昭和では当然のように豊かさの象徴とされていた、マイホームや自動車、腕時計。そんなモノには目もくれず、独自の価値観のもと、真逆の方向へ歩みを進めるのがミレニアル世代。一概に世代で括るのはナンセンスですが、彼らには「とにかくモノを買わない」傾向があるのだそう。

このたび、そんな消費行動の背景を、“ミニマリズム現象”のエキスパートJoshua Becker氏が考察。モノを持たざる者の心の中が、少し透けて見えてきます。

小売業界には、大きく分けて2つの懸念点があります。

まずは「短期的な懸念」から。これは非常にシンプルで、今後品物の売れ行きは良くなるのか?というもの。今にはじまったことではありませんが、住んでいる家の大きさや市場価値、GDPで成功を判断する世の中では、より多くの消費者にモノを買うよう促す必要があります。

ただし、「長期的な懸念」は、さらに大きなインパクトを市場に与え得るもの。それは、ミレニアル世代はモノを買わない、ということです。

モントリオールのラジオに出演したとき、購買欲がないことが年齢に関係しているのかどうかについて質問をされました。インタビュアーの人は、モノを買っても空虚感を際立たせるだけだから、物欲が減っていくと考えていたのかもしれません。

僕は、各世代にすでにモノをあまり買わないという考えは広まっていると思うので、少し違います。ここでは、なぜミレニアル世代がモノを買わないのか?という疑問に焦点をあてたいと思います。

01.
多くのモノを持っていると
自由に移動ができない

テクノロジーによる改革が起こってから生まれてきたのがミレニアル世代。距離に関わらず繋がることができる、ある意味では狭い世界で暮らしています。

当たり前のようにカフェで仕事ができてしまう現代では、とどまることではなく、動き続けることがかえって安定につながったりも。ミレニアル世代にとっては、モノに囲まれた家に住んでいることが、移動の障害になってしまうのです。

02.
そもそも、
「所有」という意識が薄い

テクノロジーのおかげで、僕たちはより簡単に繋がれるようになりました。また、スマホを使って家や自転車、車、本、音楽などの「モノ」を借りることもできます。所有権という考えがここまで薄れたことは歴史上ありません。

03.
モノを買うことよりも
環境を大切にする

ミレニアル世代は、他の世代よりも環境の変化に敏感です。これが購買欲に影響を与えています。

04.
田舎で豊かに暮らすよりも
都会でシンプルライフ

The Wall Street Journalのレポートは、「ミレニアル世代の88%が都会に住みたいと思っていて、そのために支出が増えるのは構わないと3分の1が思っている」といいます。

多くの人がより大きな家を郊外に築くだろうと小売業者たちは予想していました。しかし、若い世代は徒歩圏内で住めるような場所に住み、何事もシェアする生活を求めているため、消費は減少傾向にあります。

05.
消費の対象は
目に見えない体験や健康

ミニマリズムとは消費をしないということではありません。ミレニアル世代は所有できるものではなく、自身の健康や食事を含めた体験に価値を見出そうとしているのです。

06.
金銭的に余裕がない

ミレニアル世代は不景気の真っ只中で卒業をして、社会へ出ました。多くの経済レポートは、この世代は多額の学生ローンを抱えていて、近代社会が始まって以来、最悪な雇用状況を経験していると分析します。

07.
たくさん買うのではなく
質の良いモノを長く使う

ある研究によれば、75%の人々が企業は利益を追い求めるだけでなく、社会や環境を改善することに力を注ぐべきだ、と考えているそうです。70年代以前に生まれた人がどう答えるのかは気になるところですが、確実に言えることがあります。ミレニアル世代はこの信念のもと、必要なモノを品質にこだわりながら長く使っていることです。

ミレニアル世代は
大人になるのが遅い?

また、もう1つの大切な要因があると思います。ミレニアル世代は大人になるのが遅いということです。経済学者は、結婚をする、家や車を買う、子どもを作る年齢が高くなっていると指摘します。結婚に対する重要さは変わっていないそうですが、後でもできるという考えも浸透しているようです。

育ってきた環境がミレニアル世代をミニマリストのようにしたのか。または、将来的にはモノを買うようになるのか。この結果は未来の経済学者が導き出してくれるでしょう。

ただし悪い方向に行くとは、僕は思いません。両親や祖父母の世代が借金に苦しんでいるのを目の当たりにしているからです。こう考えると、ミレニアル世代は生まれつきミニマリストなのかもしれませんね。 

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