暑いリゾート地では脱水による便秘、プールサイドでのケガが多い。十分に気をつけたいところだ

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 海外で病気やケガをして治療を受けるととんでもない金額を請求される……。そんな話を耳にされた方は多いだろう。Twitterでもアメリカで骨折して2000万円請求された……なんて方のツイートが話題にもなったし、私の友人で海外に住む連中も一様に「本当にビックリする金額を請求される」と口を揃えて言っている。

 さて、そんな海外の高額医療を身をもって体験することになるなど、誰も夢にも思わないだろう。だが、海外旅行が一般化している昨今においては、誰もがそのリスクと隣り合わせになっていることを自覚しておいた方がいい。

◆突然の腹痛で緊急搬送請求された医療費は……

 今年のGW、私は家族でグァムに出かけた。事件は帰国の前日に起きた。帰国前日の夕方、最後の食事に向かおうとした際に4歳の娘がホテルのロビーでうずくまり、「お腹が痛い! 痛い!」と泣き出したのである。

 熱も年に1度くらいしか出さないような健康優良児が、涙を流して痛がるもので、正直、ビックリしてしまい部屋に戻ってさっそく「日本人 医師 グァム」で検索。すると、すぐ近くに日本人医師のいる病院が見つかったので、すぐさま電話。腹痛の状況などを説明するとすぐさまスタッフがホテルまで迎えに来て、私は娘と2人で診療所へ。さっそく医師の診察を受けることになった。

 問診、触診、そして超音波による診察の結果、下された診断結果はなんと便秘。医師によると、子供はリゾート地に来て気持ちが昂揚してしまい、水を飲むのも忘れて遊び回り軽い脱水症状になるも気分が昂揚しているのでそのまま遊び続けてしまい、飲むものもコーラやジュースなどがメインになるので便秘になりやすいのだとか。たかが便秘と思うなかれ、リゾート地では大人でも便秘になることはしばしばあり、大の大人が痛みで涙を流しながら助けを求めることもあるのだとか。

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 そんなこんなで診察も終わり、浣腸を2本処方されて支払いとなったのだが、一応は「海外=高額医療」の心得があったので、まぁ、それなりの金額を請求されるのだろうと思って請求書を見た瞬間、今度は私の腹が痛くなった。その額、実に870ドル。日本円にして、約10万円である。

◆クレジットカードに付帯する保険は要チェック できることなら旅行保険に加入が◎

 私はグァムへ渡航する際に旅行保険に入っていなかったが、幸いなことにクレジットカードに付帯する保険で事なきをえた。だが、肝が冷えたとはまさにこのこと。帰国していろいろと調べたところ、クレジットカードに付帯する保険はカードによって様々な条件が異なり、場合によっては対応できないこともある、とわかった。

 加入者のみのもの、ツアー代金をカードで支払ったか否か、宿泊先のホテルや航空券などの購入でカードを使ったか否か、保険の適用はあっても金額の上限が低いものなどなど……。クレジットカードの種類によって、対応はさまざまだ。また、病院の受付で聞いたところによるとクレジットカードの種類によっては支払いをカードですれば、自動的に保険で相殺してくれるところもあるそうだし、旅行保険に加入した場合はその保険証を持参すれば支払いもしなくて済む場合もあるのだとか。

◆緊急搬送で1000ドル以下ならまだまだ安いほう!?

 では、実際にアメリカに在住の日本人は病気やケガなどの不測の事態にどう対処しているのだろうか。アメリカ人男性と結婚してニューヨークに住む日本人女性に話を聞いた。

「企業の現地駐在員の方々は福利厚生で、こうした保険などはすべて会社が面倒見てくれることが多いので、医療費が高くて……なんてことはあまり気にしないんですが、私のように現地の男性と結婚して住んでいる一般の日本人は自分たちで保険に加入しなければなりません。医療保険に入らずにクレジットカードの付帯保険をやりくりしてる人もたまにいますが、いずれにせよ不便ですよね。ウチは主人と私がそれぞれ毎月400ドルの保険に加入しているのですが、これでもランクは低いほうなので医療機関によっては断られることも少なくないです」

 彼女によれば加入している保険のグレードによって保障される内容は異なり、高い保険料を支払うことでレントゲンなどの検査代金、処方箋の薬代までカバーすることは可能だという。

「日本じゃ考えられないんですが、こっちでは病院で門前払いなんて当たり前です。体調が悪くて病院に行く場合はまず、病院に電話して予約を取らなきゃいけないんですが、この際、保険の種類を伝えなきゃいけないんです。そこで『ウチではあなたの保険は扱えないから、別の所に行ってくれ』とか普通に言われます。ツラかったのは妊娠中ですね。かかりつけの医者がなかなか見つからなくて、風邪なんて引いたら……と思うと気が気じゃなかったですよ」

 だが、こうした保険の種類に関係なく診察して治療をしてくれる病院もある。いわゆるERと呼ばれる救急病院だ。だが、その費用は非常に高額だという。

「以前、嘔吐と高熱でどうにもならなくなったことがあって、病院に電話しまくったんですがすべて断られ、『どうしても治療を受けたいならERに行け』といくつもの病院から言われました。ERは保険の種類に関係なく診察と処置をしてくれるんですが、本当に高い。でも背に腹はかえられぬ状況だったので、主人がERに連れてってくれたんです。一通り診察をして、点滴を一本打って帰らされたんですが後日1200ドルの請求書が来てビックリしました。こちらの医療費の請求は3か月〜半年後に突然送られてくるので、あのときはいくらかかかったんだろう……って医者に行くたびに不安になりますよ(苦笑)」

 この金額は保険が適用された自費負担分である。だが、この金額は現地ではそこまで高額ではないという認識なのだとか。

「ERに行って1000ドル以下なら安かったという認識ですね。医療費が高額なので、基本的にアメリカ人はあまり病院に行きません。日本では老人の方が病院にたむろして〜なんてよくありますが、アメリカでそんな頻度で病院行ってたら破産ですよ。高額な医療費で破産って、こっちじゃ珍しいことじゃないんですよ」

 海外でのケガや病気は甘く見ないほうがいいのである。これからの季節、海外旅行に出かける方も大勢いると思うが、保険の確認はしておいたほうがいいだろう。

取材・文/長谷川大祐(本誌)