パソコンの画面が突如見えにくくなったと感じたら

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その日の朝、記者(男、47歳)はいつもの通り出社し、パソコンの電源を入れると早速業務に取り掛かった。情報収集のためインターネットでウェブサイトを閲覧していた時、突如目の異変に気付いた。「どうも視界がぼやける」。

パチパチとまばたきをしたり、目薬を差したりしても状態は変わらない。「まさか、脳梗塞の前兆じゃないよな......」と、不吉な予感が走った。

目の左上で動き視界に覆いかぶさる

目の具合がおかしくなったのは、業務開始から1時間ほどがたった頃。前ぶれは一切なく、パソコン画面上の文字が急に見えにくいと感じた。

視界の一部が、障害物にさえぎられている。形状は説明しにくいが、ギザギザした模様が目の左上で常に動き、視界に覆いかぶさってくるイメージだ。カーレースで用いられる市松模様のチェッカーフラッグに似ている。

最初は、この模様を何とかかいくぐって画面を見ようと試みたが、不可能だった。次に、片目だけに現れているならもう片方の目で見ればよいと考え、左右の目を交互に閉じてみた。ところが、それぞれの目に模様は現れる。

5分、10分と経過したが好転しない。痛みは出ていないが、とにかく不便でうっとうしい。何より、原因不明でいつまで続くか分からない不気味さがある。視界を邪魔されながら、少しネットで調べてみようと思い当たるワードで検索してみた。すると複数の眼科のサイトから、記者の症状にピッタリと考えられる病名が見つかった。

「閃輝暗点(せんきあんてん)」

専門的な見地から、東京都豊島区の「くまがい眼科」のサイトを一部引用したい。「視野の一部にキラキラした点が現れ、ギザギザした幾何学模様の稲妻のような光が渦巻き状に広がって見える。同時に、見ている部分は暗くぼやけて見える(中心暗点)」とある。これは記者が体験したものと酷似している。また「視覚に現れる症状だが、眼球の病気ではなく、後頭部の脳血管の収縮とその後の拡張が原因と考えられている」。

症状は、数分から40分程度続く。「その後、片頭痛が起こることが多く、吐き気や嘔吐を伴うこともあります」と説明されていた。

これを読んでいた時点で、記者には頭痛が起きていなかったが...。

まれに脳梗塞や脳腫瘍が原因になる場合がある

やはり眼科医の指摘は正しかった。しばらく後、頭痛が襲ってきたのだ。特に頭部右側で、まるで拳を「グリグリ」と押しつけられているような鈍痛が始まった。こうなるとパソコン画面を見るどころではない。市販の頭痛薬を服用し、10分程度おとなしくしていた。

頭痛が少し治まった段階で、改めて画面を眺めるとあのギザギザ模様は消えていた。もう視界は邪魔されていない。もっとも頭の痛みがしばらく続いたので、業務に「本格復帰」したのはもう少し時間がたってからだった。

記者のケースは、典型的な閃輝暗点の症状といえそうだ。もちろん個人差があり、なかには頭痛が起きない人もいるという。20代の若い世代に多く見られる一方、記者のように40〜50代にも起きる。原因はストレスや睡眠不足、カフェインやアルコールの摂取を指摘する医師もいる。そういえば記者は、暑さで寝苦しい日が続いており寝不足気味だと感じていた。カフェインやアルコールも少々多めで、ストレスもそれなりに感じている。条件がそろっていたと言えなくもない。

通常は自然に症状が治まるが、中高年で発症した場合はまれに脳梗塞や脳動静脈奇形、脳腫瘍が原因になることがある。何度も症状を繰り返す、閃輝暗点の後は常に頭痛が起きないといった「典型ケース」と違う人は、眼科や脳神経外科といった専門医をたずね、場合によっては精密検査を受けた方がよいだろう。記者の場合も、今のところ「自己診断」にとどまっている。素人判断は禁物なので、一度検査を受けるつもりだ。