完全閉鎖型植物工場HAL。(写真:富山大学発表資料より)

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 かねてより薬用植物(漢方薬原料)の栽培技術に関して提携を結んでいた富山大学と東洋紡は、東洋紡富山事業所庄川工場内において、完全閉鎖型植物工場「HAL」を稼働、人工栽培による安定供給を目指した栽培研究を開始した。

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 今後、富山大学の薬学者である黒崎文也教授、ならびに薬学部付属薬用植物園スタッフなどが、東洋紡と共同で、栽培期間短縮、安定的な品質管理などの確立に取り組んでいくという。

 漢方薬の原料となる薬用植物は、現在、約9割が輸入品である。だが、今後の日本では医薬品の需要の加速が予測され、漢方薬の市場もまた、伸長が期待される。とはいうものの、農業の世界では、栽培期間の長さなどネックが多く、薬用植物は敬遠される傾向が強いという。そういったわけで、薬用植物は輸入と、野生種の採取に依存しているという現実があるわけだ。

 ただ、野生植物の採取という方法論は、安定供給には適さない。また、輸入品も、品質、価格などが安定しないという難点がある。そこで、植物工場型の栽培が今日では注目されている。

 薬用植物の栽培という分野においては、富山大学はよく知られた存在である。その薬用植物園は2,000種類に及ぶ薬用植物の栽培を行っており、国内トップクラスと言われる。

 その研究実績を活かし、富山大と東洋紡は、完全閉鎖型の植物工場である「HAL」を2015年に建造したわけである。ちなみにHALとは、富山事業所の略語であるHRと、Agriculture Labを組み合わせた略称であるという。

 HALで栽培されている植物は、葉菜類、ラディッシュ、黒ウコンなど20種類に及ぶ。また、ここで得られたノウハウは、東洋紡のグループ企業である東洋紡エンジニアリングの植物工場プラント設計技術など、さまざまな応用分野にも活かされているという。