試合前は、分刻みのスケジュールで動くだけに、ちょっとした気遣いがありがいと三浦監督。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 暑い日が続き夏も本番なのか? 鹿児島では、このうだるような暑さが11月まで続くという。もちろん、県民の皆さんも暑いのだろうが、緑(自然)が多い鹿児島の暑さは気持ち良いとも表現できる。気持ちは大事である。
 
 心(気持ち)の持ちようで苦しみは耐えられる。集中して何かに没頭している人が倒れるだろうか? 僕は集中している選手が倒れたのを見たことはない。
 
 大袈裟かもしれないが、日本のことわざにある「病は気から」とは、よく言ったものである。「暑い暑い」と思い、「つらいつらい」と思い、「あ〜頭が痛い、フラフラしてきた」と思うなら、身体もそう反応するだろう。
 
「お!暑くて気持ち良い!集中して走るぞ!」と思えば走れる。
 
 もちろん、一般人の話ではないのかもしれない。プロサッカー選手、またはプロを目指す環境を選んでサッカーをプレーする選手、あるいは他のスポーツをプロ意識を持ってやっている選手、だけかもしれないが……。
 
「氣」の持ちよう、心が大事なのである。
 
 この心を人に向けられると、もっと良くなることがある。それは人の事を思う気持ちである。自分自身の心を人のために砕くことだ。
 
 例えばバス移動でホテルを出発する時のこと。ホテル従業員の方々がバスに手を振ってくれる光景は、なかなか気持ち良い「あるある」なのだが、そうでありながら、ホテルのエントランスから公の道路に出るのに、渋滞混雑でなかなか出ることのできない場合がある。
 
 これをホテルのスタッフが素早く誘導してくれたことがある。歩行者の危険を察知して通行を誘導し、道路に出て車を一通り優先的に通した後に、いったん止めてバスを出発させる。
 
 ガードマンでもないホテルスタッフがさっとやってのけるのだ。これには本当に助かったし愛を感じた。正直、手を振ってくれるよりも……(笑)。
 
 もちろん、ホテル従業員の方にとっては、やる必要のない仕事だ。規則か何か分からないが、やる人とやらない人がいるし、もしくはやれない場合もあるかもしれない。
 
 チームバスが、これから試合会場へ出発するとしたら、分刻みのスケジュールのなか、ホテルを出る。ホテルエントランスから公道に出るのは難しい――。
 
 ここでそんな気遣いは嬉しいものだ。これが「心」であり、「愛」であろう。物事を変えるには愛が必要なのだ。
 規則で決められていることですから、ルールですから、という言葉を鹿児島ではよく聞くが、ルールは変えられる。
 
 それを可能にするのは、心だ、愛だ。
 
 ルールを作ったのも人なら、変えることができるのも人だろう。変えられるのは心のある人だ。そうした「心を持った人」が世の中、減ってしまっているであろう。
 
 どんなに小さなことであっても、自分自身の心で判断しない。いや、判断してはいけないと思い込んでしまっているのかもしれない。
 
 もし、鹿児島ユナイテッドのバスを優先的に誘導したら「他の人に特別扱いしていると見られてしまう」という思い込みで、「誘導してはいけない」というルールを勝手に作っていたとしたら……。そんなルールは、人の心で簡単に変えられるのではないだろうか。
 
「それは鹿児島のチームへの愛であり、私の心である!」と言える人が、この街にたくさん湧いて出てきたら? そこは誰もが羨む憧れの鹿児島になるであろう。
 
 ルールは変えられないのか。いや簡単に変えられる時が来るであろう。
 
 変わる前に「私が」変えたんだと言えるように。心を持って愛を持って目の前で起きていることにぶつかっていってほしい。
 
 何かが良い方向へ動き出す時、何かが大きく変わる時。そこに必ずあるのは「心」や「愛」だ。人にしか持てない大事なモノ。
 
 心を持って愛を持って前進していきたい。
 
2017年7月18日
三浦泰年