板垣退助の名セリフは創作が濃厚か

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 偉人伝などで伝えられる偉人たちのエピソードは、常に感動的だ。しかし実際には、脚色されたものが少なからず含まれている。

 江戸末期、幕府側で活躍した新選組。苦楽を共にしてきた同志でも、〈士道に背くべからず〉といった禁を犯せば容赦なく斬り捨てるという、「局中法度」が広く知られている。だが、実際には新選組の隊則に局中法度なるものは存在しない。

 局中法度については、歴史小説家の子母澤寛の『新選組三部作』以前には登場する史料が確認できないことから創作とする説が有力となっている。

 一方、自由民権運動の象徴・板垣退助が遊説中に暴漢に襲われ、「板垣死すとも自由は死せず」と発したというエピソードも脚色があると考えられている。後に当時を振り返って板垣自身が「声も出なかった」と回顧録に書き残していることから、随行していた自由民権家の叫んだ台詞であるとする説が有力視されている。

 また、脚色とは異なるが、西郷隆盛はといえば上野にある犬を連れた銅像が有名。だが、西郷は写真を残していない。銅像の顔は弟の西郷従道などをモデルにイタリアの版画家・キヨッソーネが残した肖像を元に作られたのだ。

※週刊ポスト2017年7月21・28日号