20日開幕する今季メジャー3戦目の全英オープンでは、優勝候補に挙げられるJ・スピース、D・ジョンソン、松山英樹と同様に注目を集めるひとりのプロがいる。

 先週の米ツアー、ジョンディア・クラシックで初優勝を遂げて、初の全英キップを獲得したブライソン・デシャンボー(23)。天才、科学者、変人とも呼ばれる異色のプロゴルファーだ。

 出身の南メソジスト大学(テキサス州)では物理学を専攻し、「非常に複合的な変化のあるゴルフのすべてを理解しようとしている。それは難しいことだが、僕は体系的、科学的な方法による研究でそれを理解しようとしている」と、ツアーでは4番アイアンからウエッジまで全てのアイアンを7番(37・5インチ)の長さにそろえて自ら試合で「実験」している。ボール契約では自ら塩水検査を行い、真円のボールを製造しているブリヂストンと契約して話題にもなった。

 アマ時代はJ・ニクラス、P・ミケルソン、T・ウッズ、R・ムーアに続く史上5人目の全米アマと全米学生選手権を同一年に制し、昨年のマスターズ21位でローアマ獲得後にプロ転向と、輝かしい戦績を誇っていた。

■メーカーとの協力でアイアンも開発

 デシャンボーにとって試合は「研究」の場でもあるのだが、苦戦が続き、今季は25戦に出場して8連続を含む14試合で予選落ちと「実験」はうまくいってなかった。

「最も効果的にゴルフボールを打つことを理解する過程」と成績不振にも信念を曲げず、ようやく優勝というひとつの成果を得たことになる。

 デシャンボーの研究テーマは、テークバックとダウンスイングを同じ軌道にするシングルプレーンだ。そのためにアイアン全番手のシャフトをそろえて、ミスを減らすことに日々取り組んでいる。

 クラブ契約のコブラ社の協力も得て、ヘッドの重さや重心を番手ごとに変えることによって、クラブの長さが同じでも、番手が本来持つ性能を引き出すアイアン開発にも携わっている。

「僕はアマチュアにとって、ゴルフをもっとやさしく簡単なものにしたいんだ。プレーの新しい方法を通して、ゴルフ人口を増やして、ゴルフに貢献したい。自分は正しい道を進んでいると願っている」(デシャンボー)

 デシャンボーが全英で活躍すれば、アマチュアにとってゴルフがよりやさしくなる可能性が広がるというわけだ。

(ゴルフライター・吉川英三郎)