WerbeFabrik (CC0 Public Domain)

写真拡大

 筆者は、自分自身の資産運用については、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)、NISA、および特定口座を使って、ETF(上場投信)および株式でおこなっている。投資スタイルは、S&P500やTOPIX(東証株価指数)などをベンチマークとするインデックス運用であり、パッシブ運用である。日頃、インデックス運用を実際におこなっている個人投資家のブログやツイッター、書籍を読むことが多いし、参考にしている。久しぶりに、山崎元、水瀬ケンイチ氏の共著『ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド』を読み返してみた。

 何度読んでも、名著である。名著であるから、何度でも読めるのか?筆者がインデックス投資を始めた時の初心に帰ることができ、心が落ち着く。筆者は本書のひとりの読者に過ぎず、著者の二人とは面識は無いので、本書を推薦しても筆者には何のメリットも無いことを断っておいた上で、インデックス運用をするにあたり、何か一冊読むべき本があるかと問われれば、筆者は本書を推薦したい。

 とはいえ、今回は、書籍を紹介するのが目的ではないので、読了した『全面改訂 ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド』をベースに、筆者が著者の二人と同様に「ほったらかし投資術」がなぜいいのか、ベストだと思えるのかについて、筆者が考えたことを、筆者の言葉で記述していきたい。書籍の内容と筆者の主張の間で矛盾が生じたとしても、ご容赦願いたい。

◆「ほったらかし投資術」がなぜいいのか?

「ほったらかし投資術」のまえがきで、著者のひとりである山崎元氏は、インデックス運用の3つのメリットを挙げられている。第一のメリットは、インデックス運用で金融機関(運用会社や販売会社)に支払う手数料コストが安いこと。第二のメリットは、シンプルで分かりやすいこと。第三のメリットは、インデックス運用が「負けにくくて、無難!」であることである。さらに、“普通の人にあっては、「面白み」はお金の運用に求めるよりも運用以外の人生そのものの中に求めるほうが有意義だろうと考えています。”と書かれている。

 筆者も、山崎氏の考えに大賛成である。個別株への投資との比較において、インデックス運用の「ほったらかし投資術」がいかに優れているか、筆者なりの考えを示したい。なお、今回は、字数の制限があるため、アクティブ運用投資との比較においてのインデックス運用の優位性については記述しない。

◆TCOで比較するとわかる 「ほったらかし投資」の優位性

 さて、ITの分野では、コンピュータ・システムの導入、維持・管理などに掛かる総経費を表すTCO(Total Cost of Ownership、総保有コスト)という指標がある。元々は、米国の調査会社、ガートナーグループが提唱したものだ。

 TCOの構成要素は、1.資産コスト(ハードウエアやソフトウエアの購入費など)、2.技術サポートコスト(利用者の教育や質問に答えるヘルプデスクなどの費用)、3.管理コスト(資産管理やセキュリティ管理などの費用)、4.エンドユーザーコスト(利用者が同僚に操作方法を聞いたり、教えたり、業務に関係ない作業をするための費用)である。この中で、4.エンドユーザーコストは、IT予算に計上されていない、かつ、キャッシュアウトを伴わない「見えないコスト」であるが、人件費換算したら大きな金額となるため、これも含めてTCOを把握し、TCOを削減していこうとするものだ。

 インデックス運用と個別株への投資とを比較した場合、個別株の長期保有か、あるいは、回転売買をするかによって手数料コストの面でどちらが優位かが異なってくると思われるが、筆者は、手数料コストよりも、両者ではキャッシュアウトを伴わない「見えないコスト」が著しく異なると考える。