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 知っての通り、タカタはエアバッグ不良により空前のリコールとなり、2017年6月末には民事再生手続き開始の申請をして受理された。実質的な負債総額は1兆円を超えるとみられ、国内製造業の破綻では最大規模になると言われている。しかし一方株式市場では、それに乗じた手荒い、現実離れした短期筋のマネーゲームが繰り広げられている。タカタの破綻という損失を、本当はどのように理解すればよいのだろうか?

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■エアバッグという製品に潜む盲点

 エアバッグは、衝突を感知してから0.02〜0.04秒で開かないと乗員を保護できなくなる。だから火薬を使用し「爆発」させ、バッグ拡張ガスを発生させて瞬時にふくらませる仕組みになっている。このガス発生剤に点火する火薬が異常爆発して、インフレーターという発生装置の容器を破壊し、その破片が乗員にけがを負わせる事態となってしまったのである。

 タカタのエアバッグは、「硝酸アンモニウム」をガス発生の起爆剤として使用していた。火薬としては燃えにくいがガス発生量が多く、バッグを効率的に膨らませるのに良い材料だった。しかし、ここに盲点があった。

 タカタは「硝酸アンモニウム」を、他企業が成しえなかったひび割れを起こさない最適なペレットで安定化に成功して製品としていた。しかし、長期間の高温多湿での使用に耐えられずペレットにひびが入り、想定外の短時間の爆発でインフレーター破壊を起こし、その破片を飛ばしてけがを負わせることになってしまったのである。

 その原因との因果関係が特定できないものも含めて、世界で17人が死亡している。理由はどうであれ、不良品を世に出し、人間に不利益をもたらして(消費者の信頼を裏切って)しまったのだから、制裁を受けるほかない。企業の社会的責任でもあり、それが厳しい現実である。

■品質が企業経営に及ぼす影響

 タカタエアバッグのペレットは、“化学薬品であって経年変化を起こす”という概念が欠落した不良品であった。つまり、「悪意のある故意」でなくとも、品質が悪かった。だから製造業の品質保証は、人間のその時の英知の及ばない概念に気付かぬままぶち当たることもあり、難しいのだ。最近のニトリのCMでも「耐荷重試験」の映像が用いられているのは、厳しい検査を行った品質の良い製品であることを消費者にアピールしているわけだ。が、気が付いていない他の要素があるかもしれない。

 もちろんタカタは優良企業で、当然に厳しい品質検査を行っているだろうが、それでも製造工程も含めた湿度管理と、長期にわたる使用については制限を設けるなどの「概念」を持つことができなかったことが最も問題点と思われる。不正とは違って、概念を持てなかったことの不徳だ。

 この「見落とされた概念」が企業の運命を大きく左右することを、一流のビジネスマンであれば知っておいて損はないだろう。短期筋のマネーゲームでは知りえない、長期投資をしたい企業を見極めるときのコツでもある