「どうせ払えないから…」と年金未納状態を続けてしまっている方、まだまだ打つ手はあるようです。無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』の著者で年金アドバイザーのhirokiさんは、「年金保険料の支払いが困難な人は今すぐ免除制度を活用すべき」と断言。その制度の詳細と「未納と免除」の違いについて、わかりやすく解説しています。

年金保険料の未納は大損! 年金保険料免除制度をしっかり活用しよう! 7月でまとめて免除

国民年金は20歳になると強制加入となり、60歳まで国民年金保険料支払い義務が生じます。平成29年8月1日から老齢の年金を貰うために必要な期間である年金受給資格期間が25年から10年に短縮されますが、20歳から60歳まで国民年金に強制加入である事に変わりはありません。

その月の分の国民年金保険料支払いは翌月末が期限です。翌月末が土日祝日の場合は、翌々月の最初の平日の初日が期限になります。例えば今年8月分の国民年金保険料の納付期限は9月30日ですが、9月30日が土曜日だから10月2日の月曜日が納付期限になる。基本的に支払うのは本人ですが、本人が支払わないならその配偶者、世帯主も本人の国民年金保険料を支払う義務があります。

平成29年度国民年金保険料は月々16,490円です。なお、支払った国民年金保険料(厚生年金保険料等も)は所得控除である社会保険料控除として全額使えるので所得税や住民税の節税にも使えるから、支払うメリットは単に年金を貰えるか貰えないかに限らない。

しかし、20歳から60歳までは強制加入なんですが、やはり支払うのは困難という人も多く、また強制加入という事もあり、前年所得が一定以下の場合は保険料を免除する事ができます。

国民年金保険料を免除するって聞くと年金額には反映しないと思ってませんか? 実は国民年金からの給付である基礎年金には半分が税金(国庫負担という)が投入されています(平成21年3月までは基礎年金の3分の1が税金)。今の年間年金給付費は約57兆円程ですが、11兆円くらいが税金(社会保障関係費32兆円の内11兆円は年金に使う)。

国の支出(一般歳出)が年間97兆円くらいだから、その内社会保障に32兆円使ってて、その32兆円の内11兆円は基礎年金に使ってる。つまり税金は全て国民年金(基礎年金)に投入されていて、厚生年金や共済等の被用者年金には税金は使われていない。ちなみに税収は57〜58兆円程度しかないから、97兆円の支出に足りない分は国債とかで補ってる。

さて、国民年金というのは、昭和36年4月に国民全てに年金を! という事で20歳から60歳までの被用者年金に加入している人以外を強制加入にして保険料を支払う形の国民皆年金としての国民年金が出来ました。

国民年金が無い昭和30年代初期は年金制度によってカバーされていたのは1,300万人程で全就業人口4,000万人の3分の1程度だったわけです。働いている人の半分以上を占める零細企業とか自営業の人には何の年金もなかった。

国民年金を作ろうとした時に全て税金で年金を支払う(無拠出制という)のか、保険料を支払う(拠出制という)のかどうするかが議論になりましたが、保険料を支払う形になりました。

やはり税金で全てをやってしまうと、給付が低くなりがちでいろいろと国の制限を受けてしまいますし、高齢化が進行していって国の負担が膨らんでいく事はわかっていたので、保険料支払わずに税金だけで年金支払う無拠出制ではなく、拠出制になった。

それに、あらかじめ自分の力で備えるというのは当然の事であり、やはり保険というのは自己責任、自助努力という原則で成り立っているから拠出制が採用された。

ただし、国民年金を作った時点で既に高齢の人や50歳以上の人は保険料納めたくても期間が短すぎる、または納めるのが不可能な年齢である人には税金から支払って福祉的な年金として70歳から無拠出制の年金を補完的(不十分な部分を補うという事)に給付した(福祉年金という)。

ただ、他の年金制度に加入していない人以外を全員国民年金に強制加入(サラリーマンの専業主婦とか昼間学生等の任意加入でもOKの人も居た)させても所得が低くて保険料が支払えない人も多く、そういう人は免除を使ってせめて税金分くらいの年金を受け取れるようにしたわけです。

