片脚の男性モデル「ミスター・イングランド」に決定(画像は『cetusnews 2017年7月17日付「Male model becomes the first amputee to be crowned Mr England」』のスクリーンショット)

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「ミス・ワールド」が主催する世界三大“イケメン”コンテストのひとつ「ミスター・ワールド(Mister World)」のイギリス大会で、片脚の男性モデル、ジャック・アイヤーズさん(Jack Eyers、28)が「ミスター・イングランド2017」の栄冠に輝いた。今月14日にバーミンガムで最終審査が行われ、ファイナリスト24人の中から選ばれた。英『Metro』など複数のメディアが伝えている。

英ドーセット州ボーンマス出身のジャックさんは、先天性大腿骨欠損(PFFD)による腰部分の奇形と右脚の形成不全のため、16歳の時に右脚を切断した。手術後、一度は消防士として働くことを夢見たが諦めている。もともとスポーツが好きだったジャックさんはその後、身体を鍛えることに専念し、2010年からはエクササイズや健康指導などを行うパーソナルトレーナーとして働き始めた。

そんなある日、障害者支援センターでふと手に取った雑誌に“モデルにも多様性を!”と謳うモデルエージェンシー「Models of Diversity」の広告が掲載されていた。「自分がモデルとして活躍するなんて思いもしなかった」というジャックさんだが、エージェンシーの創設者に連絡をとったことがモデルとしてのキャリアの始まりだった。

今回「ミスター・イングランド」というビッグなタイトルを掴み取ったジャックさんだが、これまでの人生はつらいことも多かったという。ジャックさんは「右脚の切断が人生の転機となった」と語り、こう続けた。

「私の右脚には筋肉がなく、膝関節も正常に動きませんでした。だからいつも脚を引きずっていました。運動が大好きなのに参加することができず、小学校ではいじめも受けました。右脚の切断手術をするまでは『これはできない。あれもできない』と自分にブレーキをかけてばかりいました。でも脚がなくなってその呪縛から解き放たれたのです。」

「『今までとは違う新しいことにチャレンジしたい』と前向きになっていた時に迎えたのが、2012年のロンドンパラリンピックでした。開会式パフォーマンスのオーディションに合格し、その日に備えて約4か月、空中ブランコやロープを使った過酷なトレーニングを重ねました。パラリンピック当日、8万の観衆を前にアクロバットを披露した後、達成感とともに強く思ったことがあります。それは『障がいを持っているから無能だとか、弱いとか、そんなことは全くない。障がい者も強く生きることができるんだ!』ということです。」

こうして日々身体を鍛え上げ、自信をつけたジャックさんは2015年2月、ニューヨーク・ファッションウィークにて“脚を切断したモデル”として初めてランウェイを歩き話題となった。その勢いはとどまることを知らず、その後はミランやモスクワのファッションウィークにも参加している。

そんなジャックさんのモデルにかける思いは熱い。

「障がい者がパーソナルトレーナーをしていると聞くと、『え、本当?』といった返事が返ってきます。障がい者がモデルとして活躍していることもほとんど認知されていません。でも私はこの壁を壊したい。この5年間、私がモデルとして積み上げてきたキャリアは、『障がいを持っていてもファッション業界で活躍できる』ということを証明しています。これは私が他の障がい者のロールモデルとなれるよう必死に努力してきた結果です。」

「今回この大会で優勝できたことを非常に光栄に思っています。しかしこのコンテストは身体の美しさだけでは勝てません。体力、精神力などありとあらゆることが試されるからです。」

ジャックさんの次なる目標は来年に開催されるミスター・ワールドで優勝することだ。強靭な肉体とたくましいチャレンジ精神で人生を切り開いてきたジャックさんなら、世界一の可能性も十分あるだろう。

ジャックさんと同じように、ハンデを個性に変えてモデルデビューを果たしたスペインの少女、アルバ・パレーホさん(16)も今年話題となった一人だ。アルバさんは顔や手足、背中など全身に500以上のほくろがあり、小さいころから「ダルメシアン」とからかわれいじめられた。しかし地元でその存在が知られるようになると「私たちは一人一人違います。誰も完璧な体など持っていません。隠すことなど何もないのです」と語り、同じ病に苦しむ人々をインスパイアする存在となっている。

画像は『cetusnews 2017年7月17日付「Male model becomes the first amputee to be crowned Mr England」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)