28歳の窪田正孝、無気力な高校生役が似合うワケ 『僕たちがやりました』第1話レビュー

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 週刊ヤングマガジンで今年の初旬まで連載されていた話題の漫画が、早くも実写ドラマ化されるとあって、放送前から注目を集めていた『僕たちがやりました』(関西テレビ・フジテレビ系)。18日に放送された第1話では、冒頭から被り物をかぶった4人の若者が夜の街を走る躍動感のあるオープニングで幕を開け、すべての始まりとなる事件につながるプロローグが描かれる。

参考:窪田正孝×永野芽郁、11歳差の掛け合いに期待 『僕たちがやりました』は今期最大の注目作だ

 仲間とボウリングやカラオケで楽しみ“そこそこ楽しい”日々を送る高校生の増渕トビオ。ある時、近所のヤンキー高校の生徒に目をつけられ、トビオの仲間がそのグループにボコボコにされてしまう。復讐をしようと相手の学校に忍び込んでイタズラを仕掛ける彼らだったが、なんとそれが冗談にならないほどの大事件に発展してしまうのだ。

 最近のプライムタイムのテレビドラマでは珍しく、やや激しい暴力描写に未成年(という設定の登場人物)の喫煙シーン、さらには爆発の煽りで火がついたまま走る生徒の姿まで。軽めのタッチでテンポよく描かれながらも、なかなか攻めこんだ作品ではないだろうか。次週からは学校を爆破してしまった主人公たちの逃亡劇が始まる。噂では原作と異なるラストを迎えるそうだが、果たしてどんな展開になるのだろうか。

 さて、高校生たちの物語ではあるが、主人公トビオを演じる窪田正孝は現在28歳。さすがにもう高校生の役は厳しいのではと思っていたが、序盤から電車でボケっとしたり、仲間たちと思いっきりはしゃぐ姿を見ると、全然問題なさそうだ。むしろ、最近の彼が演じてきた“無気力”な若者役がいい感じに凝縮され、年下のキャストの中に自発的に溶け込んでいるようにも見える。

 元々10代後半からキャリアをスタートさせた窪田は、2011年に公開された映画『僕たちは世界を変えることができない。But, we wanna build a school in Cambodia.』で、同世代の人気俳優たちの中で一際輝きを放った。同作ではいわゆる“意識高い系”のキャラを演じていたのだが、年を重ねるにつれてどういうわけか、どんどん正反対の無気力さが似合い始めてしまったのだ。

 近年の代表作となった『デスノート』(日本テレビ系)の夜神月でさえ、彼が演じれば藤原竜也が映画で演じたカリスマ的な魅力とは一味違った“普通の青年”っぽさが強くなり、『THE LAST COP/ラストコップ』(日本テレビ系)にいたっては、唐沢寿明が演じた京極浩介にひたすら振り回されて押さえ込まれる。さらに、映画『ヒーローマニア 生活』や、犯人を逃すネットカフェ店員役で印象に残る演技を見せた『予告犯』と、すっかり現代的な若者像が板に付いている。

 仲間内のひとりを演じる間宮祥太朗や、敵役である新田真剣佑と、すでに貫禄を携えてきている共演陣と比較すれば、なおさら窪田の童顔で人畜無害のキャラクターが引き立つ。年を重ねても見た目の印象がほとんど変わらずに、しかも妙に垢抜けない感じが増していくというのは、役者としてかなり得なことではないだろうか。

 それにしても、間宮と新田の二人に加え、今作のメイン演出を務める新城毅彦監督の『ひるなかの流星』で圧倒的なヒロイン像を演じ切った永野芽郁(参考記事:永野芽郁の圧倒的ヒロイン感に興奮! 『ひるなかの流星』すずめ役の魅力を熱弁)、昨年公開された『青空エール』以後注目を集める葉山奨之と、近年のティーン向け映画に欠かせないキャスティングが勢揃いの本作。

 ほかにも元AKB48のメンバーで、前クールに放送された『フランケンシュタインの恋』(日本テレビ系)の好演が記憶に新しい川栄李奈に、広瀬すずを輩出した「ミス・セブンティーン2012」出身の岡崎紗絵。この完全にティーン層に向けたキャスティングを組んだことは、この世代のテレビ離れだけでなく、不調が続くフジテレビ系のテレビドラマにも大きな革新をもたらすことができるだろうか。

■久保田和馬映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。