普通は長い間保険料を免除しておきながら、将来年金を出すなんて仕組みは成り立たないですよね(^^;; 当時は本当に思い切った事をしたものです。

で、昭和60年改正で厚生年金や共済年金の被保険者として加入していても同時に国民年金(基礎年金)に加入させて、これで一律に20歳から60歳までの国民全員を国民年金に加入する綺麗な形にする事で、被保険者全員で一律に基礎年金の費用の負担をするから、税金(国庫負担)も全て基礎年金に投入するようにしたんです。

にしても、もっと免除制度を活用してもらえていれば今みたいな無年金問題で、わざわざ年金受給資格を25年から10年に短縮して無年金者救済措置のような事はなかったと思うんですね。あと、未納期間が年金保険料納めなければならない期間の3分の1を超えてしまうと、遺族年金や障害年金が支給されない事態が生じるのでやはり未納ではなくせめて免除を活用していてほしいものです。免除申請は市役所に行けば5〜10分くらいで手続き終わります。後は免除結果が出るまで2ヶ月くらい待つ。

話を戻しますが、平成29年度老齢基礎年金満額は779,300円なんですけど、仮に20歳から60歳まで国民年金保険料を全く支払わない全額免除にしても半分が税金だから389,650円は受け取れる計算になります。

ただし平成12年4月以降の学生納付特例免除、そして平成17年4月から始まった若年者猶予特例免除は年金額に反映しない。これら特例免除は年金の受給資格期間にだけ反映するから、年金額を増やしたければ後で説明する国民年金保険料の過去10年以内の免除部分の保険料追納をやるしかない。

さて、今7月なんですが7月に免除申請をすると過去2年1ヶ月以内の滞納部分と来年6月分まで免除になります(学生は4月にやると過去2年1ヶ月以内の滞納部分と翌年3月まで免除)。

毎月毎月免除申請するわけではなく向こう1年分を免除するわけです。ちなみに7月以降例えば、9月に免除申請をすると来年6月までと過去2年1ヶ月以内が免除になる。とりあえず免除申請をしておけば、未納期間ではないので老齢の年金を受ける為の受給資格期間10年(平成29年7月までは25年)には含まれるし、さっきも言ったように税金が投入されているから全く年金が出ないわけではない。

ただし、どんな場合も免除になるわけではなく、前年所得等で免除申請が通るかどうか決まるため、必ずしも希望した免除になるわけではありません。

まず国民年金保険料全額免除なんですが、全額免除の前年所得基準は(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円が目安。つまり、自分だけなら所得57万円が目安(本人のみの給与収入ベースだと122万円)。この所得基準は住民税の均等割すら非課税になる基準。国民年金保険料が全額免除だから納める保険料は無し。

次に国民年金保険料4分の3免除であれば、前年所得が78万円+扶養親族等控除額(1人につき38万円)+社会保険料控除等(※78万円の内訳は課税所得40万円+基礎控除38万円)。だから本人だけなら前年所得は78万円(本人のみの収入ベースだと158万円)。国民年金保険料を4分の3免除するから毎月の支払い保険料額は16,490円÷4=4,122≒4,120円(10円未満四捨五入)。

国民年金保険料半額免除であれば、前年所得が118万円+扶養親族等控除額(1人につき38万円)+社会保険料控除等(※118万円の内訳は課税所得80万円+基礎控除38万円)。本人のみの収入ベースだと227万円。国民年金保険料を半額免除するから毎月の支払い保険料額は16,490円÷2=8,245円≒8,250円。

国民年金保険料4分の1免除であれば、前年所得が158万円+扶養親族等控除額(1人につき38万円)+社会保険料控除等(※158万円の内訳は課税所得120万円+基礎控除38万円)。本人のみの収入ベースだと296万円。国民年金保険料を4分の1免除するから支払う保険料額は16,490円÷4×3=12,367≒12,370円。

