「セカンド医師」はどうやって探すのか

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 セカンドオピニオン(SO)の重要性が叫ばれて久しい。古くは医師が権威として存在し、患者が診断や治療方針に口出しすることは難しかったが、時代の流れとともに「複数の選択肢から治療法を検討したい」という患者のニーズが高まってきた。

 主治医との折衝後はSO先の医師や病院を選ぶことになるが、「病気の有無、病名の診断」に疑問がある場合、再診察する病院や医師を自分で選ぶ必要がある。どのように「セカンド医師・病院」を選べばよいのか?

 そもそも、良い医師や病院の情報はどうすれば入手できるのか? それには、全国にある「患者会」を探して入会するのが最善の選択肢となるという。

「とくにがんの場合は病院や発症部位・種類ごとに全国3000もの患者会があります。実際にがんを経験し、勉強している患者に話を聞けば、病院や医師についての有益な生の情報を入手できます」(がん難民コーディネーターの藤野邦夫氏)

 地元の役所や前出のがん相談支援センターなどに相談すれば、居住地域にどんな患者会があるか教えてもらえる。そして、昨今ネットには健康情報が多数存在するが、SOにおいて、ネット情報は役に立つのか? というのも昨今の重要テーマだが、ネットの世界は玉石混淆だけに信頼できるサイトを利用したい。

 医療ジャーナリストの油井香代子氏が勧めるのは、「Minds医療情報サービス」と「『統合医療』情報発信サイト」。がんの場合、種別ごとに症状や治療法を検索することができる。病院のホームページを閲覧する場合は、更新状況もこまめにチェックしたい。

「ホームページの更新が頻繁でない病院は、人手や予算が足りていない、熱意を持って診療が行なわれていない可能性もあります」(油井氏)

 主治医にセカンド医師の紹介を受ける際、気をつけたいのは、新たな治療法を検討したい場合だ。主治医に医師を紹介してもらうのがSOの王道である。この時、SOの医師をチェックするバロメーターになるのが出身大学だ。医療の世界は出身大学で診断や治療が似通うことが多い。

「特に外科は出身大学の上下関係がはっきりしていて、同じ学閥の医師を紹介するケースが多く、診断も似たり寄ったり。SOは客観的な第三者の意見が重要だが、同じ大学の医師だと適切な情報が得られないことが多い」(開業医の北野國空氏)

 胃がん患者の60代男性は大学病院の主治医に「胃を3分の2切除した方が良い」と手術を勧められた。SOを求めたが、「セカンド医師」に主治医と同じ診断を下されて切除手術を受けたという。

「ところが後に調べたら、切除より負担の軽い『縮小手術』を行なうことが可能だったそうです。セカンド医師が過去に大学病院で主治医と師弟関係にあり、その配慮から主治医と同じ治療を勧めたのではないかと考えられます」(油井氏)

 出身大学だけでなく、診療科にも気を遣いたい。主治医と同じ診療科だと治療方針が重なってしまうことが多い。

「外科系の医師は手術を勧めるケースが多く、内科系の医師は薬物治療に傾倒しがちなので、SOは主治医と違う診療科の医師に求めると選択肢が広がる。多様ながんを診ていて幅広い知識がある病理医や放射線科医は中立的な診断をするのでSOに向いています」(油井氏)

 前立腺がんを患った60代男性が振り返る。

「外科専門医の主治医から手術を勧められたが、SOの放射線科専門医は切らずに治せる放射線療法があると教えられ、治療の選択肢が広がりました」

 この男性は負担の大きな手術を回避して現在も治療を続けながら、元気に過ごしている。セカンド医師の紹介を主治医に頼む際は、「別の出身大学・別の診療科」とリクエストするとよいかもしれない。

 また、主治医から「あなたのがんは手術できない」と診断された場合にSOに選ぶ病院の基準については、手術ができない状態であれば、「放射線治療」「温熱治療」「抗がん剤治療」などの設備や緩和ケアが充実しているがん専門病院のほうが選択肢が広がるため、SO先にリクエストしたい。

 なお、セカンド医師は「指名」できるのか、ということについて藤野氏はこう語る。

「できます。事前にせっかく良い医師を調べても、SO担当の医師は当番制であるケースが多いため、普通に行くとどの医師に当たるかわからない。私の経験上、患者や家族が強く望めば特定の先生宛の紹介状を主治医に書いてもらうことができます」

 気になるSOを受ける際の費用だが、SOは主治医に伏せて「初診」として受ける場合を除いて、すべて保険適用外の自由診療となる。

「公立病院は30分2万円前後が相場だが、私立だと値段に幅がある。医師の忙しさや肩書きなどで価格に差が出るが、高額だからといって必ずしも患者に有益な診断をするとは限らない」(油井氏)

※週刊ポスト2017年7月21・28日号