化の動きの勢いが示されると指摘している。

 民主派議員のエディー・チュー(Eddie Chu)氏は、民主化運動には明確なビジョンが必要だが、変化はすぐには訪れないことを受け入れるべきだと言う。

「劉暁波氏が自らの命をも犠牲にしながら耐え抜いたのは、自分が成功を勝ち取ると確信していたからではなく、自分は長い道のりの一部であると認識していたからだ」とチュー氏はAFPに語った。「香港もそれと同じようなものだろう。勝利の目標を特定の時期に定めるような話ではない」

【翻訳編集】AFPBB News