欠陥発覚も度々、それでも不動産は「大手」が安心なのか?

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不動産、とりわけマイホームの世界には、いわゆる「大手志向」がある。しかしその理由ははっきりしているわけではなく、「なんとなく」だ。

大規模タワーマンションに代表される比較的高級路線のマンションは、主として大手のデベロッパーが手掛けるが、中小規模であまり耳なじみのないデベロッパーがNGというわけでもない。駅近など立地がよく、間取りや企画がそこそこなら、デベロッパーがどこかという点はそれほど問題にされない。

大手デベロッパーによるマンションが値下がりしにくいと言ったデータが公表されることがあるが、それは「大手だから」ではなく、多くのケースで「立地」「企画」「間取り」、そして「分譲時価格」で説明できるだろう。とりわけマンションの価値は、9割以上が立地で決まると言っても過言ではない。不動産は、1にも2にも3にも「立地」だ。

そもそも、大手デベロッパーの手掛けたマンションであれば絶対に安心・安全であるとも限らない。それどころか、過去には大手デベロッパーの手掛けたマンションで、基礎工事や配管工事がずさんであることが分譲後に発覚、大問題になった事例がいくつもある。

残念なことに、大規模マンションの欠陥が発覚して大騒ぎになる事例は、何年かに一度という割とハイペースで起こっている印象だ。新築マンションの完成直後に発覚するほかに、完成・引き渡しから数年経過してから欠陥が発覚する例もある。

筆者はよく「どうしたら欠陥マンションを避けられるのか?」と質問されることがあるが、構造部分の欠陥などは、閉鎖的な工事現場をはた目から見てもまったくわからないため、新築の欠陥を見極めて完全に回避することは難しい。どうしても避けたいのであれば、新築マンションを買わず、ある程度年数が経ってびくともせず、問題が表面化していない中古マンションを選択するしかない。

最近発覚した欠陥マンションの事例では、三井住友建設が施工を担当し、三井不動産レジデンシャルが2006年に販売を開始した、横浜市都筑区にある「パークシティLaLa横浜」が記憶に新しい。

問題発覚は2015年。パークシティLaLa横浜は全4棟705戸の大型マンションだが、このマンションの西棟で打ち込みが足りない8本の杭が発見されたほか、施工データの偽装も発覚。施工会社が地盤調査を一部実施しておらず、虚偽データに基づいて工事をしていたことから、複数の杭が支持層(強固な地盤)に届いていない可能性が浮上した。建物の傾きとの因果関係は証明されなかったものの、データを偽装したことで建物への信頼が失われた。

2014年に遡ると、熊谷組が施工を担当、住友不動産が2003年に分譲した「パークスクエア三ツ沢公園」で、支持層への杭の打ち込みが足りなかったことが発覚。また、鹿島建設が施工、三菱地所レジデンスが販売を担当した、東京の一等地・南青山の億ションでも工事の不具合が発覚し、引き渡し間近にもかかわらず急遽販売を中止する大騒動となった。

どれも大手デベロッパーと大手建設会社がタッグを組んで手掛けた物件ばかりだが、それでも居住できなくなるほどの大きな欠陥が生じることがあるとなると、「大手=安心」とはいえないことがわかるだろう。

ただし、中小デベロッパーと大手デベロッパーが大きく違うのは、こうした大問題が発覚した際に、大手は手厚く補償してくれる場合が多いという点だ。

例えば、前出の「パークシティLaLa横浜」では、住民に対し、全棟の建て替え費用、仮住まいの家賃や引っ越し代から家具の処分代、通勤・通学費の差額など全部ひっくるめて負担することに加え、希望者には新築価格で買い取りすることを発表。さらに慰謝料も支払うとした。

住民はファミリー世帯が多く、子どもの学校の関係などもあり、多大な迷惑を被ることにはなるものの、業者が提示している条件を呑んだ場合、経済的な損失を負うことはほとんどない。「パークシティLaLa横浜」の建設会社や下請け会社などがこの件の対応に割く支出は、立替費用だけで300億円を超える。

ここまでの手厚さは業界でも異例と言っていいほどだが、先に挙げた事例では、いずれも多額の補償金が用意された。いくら大手と言えど多額の補償は痛手だが、培ってきたブランドイメージが大幅に毀損されないようにするためには、必要な出費だったのだろう。もちろん所有者の粘り強い交渉あってのことだ。

これが中小デベロッパーの物件だった場合、そこまで補償を受けられるほどの資金的体力は期待できないことから、欠陥マンションの住民は満足な補償も受けられないままに立ち退きを余儀なくされ、二重ローンに苦しめられることになりかねない。このような事態に陥るようなことは考えたくないものの、いざというときは大手のほうが安心感はあるとは言える。