オランダリーグで2年目を迎えるヘーレンフェーンのMF小林祐希は、7月18日にフォーレンダム(オランダ2部リーグ)とプレシーズンマッチを行なった。小林はトップ下を務め、16分に先制ゴールを挙げるなど随所で好プレーを披露。この日は78分間出場し、チームも3-1で勝利を収めた。


オランダリーグで2年目のシーズンを迎える小林祐希

 小林はヘーレンフェーンに入団してからずっと「コネクティングMF」や「アンカー」といったポジションで、攻守に貢献することを求められ続けてきた。7月15日のNEC(オランダ2部リーグ)との練習試合でも、小林は「コネクティングMF」としてFWとのつなぎ役を担っていた。

 NEC戦のピッチでは、いたるところから「ユーキ!(スペースを消してくれ!)」「ユーキ!(俺にパスをくれ!)」「ユーキ!(前に出ていかないでくれ!)」「ユーキ!(そこへ走ってくれ!)」と、小林祐希の名前を叫ぶチームメイトの声が響き渡っていた。

「いったいこのチームには何人、小林祐希が必要なのだろう……」と私が思っていたら、「(要するに)全部やれ、ということなんです」と小林は言った。

 ところが、3日後のフォーレンダム戦では、「ユーキ!」「ユーキ!」の叫び声がほとんど消えた。

「(「ユーキ!」と叫ばれたのは)プレスバックするときぐらいでしたかね」(小林)

 これまで味方に使われ続けてきた小林は、トップ下のポジションを得たことで、己がイニシアチブを握ってプレーを選択できるようになったのだ。

 16分のゴールシーンは、フォーレンダムの攻撃をしのいだヘーレンフェーンが前方に残っていた小林にボールを預けたところからスタートした。カウンターの2次攻撃から小林が起点となり、左サイドバックのDFカネル・カヴランからクロスが上がる。そのこぼれ球をゴール正面の至近距離で小林が拾い、ワンフェイクを入れてから左足を振り抜いてゴール右隅に決めた。

 味方のクロスに対して2メートル近い巨漢のFWヘンク・フェールマンがニアに走り込み、その裏を小林が狙う――。ふたりはこの動きを何度もフォーレンダム戦で繰り返していた。オランダ1年目のときには、ほとんど見られなかった動きだ。そして、そのうちの1回が16分のゴールに結びついた。

 ゴールシーン以外にも、特筆したいプレーがこの日の小林には2度あった。ひとつ目は21分、右サイドバックのDFドーク・シュミットから右ウイングバックのFMマルティン・ウーデゴールにパスが渡り、その隙に小林がフェールマンを追い越して相手ディフェンダーの裏へと飛び出したフリーランだ。

 残念ながらウーデゴールからのスルーパスをトラップミスし、チャンスを逸した小林は「ああっ!」と残念そうに絶叫する。それでも、試合後の小林は「あの飛び出しの感覚があるから、続けていけば点につながる。2〜3点は獲れたかなという嗅覚を手に入れられただけでも、今日は収穫だった」と、満足そうな表情を浮かべていた。

 ふたつ目は61分、ヘーレンフェーンが2-1とするゴールを決めたときの小林のアシストだ。中盤でパスを受けた小林はターンしながら相手のマークを剥がし、ボールを右サイドへ持ち出してからウーデゴールへとパスを通した。この一連のプレーがヘーレンフェーンの攻撃にタメを作るきっかけとなり、アンカーのMFスタイン・スハールスがゴール前に飛び出してシュートを決めた。

 このターンの動きは、オランダで戦う小林にとって武器のひとつになっている。

「ターンの感覚はすごくいい。ターンしてからググッと(ドリブルで突っかけて)いってズドン――というのが1試合に1〜2回あって、『おおーっ!』とスタジアムが沸くとか、ゴールを入れちゃうとか、そういったシーンが増えたら楽しいかな」

 トップ下を務めるにあたって、ユルゲン・ストレッペル監督からは守備の指示しかなかったという。

「『守備をきちんとこなしたうえで、好き勝手にやる』というのが、今年の俺のテーマです。ポジションが前目になったし、多少わがままにシュートを狙ってもいいポジションになっちゃった。すべてがいい方向に向いているかな、という感想ですね」

 待ち焦がれていた「トップ下」というポジションでしっかり結果を残せた喜びが、小林祐希の表情からにじみ出ていた。

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