<昆虫の生殖機能に作用する寄生バクテリアを使って蚊の繁殖を抑えれば、近い将来、デング熱で苦しむことはなくなるかもしれない――>

元グーグルのライフサイエンス部門でヘルステック企業の「ベラリー・ライフ・サイエンス(Verily Life Sciences)」が今夏、蚊の駆除プロフラム「デバッグフレズノ(Debug Fresno)」を実施する。人工的に不妊化した害虫を大量に放すことでその繁殖を防ぐ駆除の方法の1つで、カリフォルニア州中部のフレズノで試験的に行う。

デング熱や黄熱病のほか、ジカ熱、チクングニア熱を媒介するヤブカ属ネッタイシマカの撲滅を狙う。同社の広報キャサリ―ン・パークスは「蚊の数はきっと減らせる」と、テクノロジーニュースサイト「ザ・バージ」に語った。

(デバッグフレズノを紹介する動画)


ネッタイシマカの繁殖を抑える秘密は菌にある。その名も「ボルバキア」。多くの昆虫に存在する寄生バクテリアの一種で、今回ベラリー社は「細胞質不和合」という、感染したオスが感染していないメスと交配しても、卵が発生しない機能を応用した。

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ザ・バージによると、ベラリー社は毎週ボルバキアに感染させた蚊の放出を20週間続ける。放出するのは、血を吸わないオスのみ。

多くの命を奪う蚊

世界保健機関(WHO)によると、デング熱感染者は毎年5000〜1万人に達する。50万人が重症のデング出血熱を発症し、子供を中心に2万2000人が死に至るという。実際の感染者数はこの4倍との見方もある(CNN)。

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部