石油を原料にして作られるプラスチックは現代人の生活に欠かせないものになっていますが、ガラスや金属のように溶かしてリサイクルすることが容易ではなく、その多くは埋め立てることで廃棄されています。ある研究チームがこれまでに人類が作りだしてきたプラスチックの量を算出したところ、その総量は実に83億トンにものぼり、まさに地球は「プラスチック惑星」とも言える状態になっているといいます。

Production, use, and fate of all plastics ever made | Science Advances

http://advances.sciencemag.org/content/3/7/e1700782

Earth is becoming 'Planet Plastic' - BBC News

http://www.bbc.com/news/science-environment-40654915

カリフォルニア大学サンタバーバラ校に所属するインダストリアル・エコロジスト(工業生態学者)らによる研究チームは、プラスチックが大規模に生産されだした時点を第二次世界大戦終了後の1950年とし、そこからおよそ65年間で人類が生産してきたプラスチックの量を重量ベースで算出し、「83億トン」という数値をはじき出しました。これは人類が生みだしてきた物質の中でも極めて多いもので、ゾウに換算すると1億頭分、鉄とコンクリートでできた総重量「4万1000トン」の東京スカイツリーだと20万棟分に相当します。

プラスチックは軽量でありながら丈夫さを備えるという特長を持っており、身の回りのあらゆる場所で使われていると言っても過言ではありません。特に、荷物や製品を輸送する際のコンテナとして優れた特性を備えていることから産業分野でも多く使われているのですが、その70%は非常に短い期間だけ使われて廃棄されるという運命をたどっています。研究チームの主要メンバーであるローランド・ゲイヤー博士は「人類はものすごいスピードで『プラスチック惑星』に向かっています。そのような星に住みたくないと思うのであれば、特にプラスチックのような素材の使い方について考え直す必要があります」と語っています。



By Yohan Creemers

研究チームが算出した内容からは、以下のようなポイントが浮き彫りになっています。

・これまでに生産されたプラスチックの総量は83億トン

・そのうち半分は、過去13年間で生産された

・過去に生産されたプラスチックの30%が今でも使われ続けている

・廃棄されたプラスチックのうち、リサイクル処理されたのはおよそ9%のみ

・約12%は焼却処分され、実に79%は埋め立て処理されている

・最も使用期間が短いのは梱包材として使われるもので、1年以内で廃棄される

・逆に最も長く使われているのは、建設および機械に使われているプラスチックである

・現在のトレンドのまま状況が進むと、2050年には120億トンの廃棄プラスチックが生みだされる計算

・2014年における地域ごとのリサイクル率:ヨーロッパ30%、中国25%、アメリカ9%

現在では、生物資源から作られるバイオプラスチックなど、微生物を使って分解できる生分解性プラスチックなどが開発されていますが、どうしてもコストが高くなってしまうために採算ベースに乗らず、安価な埋め立て処理が行われているのが現状。また、プラスチックをリサイクルすることもコストがかかり、石油から新たにプラスチックを作り出すほうが安くあがるという事実からも、プラスチックの生産を止める原動力が生まれてこない状況が作り出されています。



日々生み出され、リサイクルや分解することも難しいプラスチック廃棄物は次々に地上にたまり続けており、計算上はアルゼンチンの国土をすっかり覆い尽くすほどの量が地球上に存在していると考えられています。研究チームはまずはその実態を明らかにすることで、人類が実は直面している問題に人々の目を向けさせたいと考えているとのこと。ゲイヤー博士は「我々のチームの信念は『量っていないものは管理できない』というものです。私たちは数字だけを公表することで世界が何をすべきかを伝えるつもりでしたが、実際には世界が一致して立ち向かうための議論を始めることを促すことになりそうです」と語っています。