血管奇形について専門家が解説

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 赤アザや青アザは原因によって、腫瘍性の血管腫と血管の構造に異常がある血管奇形に大別される。同じように見える赤アザでも原因が違うことがあり、MRIやCT、超音波などの画像診断を行ない、それでも判別しにくい場合は血管造影で診断する。乳幼児の1.7%に発生する乳児血管腫は、大半が小学校入学までには自然退縮するが、瘢痕(はんこん)として残る場合もあり、必要に応じて保険適用となっているレーザー治療や内服薬治療が行なわれる。

 血管構造の異常に起因している血管奇形は、生まれた時から、はっきりわかるものと成長につれて目立つものがある。血管奇形は毛細血管奇形(単純性血管腫)、静脈奇形、急に悪化することもある動静脈奇形があり、治療は大きさや種類、場所によって異なる。

 慶應義塾大学病院形成外科、血管腫外来の荒牧典子医師に話を聞いた。

「毛細血管奇形は、毛細血管の構造に異常がある状態で、皮膚の浅い部分にあると、毛細血管が太く広がったまま収縮しないため、その結果、血流が滞り、その部分が赤く(赤アザ)見えます。治療は赤アザ用の色素レーザーが保険適用になっており、顔面や頸部での有効率は70〜80%といわれています」

 色素レーザーは特定の色素だけに反応するもので、毛細血管奇形には赤い色素の標的となるヘモグロビンだけに吸収されるレーザー光線を用いる。事前に表面麻酔(シールや軟膏)を照射する場所に1時間程度行ない、麻酔が効いたところで、ごく短時間(小さければ約5分程度)照射する。これにより、標的のある血管の壁だけを選択的に焼いて破壊できる。

 乳幼児から照射を行なうことが可能で、治療効果を見ながら保険治療では3か月に1度、実施する。毛細血管奇形に対するレーザー治療は、成人になってからでも治療効果が認められている。

 頻度は少ないが顔面や頭頸部、口腔や四肢など、全身どこにでも発生し得る静脈奇形は、疼痛をともなうこともある。病変範囲が狭い場合は、異常な血管を切除し、皮膚を縫合する手術を行なうこともある。また、新しい治療法として、この施設では異常な血管に硬化剤を注入する硬化療法の臨床研究が始まっている。

 硬化療法は、消化器分野での食道静脈瘤や下肢の静脈瘤の治療としても一般的に実施されているものだ。

「当院で臨床研究として行なっている静脈奇形に対する硬化療法は、超音波で見ながら静脈奇形の血管に細い針を直接刺入し、造影剤を注入して病変を確認した上で、そこからポリドカノールという硬化剤を注入します。これにより、異常な血管の内皮細胞が障害され、縮小することを目指しています」(荒牧医師)

 治療の多くは日帰りの局所麻酔下で行ない、部位や年齢によっては入院して全身麻酔で行なうこともある。複数回の治療が必要になる場合が多く、効果は1〜3か月程度で現われる。ただし、四肢全体など、病変の範囲があまりに広い場合は、治療が難しい場合もある。

●取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2017年7月21・28日号