南スーダンPKO部隊の日報をめぐって、稲田朋美防衛大臣が2017年2月、防衛省最高幹部らとの緊急会議で、保管の事実を非公表とするという方針を了承していたと一部メディアが報じた。報道を受けて稲田大臣は、「書かれているような隠ぺいを了承したとか、あと非公表を了承したとかいう事実は全くありません」と関与を否定した。

 19日に放送されたAbemaTV『AbemaPrime』では、昨年、防衛省に情報公開請求を行い、一連の報道の端緒を開いたジャーナリストの布施祐仁氏と、国際政治学者の三浦瑠麗氏をスタジオに招き、この問題を考えた。


■「翌日に廃棄するなんて、常識で考えてありえないと思った」

 布施氏が初めて情報開示請求をしたのは、昨年7月16日のことだった。

 「当時、自衛隊が駐留していた南スーダンのジュバでは政府軍と反政府軍の大規模な戦闘が勃発していた。国連のレポートにもそうした記述があり、中国軍の兵士が死亡したという情報も入っていた。一方で日本政府は『散発的な発砲事案が生じている』としか言わず、派遣を延長して新しい任務を付与しようとしていた。その状況に危惧を抱いて、現地部隊からの司令部に対する全ての報告文書について開示請求した」。

 ただ、この時点で布施氏は問題となっている"日報"の存在を知らなかったという。

 「9月中旬くらいになって開示されたのが、"人員現況"という、その日何人の隊員が活動し、何人休んでいたかという、非常にシンプルなものだけだった。しかし、活動状況や現地の治安状況などが非常に詳細に書かれている"日報"という文書があると知り、9月末に改めて情報開示請求した」。

 これに対し12月初旬、「日報の存在は特定されたものの、すでに廃棄していて、一つも残っていない」との回答が出る。

 「簡単な"人員現況"は保存されているのに、"日報"が最短で作成翌日に廃棄するというのはあまりにも不自然だと思い、もう一度探して欲しいと防衛大臣に異議申し立てをした」。

 布施氏や自民党の河野太郎衆議院議員などが再調査を求めた結果、12月に稲田防衛大臣は再調査を指示。同月、防衛省の統合幕僚監部に"日報"の電子データが残っていたことが確認され、今年2月、ようやく"日報"が公開されるに至った。

 「自衛隊の宿営地の目の前に建設中のビルがあって、そこに反政府軍が立てこもり、政府軍との間で戦車砲やロケット砲による撃ち合いが行われたとされている。黒塗りされているが"激しい戦闘"という言葉も出てくる。流れ弾の危険や自衛隊が戦闘に巻き込まれる危険性とも明記されていた」。

 開示された"日報"には、黒く塗りつぶされている箇所が複数あった。布施氏は「これについても異議申し立てをすることができ、場合によっては隠すべきものではなかったということで開示されることもあるが、長い時間がかかり、非常に難しい」と話した。

 布施氏は「現在、日報問題については特別防衛監察が行われているが、防衛大臣は対象になっていない。真相を解明するには特別防衛監察では不十分だ。意見が食い違っているわけだから関係者を呼んで、国会で明らかにすべき。自衛隊の新しい任務を付与するかどうかという時に、日報は隠された。安倍政権がやった新任務の付与ということの政策の正当性が問われかねない。自衛隊の最高指揮官である安倍首相は自ら真相解明と説明を率先してやるべきだ」と訴えた。

■「与野党の政治家の憲法解釈と無理筋なオーダーに問題」

 国際政治学者の三浦瑠麗氏は「報道を信じるとすると、大臣がいる場で何らかの決定がなされたのに、大臣が了承してないということは、制服組のはしごを外したことになるし、陸上自衛隊にすべての罪を着せることになる。しかも、隠蔽を指示したのは統合幕僚監部の背広組。となると、要は自民党政権が政治的に追い込まれないために背広組が配慮をし、指示をして、最終的に陸上自衛隊が言うことを聞いて現場の声を封殺したということ。これはものすごいスキャンダルだ」と指摘する。

 「文書管理のあり方、また、防衛省自衛隊に改めるべき隠蔽体質があれば私の責任でしっかりと改善していきたい」と述べていた稲田大臣。今回、このタイミングでこうした報道が出たことについて三浦氏は「内閣改造が来月3日に予定されており、新しい大臣にいきなり水をかけるわけにも行かない。"じゃあ、この調査結果をいつ公表しよう"となった時に、稲田さんはクビになりそうだから、ここは責任を明確にしようと背広組が思っても不思議はない」と分析する。

 また、「日本には憲法解釈からPKO五原則に至るまで、様々な"まやかし""詭弁"があり、それらが明らかになってしまうので、国民や野党には見せたくなかったのだろう。あるいは開示を前提として書くとなると、あまり正直に情報を書くなという圧力も生じる。現に、河野統合幕僚長もある意味『忖度せよ』と言わんばかりのことを会見でおっしゃっていた。ただ、自衛隊に責任があるというよりは、与野党の政治家が今まで規定してきた憲法解釈と、その中でのPKO派遣という無理筋なオーダーに問題がある」と指摘。 

 その上で、民進党に対しても「彼らも問題。もともと民進党が派遣したわけだから。それを分かっていながら、PKO五原則に反しているというような詭弁を弄した。布施さんの開示請求が本当に国益に合致しているかわからないが、少なくとも布施さんのような人が現れなければ、我々は現地の声を聞けなかったし、全てを知った上で国民が判断することもできない」とした。(AbemaTV/『AbemaPrime』)より


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