フェイスブックには、新聞社などが、自社のニュース記事を配信できるようにする「Instant Articles(インスタント記事)」というサービスがある。

 これについては、かねて、同社がメディア企業向けのこのサービスに、有料サブスクリプション(定期購読)の機能を組み込むことを検討していると伝えられていた。そして、このほど、米ウォールストリート・ジャーナルや米ニューヨーク・タイムズが報じたところによると、フェイスブックは今年(2017年)10月にも、この機能の試験運用を始めるという。

(参考・関連記事)「フェイスブック、ニュースの有料配信を検討中」

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メーター制課金を導入

 その機能は、例えば、ユーザーが、1カ月に記事10本といった具合に、ある一定の本数の記事を無料で読むことができ、それ以上読みたいユーザーには、有料にするというもの。こうした仕組みは、メーター制課金、あるいはメータード・ペイウオールと呼ばれている。

 メーター制課金の機能については、かねて、メディア企業がフェイスブックに強く要望しており、同社はそれに応えるべく、導入を検討していると言われていた。

 そして最新の報道によると、フェイスブックは新機能の導入と併せ、米調査会社のニールセンと協力し、メディア企業が、フェイスブック上に掲載された自社記事のアクセス状況を把握できるようにする解析ツールも提供するという。

Instant Articlesで目指すもの

 フェイスブックがInstant Articlesを始めたのは、2015年5月のこと。当初はニューヨーク・タイムズや米NBC、英BBCなど9社・団体に限定し、これらの記事を掲載していたが、昨年4月、同社はこれをすべてのメディア企業に開放した。

 その目的は、ユーザーの近況などが表示されるニュースフィード画面におけるコンテンツの拡充と、ユーザー滞在時間の拡大だ。

 従来、フェイスブック内のニュース配信では、ニュースのタイトルや概要とともにニュースサイトのページへのリンクが掲載されていた。ユーザーはこれらのリンクをタップし、ウェブブラウザーで記事を開いて読んでいたが、そうして記事が表示されるまでには平均8秒かかった。フェイスブックによると、この8秒という待ち時間はユーザーにとってストレスを感じるとても長い時間で、モバイル端末では利用者離れにつながる。

 そこで同社は、フェイスブック上で記事全文を掲載できるようにし、その表示速度の短縮も図った。高精細の写真、スクロールすると自動再生される動画、拡大縮小ができる地図、音声キャプションなども表示できるようにした。

 またニュース記事の中には、広告を表示させることも可能だ。メディア企業はその広告枠を自社で販売することができ、広告収入のすべてを受け取れる。こうした仕組みで、フェイスブックは、それまで同社サービスにあった問題の改善を図った。これがInstant Articlesである。

メディアが抱いていた3つの不満

 しかし、Instant Articlesには、まだ3つの問題があったと指摘されている。

 Instant Articlesでは、メディア企業が広告を掲載できるが、フェイスブックはその掲載数に制限を設けていた。このため、自社サイトで得られるような広告収入をInstant Articlesからは得られないという、メディア企業側からの不満があった。

 そこで同社は、記事中に表示できる広告数の制限を緩和した。米メディアによると、従来は本文記事350ワードに付き1本の広告が掲載できる、という決まりがあったが、これを250ワードに付き1本に変更した。

 2つ目は、フェイスブックがかねて主張していたInstant Articlesの効果について、メディアが懐疑的だったことだ。ウォールストリート・ジャーナルによると、同社はこれまで、Instant Articlesで素早く表示される記事は、読者の支持につながると主張してきた。だが、それを証明するための十分なデータが示されていない、といった不満の声があがっていた。

 そこで、同社は今回、データを把握できるツールを提供する。これにより同社は、Instant Articlesの記事と、ユーザーをモバイル端末のウェブページに誘導する従来のリンク方式とを比較できるようにすると、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

 そして3つ目が、前述した、有料化への対応だ。メディア側は常に、ユーザーを自社サイトに誘導し、そこで何本かの記事を読んでもらい、その後有料サービスにつなげたいと考えている。しかしフェイスブックこれまで、この方法では、自社サービスの利便性向上につながらないとし、導入に二の足を踏んでいた。

筆者:小久保 重信