トランプとカタール航空CEOに共通点、「権力者」とは不可分の特異性か

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どうやらカタールには、ドナルド・トランプ米大統領の「ソウルメイト」と呼べそうな人がいるようだ。カタール航空の最高経営責任者(CEO)、アクバ・アル・バクルだ。

宗教については対立するだろう。トランプは昨年、「イスラム嫌い」を前面に打ち出した選挙戦を繰り広げ、政権の座に就いた。そして、バクルはイスラム教徒だ。ただ、二人はそれぞれの特異な思考について、互いに深く理解し合えるはずだ。

例えば、女性に対する考え方だ。トランプは若い女が好きらしい。現在の妻メラニアは24歳年下。長女イヴァンカが17歳だった1999年には一緒に出演したラジオ番組で、「娘より若い女とは絶対に付き合わない」と約束していた。

一方、バクルは7月上旬、訪問先のアイルランド・ダブリンで、集まった聴衆の前で「カタール航空の客室乗務員の平均年齢は26歳だ」と自慢げに語った。そして、笑いが起きたこと受けてこう続けた。

「アメリカン航空の機内でサービスを提供してくれるのは、ばあさんばかりだ」──女性の価値は若さと美しさで決まると考えているトランプと、全く同じではないか。


カタール航空のアクバ・アル・バクルCEO(中央)

昨年の大統領選の選挙期間中には、トランプが「女性の陰部をわしづかみにした」と自慢する発言を録音した音声が流出した。カタール航空の女性従業員に対するバクルの冷酷な支配力の行使も、スウェーデンのジャーナリストによって明らかにされている。バクルは従業員のブリーフィングの途中に一人の客室乗務員に対し、「痩せろ」と怒鳴って命令したことがあるという。

ただ、そのバクルは11日、トランプなら恐らく絶対に拒否するだろう行動に出た。客室乗務員に関する発言が各方面から批判を受けたことで、声明を発表。「素直に謝罪する」と述べた。

「カネと権力」も共通項

私金と公金の使い分けが曖昧だという点でも、二人は同様に批判を浴びている。

カタールの民間航空産業で、バクルが関与していないビジネスはほぼない。政府の事業と民間企業のビジネスが明確に切り離されていないという国も多いが、米国ではそれは受け入れられない。

大統領であることがトランプの事業に利益をもたらしている可能性があることは批判を集めており、トランプを提訴した市民団体「ワシントンの責任と倫理を求める市民」は、「自身が経営するホテルでの宿泊の受け入れやイベントの開催、所有する物件の賃貸、外国での高額な不動産取引などで、外国政府から厚遇を受け、現金を受け取っている」と指摘している。

手にしている権力と資金力から見れば、二人がまるで「宇宙の支配者」のように振る舞うという共通の特徴を持っていても、不思議ではない。だが、「何だと?」と常に人を見下すような二人の態度について行かれる人は、ほとんどいない。こうした態度は他の誰でもない、彼ら自身の力を弱めていくものだ。

「発言で波紋」も同じ

バクルはアメリカン航空の客室乗務員に対する分別のない性差別的、年齢差別的、侮辱的な発言で批判を受けるわずか数週間前に、アメリカン航空の株式取得を目指す考えを明らかにしていた。

このこともまた、トランプの言動を思い起こさせる。トランプに最近できた「親友」のサウジアラビアをはじめとするペルシャ湾岸諸国が6月、カタールとの国交を断絶。国境(陸路・海路・空路の全て)を封鎖したことについて、トランプは各国を支持する考えを表明した。

だが、カタールには米軍基地があり、約1万1000人の兵士が駐留している。それにもかかわらず、トランプはサウジアラビアから聞いたとおりの「カタールがテロの脅威だ」などという言葉を吐いたのだ。

抑制を欠いた大統領の言葉を打ち消すための努力は、今も続けられている。レックス・ティラーソン米国務長官は中東を訪問。問題の解決に道筋を付けようと協議を行った。

トランプとバクルの母親たちは、口を開いて愚か者であることを露呈するよりも、何も言わず愚か者だと思われていた方が良い場合もあるのだということを教えなかったのだろうか。次に民間機を利用するときは、米国の航空会社を利用するべきだ。「おばあさん」から、行儀について教えてもらったほうがいい。