まあ、所得や収入はあくまでおおまかな目安です。この場合の所得とは収入から必要経費(給与所得控除等)を差し引いた合計所得金額の事。

免除にした部分は、過去10年以内であれば後で国民年金保険料の追納を行う事によって65歳以降の老齢基礎年金額を増やす事が可能。例えば全額免除部分を1ヶ月分追納したら老齢基礎年金年額1,623円(→779,300円÷480ヶ月)増える形。

なお、全額免除以外は免除された残りの国民年金保険料を2年1ヶ月以内に支払わないと単なる未納扱いとなり、10年以内の追納は不可。例えば4分の3免除が通ったら4,120円を支払わなければただの未納期間となり、4,120円を支払っておけば免除期間として過去10年以内であれば残りの保険料額の追納が可能。免除にしてない場合は、国民年金保険料納付時効である過去2年1ヶ月以内までの滞納期間までしか納める事はできない。

なお、追納する場合は3年度以前の部分を納める場合は当時の保険料よりやや高めの保険料を支払う必要がある。

● 平成29年度国民年金保険料追納額(日本年金機構)

また、免除期間部分を追納する場合は年金事務所で追納の納付書を発行してもらって、一番古い部分から先に納めなければならない。例えば10年前の免除期間があるのに、7年前の免除部分から先に納めたりするような融通は利かない。もし、一番古い部分より新しい部分を先に納めてしまうと、追納した保険料が還付されてしまう。

※注意

誤って納めた保険料の金額によっては一番古いほうの保険料のほうに自動的に充当を行う事もある。例えば上のリンクの平成24年度の追納保険料は15,140円ですが、平成24年度に免除部分があるのに先に平成26年度の15,270円のほうに誤って支払ったら15,270円のうち平成24年度の15,140円に充当して130円を還付という事。還付される場合は自分から請求しなければならず、請求から還付まで2〜3ヶ月はかかる。

ちなみに、特例として平成30年9月までは国民年金保険料の「後納制度」として過去5年分の未納期間まで国民年金保険料を後納する事ができる。直近2年1ヶ月以内は通常の国民年金保険料納付書で好きな滞納部分を納めて、2年1ヶ月を超える分は年金事務所で後納の納付書で納める。ただし免除部分を追納する場合と同じく、一番古い分から納めないといけない。

例えば、5年前に未納期間があるのにその前の3年前の部分の未納を先に後納する事はできない。間違って新しいほうを先に納めると、納めたはずの保険料が還付されてしまう。さっきの追納の場合と同じ。

● 国民年金保険料の後納(日本年金機構)

※追記

年の途中で退職すると自分の前年の所得が高くて免除が通らない場合があります。この場合は退職が確認できる書類(離職票や廃業届、失業手当貰う人に交付されてる雇用保険受給資格者証など)を市役所に持って国民年金保険料の退職特例免除を適用してもらう事が可能。退職特例免除は免除を受ける本人の前年所得を省いて、配偶者と世帯主の前年所得だけで免除するかどうかを決めるから免除が通りやすい。免除される場合は全額免除となる。

また、前年所得で国民健康保険料も計算される為、その年度の国民健康保険料も高額になってしまうが、雇用保険受給資格者証を持っている場合は市役所で国民健康保険料の減免が受けられる場合があります。最大、前年所得の給与所得を7割カットして国民健康保険料を計算して徴収するからかなり負担が軽くなる。

なお、退職日まで健康保険に継続して2ヶ月加入していた人が退職日の翌日から20日以内に協会けんぽ、または加入していた健康保険組合に申し込む事で、引き続き最大2年間健康保険に加入する事ができます(任意継続被保険者という)。

ただし、勤めている頃は健康保険料は事業主と労働者本人で半分ずつ支払っていたので、退職後の任意継続被保険者の間は2倍の保険料を支払わないといけない。

よって、任意継続被保険者になったほうが保険料が安いのか国民健康保険に加入したほうが安いのか、金額を協会けんぽや市役所に試算してもらってどちらにするか決めましょう。大体、任意継続被保険者のほうが安い事が多いかなあ…

● 協会けんぽ(任意継続被保険者)

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『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』

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出典元:まぐまぐニュース!