新潟県内の各地会場で行なわれた国際ユースサッカー in 新潟(7月15日〜17日)で、U-17日本代表が優勝を果たした。今年10月のU-17W杯(インド)開幕が2カ月半後に迫っているチームにとっては、上々の仕上がり具合を感じさせる大会制覇となった。


U-17W杯の出場権を獲得した昨年のアジアU-16選手権で奮闘した面々

 今大会、U-17クロアチア代表(1-1)、U-17メキシコ代表(1-0)、U-17新潟選抜(5-1)と対戦し、2勝1分けという結果を残したU-17日本代表。なかでも、U-17日本代表・森山佳郎監督が重視していたのが、大会2日目のメキシコ戦である。

 この世代の現・北中米王者にして、U-17W杯を過去に2度制している強豪に対し、指揮官は「メキシコ戦は(今回の招集メンバーのなかの)ベストでやる」。大会規定では1試合7名まで認められている選手交代も「本番さながら3名までにする」と、自ら縛りを設けて臨んだ勝負の一戦だった。

 結果は1-0の勝利。最少得点差の辛勝ながら、森山監督は、「徹底してボールを動かし、相手を動かし、スキを突くという、自分たちが目指しているサッカーができた。(1対1の局面で)戦うところでも、メキシコに負けていなかった」と選手を称え、「1-0のしびれるゲームを勝ち切ったことの収穫は少なくない」と手ごたえを口にした。

 U-17W杯という未知の世界に足を踏み入れようとしている選手たちにとっても、この世代では世界屈指の実力を持つ難敵に競り勝てたことは、この先につながる大きな自信となったに違いない。昨秋のアジアU-16選手権でも主力としてプレーした、MF平川怜(FC東京U-18)が語る。

「メキシコ相手でも主導権を握ることができた。U-17W杯へ向け、いい試合ができた」

 だが、今後への期待が高まったのがメキシコ戦だったとすれば、反対に少なからず不安が残る結果となったのが、続く新潟選抜戦だった。

 メキシコ戦から先発メンバーを8名入れ替え、招集歴の浅い(このチームでのプレー経験が少ない)選手を中心に臨んだ新潟選抜戦。U-17日本代表は、ボールポゼッションでこそ上回るものの、効果的な攻撃を組み立てられず、なかなか得点が奪えなかった。

 選手一人ひとりのプレーを見ていると、明らかに技術レベルは新潟選抜よりも高く、簡単にボールを失うことはないのだが、それぞれのよさがチームとして機能的につながらない。もどかしい時間が続いた前半、それでもどうにか1点を奪ったものの、PKで1点を返され、1-1でハーフタイムを迎えることとなった。森山監督が語る。

「サッカー理解のレベルが高い選手が数人いて要所を締めると、ひとり、ふたり(招集歴が浅く)チャレンジする選手がいても、それを生かしてもらえる。だが、(主力である)核となる選手がいないと、修正しようとする声がほとんど聞こえてこない。昨日(メキシコ戦)は全員が状況によって『ああしよう、こうしよう』と声を出していたが、今日(新潟選抜戦)は何をすれば効果的か(というイメージを)、味方と共有できない選手が多かった」

 あまりに低調な試合内容に、森山監督は「このまま終われない」と、後半開始から一気に4選手を交代投入。そのひとり、平川が「(長く)選ばれている選手は違いを見せないといけない。前半の不甲斐ない内容に、後半から入った選手はその気持ちが強かったと思う」と語っていたように、この交代をきっかけに、試合展開は一変した。

 このチームのサッカーをよく理解している選手がピッチ上に増えたことで、本来のリズムを取り戻したU-17日本代表は、ワンタッチをまじえながら、テンポよくボールを動かし、タイミングのいい縦パスで相手DFラインの背後を突く。そんな攻撃を45分間続け、大量4ゴールを加えて勝負を決めた。

 後半に入り、展開が大きく好転した試合を振り返り、「選手同士が共有するものがないなかで、サッカーをするのは簡単なことではない。選手をガラッと変えても反応がないこともある」と、まずは選手交代によって立ち直ったチームを称賛した森山監督。だが、その一方で「11人(主力選手)のレベルは上がっているが、その下(控え選手)とのレベル差はだいぶある」とも指摘する。

 7試合を戦う――。

 これこそが、来るU-17W杯へ向け、このチームが掲げている目標である。「7試合を戦う」とはすなわち、最後まで勝ち残り、決勝(もしくは、3位決定戦)までを戦うということだ。

 しかし、国内での試合以上に心身両面での強度が求められる試合を、わずか1カ月の間で7試合も戦おうと思えば、選手層の厚さは必須。登録メンバー全21名での総力戦こそが、目標達成への最大にして唯一の武器となる。

 例えば、今回招集された15歳のFW斉藤光毅(横浜FCユース)。U-16世代からの抜擢で、いわば”新戦力テスト”に臨んだわけだが、本人曰く、「1、2戦はチャンスがあったのに、得点を決められなかった。パススピードなど、基本的なことが(U-16とは)全然違う」。新潟選抜戦の前半の内容に象徴されるように、今大会での新戦力発掘は満点の成果を挙げたとは言い難い。

 それでも、森山監督は「(同じレベルの選手が)15、16人もそろう国なんてない。(主力と控えのレベル差は)ネガティブなものでも何でもない」と、現状を当たり前のこととして受け止めている。先に挙げた斉藤についても、「精力的に動いて、”血流”をよくしてくれる選手」と候補のひとりであることを強調。また、今大会では招集されていないFW久保建英(FC東京U-18)をはじめ、同じくアジアU-16選手権に出場していた、FW棚橋尭士(横浜F・マリノスユース)、山田寛人(セレッソ大阪U-18)らの名前を挙げ、「(U-17W杯に)出たい気持ちの選手は多い。それぞれがどれだけレベルアップして、最後に僕らが自信を持って選べるか。夏にはクラブユース選手権もあるし、誰が出てくるか、これからが競争」だと語る。

 本番前最後の海外遠征となるチェコ遠征(8月中旬から下旬の予定)には、「プラス1、2名を連れていくかもしれないが、ほぼ本大会のメンバーで行く」(森山監督)予定であり、残り1カ月ほどが選手たちにとっては、最後の勝負ということになる。

 確かに選手の間には、多少なりとも目指すサッカーに対する理解度の差はある。だが、言い換えれば、理解度の高い選手がそろったときには(ときに指揮官の予想さえも上回るほどに)質の高いサッカーが実現できるということでもある。と同時に、「同じイメージの選手が多いほど、自分たちのサッカーができる」(平川)のは間違いなく、それができる選手のパイは、少しずつだが、着実に広がりつつある。

 また、現在のU-17世代には、久保、平川のほか、DF瀬古歩夢(セレッソU-18)、MF喜田陽(セレッソU-18)など、J3で”大人のサッカー”を経験している選手も少なくない。平川が「フィジカル的には、(今大会で対戦した)同世代の外国人選手よりJ3のほうが高いと思う。そういう環境でプレーできるのは大きい」と話すように、より高いレベルのサッカーに日常的に触れている選手が増えていることは、今までのU-17代表にはなかった強みだろう。

 世界の列強が待ち受ける本番を目前に控え、選手個々のレベルアップと、チームとして目指すサッカーの構築という、ふたつの作業を並行して進めるU-17日本代表。欲を言えばきりがないが、その強化策はおおむね順調。U-17W杯へ向け、期待が膨らむ状態にあると言っていいのではないだろうか。

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