6月27日に自身のブログで夫を断罪する第一弾を発信して以来、youtubeと連動させて継続している「松居一代劇場」。怖いもの見たさというべきか、興味本位というべきか。「別にファンだということもないし、渦中の夫婦には何の感情もない」と言いながら、「ついつい気になって見てしまう」「終わってほしくない」というアラサー&アラフォー女性が驚くほど多いのです。

芸能人の不倫がスクープされて、ワイドショーやネットニュースで大きく取り上げられることは、今や珍しくもなんともありません。しかし、それは無理やりに暴かれたものです。プライバシーに立ち入り、他人が調べ上げた情報です。嬉々として加担するのは人としてどうなのか、という思いもある。それに、誤報の可能性もあります。信用はしきれません。

その上不倫ゴシップは、自分が置かれている立場によって人それぞれ、思うことも違います。

直近で言えば渡辺謙さん。報道陣に囲まれて謝罪会見をする姿をテレビで見て、「無関係の人にまで詰め寄られて気の毒」という人もいれば、「奥さんがかわいそう、不倫するなんてひどい」という人もいます。一方で、3年も付き合っていて、バレたら即切りという仕打ちを受けた不倫相手の女性に「自業自得とはいえ身に積まされる」とシンパシーを感じる人も。これは、知人のアラサーの女性が言っていたことですが、「不倫の話題は、自分ごと化しやすい案件だけに、うっかり口を滑らせて意見したりすると、話した相手に逆切れされたり、無言になられたりする場合もあるので、会話に盛り込みにくい」のです。

しかし、今回は完全なる「本人発信」で、しかも「やりすぎ感満載」です。ここがある意味「新しい」。ほかの芸能人の不倫騒動と違い、“あれはないよねー”と外野同士、心をひとつにできるのです。そして、やりすぎだからこそ現実感がなく、「おもしろいドラマ」を見ている気にさせられる。だから、アラサー&アラフォーも食いつくのです。ターゲット世代じゃなくても盛り上がっている、リアル版『やすらぎの郷』とでもいいましょうか。

しかも先週には、船越さんがMCを務めるNHKの番組に南果歩さんがゲスト出演というミラクルが。子育てを振り返り、“あの時代がいちばん幸せだった”と語り合うという、思いがけぬ“スピンオフ”ドラマも登場し、「松居一代劇場がさらなる深みを増した」とLINEを送ってくるアラフォーもいました。

また、ある20代の女性は、「人の不幸って癒されるじゃないですか。とはいえ、誰かのせいで不幸になっている人に対しては、人の不幸を喜んでいいのかっていう葛藤が芽生えてしまいますよね。今回は本人が勝手にどんどんと落ちて、まずい状況になっているだけだから。心おきなく人の不幸を味わえるんです」と言っていました。崖の上から、岩肌にコツンコツンとぶつかりながら転がり落ちていく石を「ああ、落ちていくなぁ」と眺めるように、じっと松居さんの動向を見つめる……。松居一代劇場をホラードラマと称した人もいましたが、見ている方にもホラーっ気があります。

赤裸々に語るのは松居一代の専売特許

もちろん、「アホすぎて無理」「見たくない」「話題にしないでほしい」という人もいます。

別の知人の20代女性は、「なんで自分の恥ともなるようなことを、わざわざするんですかね。どうかしているとしか思えない」と言っていました。でも、もともと松居さんは、“ぶっちゃけ主婦キャラ”で人気が出た人です。話がおもしろいからと、あまたいる“お掃除の達人”から一歩突き抜け、主婦向けのテレビに多く出演するようになった。そして、自身が開発したとして売り出した「マツイ棒」がバカ売れしたのです。

つまり、なんでもかんでも赤裸々に語るのは、彼女の専売特許ともいえるもの。本人にとっては通常営業、「芸のひとつ」なのではと思ってなりません。

別居している夫の家から浮気の確たる証拠を持ち出し、それを公開。世間体を気にする一般人なら、「自分が非難されそうだから、そんなこと絶対にできない」と、躊躇してしまうでしょう。でも松居さんは、やすやすとやってのけます。そして、それをおもしろおかしく加工した上で、見せてくれる。昼ドラのようにドロドロしたドラマが好きな人にとっては、「もっと見せてー」です。

巻き込まれた人はたまらないでしょう。とくに、自分がかつて送った手紙を奥さんに見つけ出されて、勝手に公開されるなんて。真実はともあれ、当人であれば、本当にやめて欲しい行為です。でも、観客として見せられている分には、より具体的になって「おもしろい」。同業者のアラフォーの女性は、「さすが脚本家、いい文章を書くなぁ」と、唸ったりもしていました。筆跡の違いから、松居さんのねつ造ではとのウワサもありますが、これが自作自演なら、松居さんの構成力には感服です。

ここまでくれば、もはやエンタメ以外のなにものでもありません。私たちが初めて見るタイプのドラマです。どんなエンディングを迎えるのか。同じSNS時代を生きるものとして、主人公の行く末をしかと見届けたいものです。
相手に浮気や不倫をされたときにSNSで暴れまくる人って、今後、一般人の中からもどんどんでてきそうですよね。

部外者の一般人には「松居一代、ヤベエ!」以外、なにも伝わってこないという残念な事実。

「アプリを仕込んで夫の不倫現場に乗り込む」「ありとあらゆるSNSから脅しと泣き言をエンドレス送信……」。その2では、あずき総研がアラサー&アラフォーに聞いた「私が体験した男と女の別れの瀬戸際」を紹介します。