北朝鮮軍の「特殊作戦部隊の降下および対象物打撃競技大会-2017」を指導した金正恩氏(2017年4月13日付労働新聞より)

写真拡大

米国の軍事専門メディアであるミリタリー・ドット・コムは14日、「世界の軍隊ワースト10」と題した記事を掲載。その中で北朝鮮の軍隊を第3位に挙げている。

「性上納」が横行

この記事がワースト1位としたのは、中米のコスタリカだ。

といっても、同国は1949年に憲法で常設軍を廃止しており、警察と治安部隊を除けば軍事力を持たない。単純な軍事力比較なら、こうした結論が出るのは当たり前と言える。

ワースト2位は、腐敗しきったイラク軍だ。

米英などが大金を投じて強化に取り組んできたにもかかわらず、イラク軍は大した兵力を持っていないと指摘している。

一時は、5万人もの実在しない「幽霊兵」に給料が支払われていたこともある。兵士のいない軍隊に仕事ができるはずもなく、おかげで国土を武装勢力「イスラム国」に席巻されてしまった。

そして、北朝鮮である。

この記事が北朝鮮をワースト3に選んだ理由は、早い話が「見かけ倒し」であるということだ。

外国向けの宣伝映像には丈夫そうな体格の兵士、立派な装備、十分な食料が収められているが、実際にはヘナヘナで、訓練よりは建設作業ばかりしていると指摘している。

これは、たしかにそのとおりだ。いま、北朝鮮で最も飢えているのは軍隊だと言われており、とても戦争どころではないのが本当のところだ。

また、軍隊内では人事などを巡ってワイロが乱れ飛び、女性兵士に対しては「マダラス」と呼ばれる性上納の強要が横行している。

軍紀も何も、あったものではないのだ。

(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

朝鮮半島では2015年8月、北朝鮮がしかけた地雷で韓国軍兵士が吹き飛ばされた事件を巡り、南北の軍事対立が激化した。一歩間違えれば戦争というところまで行ったのだが、最終的には対話で衝突を回避している。

しかし、それは北朝鮮と韓国が、五分五分の立場で行きついた結果ではない。戦争の準備などまったく出来ていない北朝鮮が、装備と士気の充実した韓国軍の圧力に押し切られたのだ。

ただ、「北朝鮮などどうってことない」とタカをくくっていて良いのかと言えば、それもまた違う。

金正恩党委員長は2015年8月の屈辱を経て、核兵器開発をスピードアップさせたものと見られる。北朝鮮の経済力からして、核兵器と通常兵器の強化を同時に進めるのはムリだ。金正恩氏は今後も、核兵器に「一点張り」する路線を捨てないだろう。

それはつまり、万が一戦争になれば、いきなり核兵器を使ってくる可能性が高いということなのだ。