2017-0717
日本の就労者の就業職種のうち少なからぬ割合を占めるサラリーマンにおける生活様式は、それらの人々自身はもちろん、日本の社会全体の状況を推し量る一つのバロメーターになる。新生銀行では毎年1回、このサラリーマン(など)の日常生活に関する調査「サラリーマンのお小遣い調査」を行い、その結果を報告書として発表している。今回はその最新版にあたる、2017年6月26日に発表した「2017年サラリーマンのお小遣い調査」の結果などを元に、直近、そして近年におけるサラリーマンの小遣い事情を確認していくことにする(【発表リリース:男性会社員のお小遣いは過去2番目に低い金額-「2017年サラリーマンのお小遣い調査」結果について】)。
今調査は2017年4月7日から9日にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2714人。男女正規就業者に加え、男女パート・アルバイト就業者も含む。公開資料で多分を占める会社員(正社員以外に契約・派遣社員も含む)は男性1252人・女性789人。年齢階層別構成比は20代から50代まで10歳区切りでほぼ均等割り当て(実社員数をもとにしたウェイトバックはかけられていないので、全体値では実情と比べて偏りを示している場合がある)。未婚・既婚比は男性が43.6対56.4、女性は64.9対35.1。なお今調査は1979年からほぼ定点観測的に行われているが、毎年同じ人物を調査しているわけではないことに注意。

年齢階層別のおこづかい推移は次の通り。

↑ サラリーマンの平均月額こづかい(単位・円)(-2017年)
↑ サラリーマンの平均月額こづかい(単位・円)(-2017年)

全体としては前年の増加傾向から転じて減額、マイナス445円の3万7428円。後ほど中長期的なグラフを掲載するが、調査の限りでは2011年以降はほぼ横ばいを維持している。単純な額面では報告書題名の通り過去2番目に低い額(最安値は1982年の3万4100円)だが、同時に説明されている通り「マクロ的な視点でみると大きな変化はないと捉えら」れると解釈しても問題はない。他方、幼少時の子供に対する子育て・教育費の家計負担が増したのが要因との分析もあり、大いに注目すべき話には違いない。

金額そのものは50代がもっとも大きく4万4040円、次いで20代の3万5377円、40代が3万5475円、そして30代の3万4785円と続いている。

↑ サラリーマンの平均月額こづかい(単位・円)(2017年、前年比)
↑ サラリーマンの平均月額こづかい(単位・円)(2017年、前年比)

前年比では20代と30代は値を下げ、40代はほぼ同額、そして50代が大きな上昇を示しており、「幼少時の子供に対する子育て・教育費の家計負担が増した」との話にも納得ができる。40代はここ数年大きな下げ幅が続いていたが、どうやら今年で下げ止まりを見せたようだ。

今年だけでなく数年来続いている傾向だが、20代から50代のサラリーマンでは、給与が一番少ないはずの20代ではなく、30代から40代の中堅層が一番、おこづかいの額面では小さな値を示している。子供が居る世帯が多く、家計内でのやりくり事情が影響していると考えられる。

実際、既婚と未婚で区分すると未婚者の方が平均額は高い。未婚者全体では4万3716円、既婚で子供なし・共働きでも4万0693円、既婚で子供あり・専業主婦では3万2939円にまで額が減る。同時に付き合いも増え半ば強制的な出費もかさむこの世代には、氷河期時代が継続中といえる。

いくぶん余談ではあるが、公開されているデータを元に、毎年のサラリーマンの小遣い状況の推移と、日経平均株価(年末の値、2017年は7月14日終値)をかぶせると次のようなグラフが完成する。

↑ サラリーマン平均こづかい(月額)と日経平均株価(年末または直近)推移(-2017年)
↑ サラリーマン平均こづかい(月額)と日経平均株価(年末または直近)推移(-2017年)

グラフの形状、さらには過去の報告書でも指摘されていたが、1991年以降のバブル崩壊後においては、こづかい額は日経平均株価に1年から2年遅行する形で連動する動きを示していた。これはまさに景気対策・政策の実行と、その成果が民間ベースにまで浸透するタイミングと近いもので、興味深い傾向でもある。

2017年においては前年と比べて株価は上昇した(時系列上では1000円ほどのプラス)、つまり経済そのものが堅調さの気配を見せていることになる。しかしながらお小遣い額はほぼ同額、それどころが上記でも言及の通り2011年以降はほぼ変化のない状態が続いている。賃金は上昇を見せているにも関わらず、お小遣いが変わらない・減るのは厳しい話に違いない。減った理由を見ると、「給料が減ったから」以外に「生活費にかかるお金が増えたから」「子供の教育費がかかるようになったから、増えたから」が上位を占めている。

他方公開はされていないものの、今回の各値の直接対象となった男性会社員における正社員と契約社員や派遣社員との間の比率に変化が生じ、それがここ数年続いている中堅層以降の金額を大きく下げさせた要因となっている可能性は否定できない。次年以降の値を注視したいところではある。