2011年リリースのアルバム『Watch The Throne』でタッグを組んだジェイ・Zとカニエ・ウェスト。2人の共作は大きな話題となり、大物アーティスト同士、そしてビジネスパートナーとして最高のコンビに思えた……のだが、ここ最近は互いに中傷しあう場面がよく見られるようになった。一体、彼らの間に何があったのだろうか?

ジェイ・Zは先日リリースした自身の最新作『4:44』の1曲目「Kill Jay Z」の中で「お前(=ジェイ・Z)が傷ついたのは/気前よく2000万ドルくれてやったのに/奴(カニエ)がくれたのはステージ上での20分(のディス)だけ」と、借りがあるのに文句を言ったカニエの言動を揶揄。一方のカニエは、ジェイ・Zの音楽配信サービス<Tidal>から一方的に離脱し、未払いだと主張する300万ドル(約3億4000万円)の支払いをジェイ・Zに求めている。

とはえい2人の不仲説の原因は、もちろんこれだけではないはず。ということで、ヒップホップヘッズにはお馴染み<Genius>が、コトの顛末を解説する動画を公開したので紹介しよう。これを観れば“破局”に至るまでの流れがよく分かるはずだ。

https://www.youtube.com/watch?v=-ZRgAoLHxCQ

出典: www.youtube.com

2人の最初の出会いは2000年。カニエがジェイ・Zのアルバム『DYNASTY』の「This Can’t Be Life」をプロデュースしたことをきっかけに交流が始まり、それからも実りあるコラボは続いた。だが、当時から互いに反りの合わないところがあるのは見え隠れしており、カニエは「ジェイ・Zの新しいやつ聴いたんだけど、個人的にはもっとこう、シンプルでストレートなのが聴きたかったんだよな」とラップ。かたやジェイ・Zはカニエを<ロッカフェラ・レコーズ>のお抱えプロデューサーとして招き入れる一方で、「俺たちはストリートで育ち、生きのびるためなら何でもやった。でもカニエはそういうの一切やってないからね。少なくとも売人はやってないだろ」と、ラッパーとしては認めなかった。

その後、カニエは自身がコールドプレイとコラボした直後にジェイ・Zも共演したことをあげつらって、“真似した”とラップで揶揄している。それでも歴史的なコラボとなった『Watch The Throne』のリリースに至るのだが、その直前に意見の食い違いがあったらしい。なんでも、ジェイ・Zはすでに2枚のアルバムを控えていて、『Watch The Throne』の直後にリリースしようとしていたのだが、それをカニエに聴かせたところ「『Watch〜』をまず売らないとダメだろ!」と主張されたそうで、いわく「4日間も議論したよ」とのことである。

そして、ついに最初のオンステージ・ディスがカニエから発せられることになるのだが、その矛先はジェイ・Zとジャスティン・ティンバーレイクがコラボした「Suits And Ties」に向けられた。「HOV(※ジェイ・Zの愛称)に対しては愛があるけど、あの曲だけは気にいらねえよ」とはっきり言い放ったのだ。

『Watch The Throne』の後、ジェイ・Zが2013年に『Magna Carta Holy Grail』をリリースすると、当然そのニュースがメディアやSNSを席巻したが、カニエはこれをガン無視。それどころか“俺は興味ないね”と言わんばかりに「『パシフィック・リム』を観たんだけど、これまで観た中でも一番気に入ってる映画の一つだな」と、全く関係ない内容をツイートした。子どもか!

そしてキム・カーダシアンとの結婚式にジェイ・Zと妻のビヨンセを招待するのだが、夫妻はこれを欠席しバカンスに出かけてしまう。これが二人の不仲を決定的なものにした……とはちょっと言い難いが、よく思わないのは当然だろう。その数ヶ月後に開催された<ボナルー・フェス>のステージでは、カニエはジェイ・Zのヴァースをあからさまに削除している。

その後、ジェイ・Zは自身が買収した<Tidal>をローンチ。当初カニエは自身のアルバム『Life Of Pablo』を『Tidal』で独占配信するとツイートしていたが、予想通り、その直後に<Apple Music>と<Spotify>、そして自身のサイトで販売を開始してしまう。この一件で2人の関係は決定的におかしくなった、と見ていいだろう。

その他にも色々と揉めたあげく、カニエはビヨンセにも矛先を向ける。「ビヨンセよ。俺は傷ついたよ! 」とステージで話し始めるのだが、なんでもビヨンセが<MTVビデオミュージックアワード>で「カニエとドレイクに勝てなかったらパフォーマンスしない」と発言したという話を聞いて、どうにも気にいらなかったらしい。「ジェイ・Z、一度電話くれよ! 殺し屋とか雇ってるのは知ってるけどよ、そいつらをよこすんじゃなくて直接話合おうぜ、男らしく一対一でよ!?」と訴え、ライブは10分ほどで切り上げてしまった。

こうした状況の中、ジェイ・Zはしばらく沈黙していたが、新作『4:44』のリリースの他に、新たに3曲リリースするという。もしかしたら、その中で2人の亀裂について言及している可能性もあるが、今後2人の関係がどんな結末を迎えるのか? もう少し様子を見守ろう。