マスコミが信頼されないワケ、御巣鷹山の事故追悼現場で
2005年08月14日04時45分 / 提供:PJ
12日早朝、日航ジャンボ機墜落事故関連の取材のため、群馬県上野村の御巣鷹(おすたか)の尾根に向かった。国道から折れ、事故後に開通した道を十数キロ登ると、登山口に到着した。午前6時半。報道用の駐車場はテレビ中継車などで、すでに満車。狭い山道の脇には500メートル以上にわたってマスコミの取材車両が列をなしていた。
テレビ局のスタッフ用大型ワゴン車や、新聞社の大型四輪駆動車などさまざま。細い林道に大型四駆は無用の長物だろうと思いながらも、その中で異様に写ったのが東京ナンバーの黒塗りハイヤー。人里離れた深い山あいにマスコミの高級車が10台以上も待機しているのは、何とも形容しがたい光景であった。「どんな記者が乗ってきたのだろう」。こんな疑問も抱いた。
御巣鷹の尾根での取材を終え、遺族の方々と一緒に下山途中、民放キー局の中継車の横を通り過ぎたとき、その中継車の中から破天荒な笑い声が聞こえてきた。中をのぞいてみると、スタッフがいすにふんぞり返り、電話で誰かと歓談していた。一緒に下山した遺族の方から「いやな感じですね。場違いです」と声が漏れた。
登山口に到着したのが午前9時半過ぎ。その頃になると参拝に訪れた遺族らも増え、登山口付近は遺族を乗せたタクシーや乗用車でごった返していた。山道に駐車する車両の列は1キロ以上に伸びていた。そして、登山口の一番近くに大手マスコミのハイヤーが記者の帰りを待っていた。しばらくすると、山登りには不釣り合いないでたちの記者が1人、帰ってきた。日本航空社長の同行取材をしていた記者だった。
その記者はハイヤーの後部座席に乗り込むと、車の窓を開け、パソコンを起動しながら、たばこを吹かした。そのすぐ横を、ひしめくマスコミ車両を遠慮しながら通り過ぎるお年寄りの遺族がいる前でである。皮肉混じりに「いいご身分ですね」と声をかけたが、その記者からは返事はなく、そのハイヤーは登山・下山している遺族らをかき分けるように出発した。
これにはさすがに憤りを感じた。たった一人の記者のためにハイヤーを数時間待たせるのなら、なにも登山口間近でなくてもよかろう。この記者はこの日、多くのお年寄りの遺族が登山してくることを分かっていたはずだ。御巣鷹の登山口には、我がもの顔でハイヤーを待たせる、多数のマスコミ記者のごう慢が存在した。他方、そのおかげで、数多くのお年寄りの遺族が、1キロ以上も余計に山道を登らねばならなかったという理不尽が存在した。
マスコミは日航や国に対して、お年寄りの遺族のために、より良い登山道を整備せよ、などとの論調を掲げたが、他人を批判する前に我が身を省みなければならない。こんなありさまだから、マスコミは市民から信頼されないのだ。お年寄りの遺族へのいたわりのない記者など、少なくとも市民を代表して取材し、それを市民に伝える役目を担う存在ではない。【了】
テレビ局のスタッフ用大型ワゴン車や、新聞社の大型四輪駆動車などさまざま。細い林道に大型四駆は無用の長物だろうと思いながらも、その中で異様に写ったのが東京ナンバーの黒塗りハイヤー。人里離れた深い山あいにマスコミの高級車が10台以上も待機しているのは、何とも形容しがたい光景であった。「どんな記者が乗ってきたのだろう」。こんな疑問も抱いた。
御巣鷹の尾根での取材を終え、遺族の方々と一緒に下山途中、民放キー局の中継車の横を通り過ぎたとき、その中継車の中から破天荒な笑い声が聞こえてきた。中をのぞいてみると、スタッフがいすにふんぞり返り、電話で誰かと歓談していた。一緒に下山した遺族の方から「いやな感じですね。場違いです」と声が漏れた。
登山口に到着したのが午前9時半過ぎ。その頃になると参拝に訪れた遺族らも増え、登山口付近は遺族を乗せたタクシーや乗用車でごった返していた。山道に駐車する車両の列は1キロ以上に伸びていた。そして、登山口の一番近くに大手マスコミのハイヤーが記者の帰りを待っていた。しばらくすると、山登りには不釣り合いないでたちの記者が1人、帰ってきた。日本航空社長の同行取材をしていた記者だった。
その記者はハイヤーの後部座席に乗り込むと、車の窓を開け、パソコンを起動しながら、たばこを吹かした。そのすぐ横を、ひしめくマスコミ車両を遠慮しながら通り過ぎるお年寄りの遺族がいる前でである。皮肉混じりに「いいご身分ですね」と声をかけたが、その記者からは返事はなく、そのハイヤーは登山・下山している遺族らをかき分けるように出発した。
これにはさすがに憤りを感じた。たった一人の記者のためにハイヤーを数時間待たせるのなら、なにも登山口間近でなくてもよかろう。この記者はこの日、多くのお年寄りの遺族が登山してくることを分かっていたはずだ。御巣鷹の登山口には、我がもの顔でハイヤーを待たせる、多数のマスコミ記者のごう慢が存在した。他方、そのおかげで、数多くのお年寄りの遺族が、1キロ以上も余計に山道を登らねばならなかったという理不尽が存在した。
マスコミは日航や国に対して、お年寄りの遺族のために、より良い登山道を整備せよ、などとの論調を掲げたが、他人を批判する前に我が身を省みなければならない。こんなありさまだから、マスコミは市民から信頼されないのだ。お年寄りの遺族へのいたわりのない記者など、少なくとも市民を代表して取材し、それを市民に伝える役目を担う存在ではない。【了】
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パブリック・ジャーナリスト 小田 光康
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