昔も今も、実話の映画化は数多い。「感動の実話」もあれば「衝撃の実話」もあり、観客としても実話と聞くとリアリティが増したように感じられるのだろう。
7月21日公開の『ビニー/信じる男』は、さしずめ「狂気の実話」か。主人公のパズことビニー・パジェンサ(つまり実在の人物だ)は、交通事故で首の骨を折りながら復活を果たしたボクサーだ。しかも、復帰後に世界チャンピオンにまでなっている。

photo:TibrinaHobson

ただ、映画は「涙と努力と根性の復活ストーリー」にはなっていないし、堅苦しい話でもない。なにしろビニー本人がエネルギッシュでバイタリティに満ちた人物。公開に向けた電話インタビューでも、こんな具合に映画の話をしてくれた。
「自分の話が映画になると聞いた時の気持ち? とにかくスーパーだったよ! (ファンタスティックにかけて)パズタスティックだね!」
「(主演のマイルズ・テラーは)うまくビニ―・パジェンサを演じていたよ。俺よりうまかったな!」
ビニーが脚本について提案をしたのは「ほんの少しだけ。99%は事実」だそうだ。盛り上げるために事実を変えて描く必要がないくらい、ビニーの人生はドラマチックだし、彼自身が魅力的だということだろう。

首をガッチリと固定された状態で無理やりトレーニングしようとする場面。セコンドに「足(フットワーク)を使え」と言われても思わず真っ向勝負の殴り合いをしてしまう試合シーンなど、ボクサーとしての個性とビニーの人生そのもの、そしてテラーの演技の“シンクロ”ぶりも迫力、説得力充分だ。
「本当はフットワークを使うべきでも、俺は打ち合ってしまうんだ。ずっとそうやって勝ってきたから」
人生そのものとも、彼はそうやって闘い、勝ってきたのだろう。ボクシングを題材にした映画としても、実話の映画化としても、『ビニー/信じる男』は歴代屈指の力強さを誇っている。

映画『ビニー/信じる男』は7月21日(金)よりTOHOシネマズシャンテ他にて公開

(c)BLEED FOR THIS, LLC 2016