携帯の電源は切りましょう。仕事の電子メールを気にするのもやめましょう。人里離れたペルーの山奥に1カ月程こもって、ヨガを楽しみ、瞑想にふけり、アマゾンのジャングルを探検しましょう。休暇を終えて戻れば、職場はいつも通りにあなたを迎えてくれます。しかも、その間の給料も全額支払われます。

まるで夢のような筋書きに聞こえますが、これは実際にEコマースおよびマーケティング企業のWeeblyでモバイルエンジニアリング部門のディレクターを務めるBen Bloch氏が、2017年後半に計画していることです。

Weeblyは型破りな採用術を採り入れてきたことで、すでに注目を集めています。そして今度は、これまでになかった従業員の繋ぎとめ策を試しています。

Weeblyは最近、従業員の燃え尽き症候群を防いで従業員定着率の向上を図るために、6週間の有給長期休暇制度の導入に踏み切りました。社内で「Weebly Wanderlust」(Weeblyの旅行熱)と呼ばれるこの制度は、所属部署、肩書、地位に関係なく、5年以上勤務したすべての従業員が利用できます。また、この制度には世界中のどこであれ、従業員が希望する場所への1人分の国際線航空券が含まれています。

この制度はまだ導入されたばかりですが、すでに何人かの従業員が利用しています。ある従業員は、家族を引き連れてヨーロッパを横断する大旅行を楽しんでいます。別の社員は、日本のある家族と自宅を交換して1カ月滞在しています。ほかにも、イタリアやフランスへの家族旅行を計画している従業員が何人かいます。

長期有給休暇制度は、間違いなく非常に魅力的な特典です。ですが、Weebly側にしてみると、これは戦略的な動きといえます。会社としては、この非常に魅力的なプログラムにより、優秀な従業員が長く定着してくれることを期待しているのです。

長期休暇制度の科学的分析

長期休暇(サバティカル)は大学などでは昔から見られる制度でしたが、そのコンセプトは企業の世界でも根づきつつあります。アメリカ心理学会が発行する、応用心理学の学術誌「Journal of Applied Psychology」に掲載されたある研究によると、長期休暇制度を利用した人ではストレスの度合いが低くなることが判明しました。この制度を利用して職場に戻ってきた従業員は、休暇前に比べてストレスが少なくなっていたのです。

休暇中は、電子メールをチェックしたり、臨時の会議に出席したりすることは推奨されません。完全に仕事から隔絶され、異国へ旅行した従業員は、よりポジティブな経験を積んでおり、長期休暇制度によって幸福度と自信が改善されたと報告されています。

WeeblyのCEOを務めるDavid Rusenko氏は、完全に仕事から切り離された環境を受け入れるよう従業員に勧めています。また、それこそが制度の成功のカギを握るとも考えています。Rusenko氏はこの制度をきっかけに、従業員が「情熱を注げる何かを探求し、自分の世界を広げ、そこで得た経験、新たな視点、新鮮な姿勢をWeeblyに持ち帰ってほしい」と語っています。

少しだけ仕事から離れてみる

数カ月間仕事から離れてみる無給の長期休暇であっても、同様にストレスを発散させ、気分を高められるでしょう。もちろん、それだけの金銭的な余裕があればの話で、誰にでもできることではありませんが。

なにも、仕事やキャリアを完全に放棄しろと言っているわけではありません。時折、自分だけの時間を作るということです。

Googleの販売担当幹部であるRachael O'Meara氏は最近、「ニューヨーク・タイムズ」誌に自身の経験に関するエッセイを寄稿しました。燃え尽き症候群に見舞われ、業務をうまくこなせなくなった彼女に対し、Googleは3カ月間の無給の休みを取ることを許可しました。

「いったん仕事を離れたおかげで――私はそれを『一時停止』と呼ぶようになりましたが――、自分の道を再評価し、自分の強みと目標をじっくり考えることができました。3カ月後、私は新しい業務と新たな展望を得て、Googleに戻りました」とO'Meara氏はつづっています。O'Meara氏はその後、キャリア燃え尽き症候群を防いで本当の幸せを見つける方法についての本を執筆しました。

従業員がより幸せになり、ストレスが小さくなるのは、誰にとっても良いことですよね? 従業員の幸福度が上がれば、それに伴って長期的なコストを削減できる可能性もありますしね。

Why One Company Is Paying Employees to Take Their Dream Vacation | Inc.

Image: jannoon028 / Shutterstock.com

Source: Weebly, Inc. 1, 2, APA PsycNET, ニューヨーク・タイムズ, Penguin Random House

Reference: Wikipedia