北京五輪女子100メートル背泳ぎで8位入賞した伊藤華英氏【写真:編集部】

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【短期連載第1回】元五輪代表・伊藤華英さんが語る大会の意義「すべては東京のために」

 水泳の世界選手権(ブダペスト)は23日から競泳が開幕する。7個のメダルを獲得したリオデジャネイロ五輪から1年経ち、20年の東京五輪へ向け、若手も名を連ねる中、今大会は何に注目すべきなのか。北京五輪女子100メートル背泳ぎで8位入賞した伊藤華英氏に見どころを聞いた。

 伊藤氏は「五輪に出て最高のレースをするため、いい経験になる。すべては五輪のために」と世界選手権の意義を強調する。

「競泳の場合、五輪が最高峰の舞台です。4年という期間をどうプランニングするか、すごく大事。昨年、リオ五輪でひと区切りつき、今回は25人中17人がリオ五輪の経験者。まずは、その人たちにとっては新たな目標を見つける試合になるし、自分がどう戦っていくのか試す機会にもなる。一方で初めて代表に入った選手は、世界での経験を積むために120%で臨んでくる。世界のトップ選手も来る中で東京五輪へのモチベーションになるでしょう」 

 実際に伊藤氏自身も世界水泳を飛躍の出発点となった。01年の福岡大会に初めて代表入りし、世界の舞台で貴重な経験を積んだことが、その後に生きたという。

「シドニー五輪の次の年でメンバーがガラッと変わり、メンバーに入れた。チャンス、きっかけを掴んだ。世界選手権から五輪を意識することができた。いきなり五輪じゃなくて良かったと思っています」

 今回も東京五輪へ向け、絶好の力試しの機会となる。果たして、ファンが注目すべき選手は誰か。

注目選手がズラリ…なかでも伊藤さんが名前を挙げた「メダル狙える」8選手は?

「注目はやはり、男子は萩野公介選手、瀬戸大也選手、女子は池江璃花子選手です。五輪でメダルを獲ると、その結果を受け止めきれず、なかなか次のステップに進めない選手もいる。だけど、リオデジャネイロ五輪で金メダルを獲った萩野選手も最近、気合が入ってきた。瀬戸選手は萩野選手に負けて銅メダルでチャレンジ精神が芽生えています」

 注目選手の名前がズラリと挙がったが、ズバリ、メダルを狙える選手は誰か。

「男子は萩野選手、瀬戸選手、入江陵介選手に加えて、坂井聖人選手、渡辺一平選手、このあたりでしょうか。小関也朱篤選手も速いけど、世界で実力を発揮できないと言われてしまっている。力はある選手なので、それを払拭してほしいです」

 一方、女子に目を移すとどうか。

「池江選手には十分可能性がある。なかでも、100メートルバタフライが最も狙えると思います。最近は自由形も速くて世界から注目されているけど、まだ若いので、何も考えずにイケイケで行ってほしい。あとは大橋悠依選手も射程圏にいると思います」

 では、日本以外で注目すべき選手は誰なのか。

東京五輪を目指す後輩スイマーにエール「プライドを持って新たな日本スタイルを」

「女子のカンティカ・ホッスー選手です。アメリカにも若い選手が出てきて、ガラッと勢力図が変わるタイミング。マイケル・フェルプス選手も引退し、誰が次のレジェンドスイマーになるのか。今年はわからない。そういう意味では日本にチャンスもあるとみています」

 最後に出場する日本の後輩スイマーたちに、こうエールを送った。

「20年の東京は自国開催で選手たちは意気込みがあるから、こういうところでたくさん練習してほしい。今年入っている選手が核になる。この子たちが日本代表としてチームをみんなで作り上げていってほしい。今はテレビにも放映されるし、注目も浴びて、恵まれる時代にいる。そういう中でプライドを持って、新たな日本のスタイルを作ってほしいと思います」

 東京五輪で輝くため、重要となる世界選手権。日本勢はどんな結果を残し、世界を沸かせてくれるのか。注目の戦いが、いよいよ幕を開けようとしている。

 ◇伊藤 華英(いとう・はなえ)

 2008年女子100m背泳ぎ日本記録を樹立し、初出場した北京五輪で8位入賞。翌年、怪我のため2009年に自由形に転向。世界選手権、アジア大会でメダル獲得をし、2012年ロンドン五輪に自由形で出場。同年10月の岐阜国体を最後に現役を退いた。引退後、ピラティスの資格取得。また、スポーツ界の環境保全を啓発・実践する「JOCオリンピック・ムーヴメントアンバサダー」としても活動中。