文科省は靖国神社を差別していた。行政のチェックは政治家の役割【評論家・江崎道朗】

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【江崎道朗のネットブリーフィング 第16回】
トランプ大統領の誕生をいち早く予見していた気鋭の評論家が、日本を取り巻く世界情勢の「変動」を即座に見抜き世に問う!

◆学校行事として靖国神社、護国神社に行ってはいけない?

 加計学園の問題で文科省と政治の関係が注目を集めているが、文科省が戦後長らく靖国神社や全国の護国神社を差別していたことをご存じだろうか。

 この問題が露見したのは、長崎県議会においてであった。

 平成14年7月3日、長崎県議会で野口県議が「戦没者追悼式に児童・生徒の参列はできないか」と質問したところ、長崎県教育長が「私どもは、昭和二十四年の文部次官通達、これはまだ生きておりますので、これを準拠にして、宗教活動について学校がどう関わっていくかという判断をしている」と答弁した。

 長崎県教育長が引用した「昭和二十四年文部事務次官通達」は正式には、「社会科その他、初等および中等教育における宗教の取り扱いについて」という名称で、そこには、修学旅行などで神社・仏閣を訪問することは許されるとした上でこう記されていた。

(ニ)学校が主催して、靖国神社(以前に護国神社あるいは招魂社であったものを含む)および主として戦没者を祭つた神社を訪問してはならない。

 アメリカ占領軍の支配下で定められたこの禁止条項に基づいて長崎県教育委員会は、修学旅行や校外研修で靖国神社や護国神社、そして忠魂碑がある神社には行ってはいけないと主張したのである。

 これはどう考えてもおかしなことだ。そもそも現行憲法第14条では「法の下の平等」が定められており、国は、特定の宗教を差別してはならない。

 この長崎県教育長の答弁に疑問を感じた野口県議が平成19年秋、衛藤晟一参議院議員に問い合わせた。そこで衛藤議員は文科省に問い合わせたら、次のようなやりとりになった。

衛藤議員「占領下の通達が生きているなんておかしいじゃないか」
文科省「この禁止条項はすでに失効している」
衛藤議員「失効していることを全国の教育委員会に文書で伝えたか」
文科省「問い合わせがあれば失効したと回答しているだけで、文書で伝えたことはない」

 事務次官通達なので法律のような強制力はないが、失効したことを知らない全国の教育委員会はこの通達に従って学校行事として靖国神社や護国神社に訪問することを避けてきた。

 現にインターネットで調べたところ、平成19年の段階で、神社・仏閣の訪問に関する指針としてこの「昭和二十四年文部次官通達」を掲げている教育委員会が多数存在していた。にもかかわらず、積極的な措置をとってこなかったのだ。

◆半世紀ぶりに、学校行事として靖国・護国神社訪問は解禁へ

 文科省の不作為を問題視した衛藤晟一議員は平成20年3月27日、参議院文教科学委員会においてこの禁止条項について質問したところ、渡海紀三朗文部科学大臣は「該当項目は既に失効している」と、初めて公式の場で表明した。

 この答弁によって敗戦以来半世紀ぶりに、学校行事として堂々と児童・生徒は靖国神社や護国神社を訪問することができるようになった。

 さらに学校において靖国神社など特定の施設について「批判的な授業」を行うことについても、渡海文部科学大臣は「国公立学校は宗教に対する援助や圧迫などに当たる活動は禁止されている」のであって、靖国神社を誹謗するような「差別的な扱いは解釈を押し付けることになり、好ましくない」との認識を示した。この答弁によって、学校において、靖国神社や護国神社について誹謗・圧迫するような授業は行ってはならないことが明確にされた。

 もっとも「それでは、いつ失効したのか」との質問に対しては明確な答えが返ってこなかった。子供たちに学校行事として靖国神社に行ってはいけないと禁止しておきながら、その禁止条項がいつ失効したかは判らない。そんな馬鹿なことがあるかと問題視したが、元経済産業大臣の平沼赳夫衆院議員だった。