もっとも美しい洞窟

 建設会社の社長でありながら、世界中の洞窟に潜り、絶景を撮りつづける探検家・吉田勝次氏(50)。日本の洞窟探検の第一人者として、さまざまなメディアにも登場している。

 1月には初の著書『洞窟ばか』(扶桑社)も上梓した。

「狭い穴に挟まりながら這い進んでいくのは、そりゃ怖いよ。落石や洪水で何度も死にかけたし、洞窟内で遺体を発見して、運搬したこともあった。でも、とにかく洞窟が好きなんだよ」

 洞窟が好きな他にも、彼が危険な冒険を続ける明確な理由がある。『クレイジージャーニー』(フジテレビ系)の中で、吉田氏は「実際に行かないとどうなっているかわからないところ。前人未踏の場所が好き」と述べ、これが一番の目的だと明かした。

 洞窟の探検スタイルも、我々の常識を超えている。まず、各国の詳細な地形図を取り寄せ洞窟がありそうなエリアを探しあて、現地へいく。

 しかし、すぐには探検を開始せずに、下見のみで帰国。その後準備とメンバーを揃えてから本番にのぞむのだ。このため、スタートして、わずか5メートルで終了してしまったことも。

 世界一の「洞窟ばか」とも言える吉田さんに、おすすめする洞窟を聞いてみた。

 吉田さんが「日本でもっとも好きな洞窟」は山梨県にある。地元の人にも知られていない富士山の洞窟。青木ヶ原樹海の中に入口があるが、吉田氏本人にも、うまく場所が説明できないほど、入り組んだ樹海の奥にあるという。中には、鍾乳石の美しい景色が広がっている。

日本でもっとも好きな洞窟

 次に、「もっとも美しい洞窟」とオススメするのは、沖縄県の沖永良部島にある洞窟だ(冒頭の写真)。水と鍾乳石の作る豊かな色彩は、足を踏み入れた者すべてが息をのむ美しさ。ここに吉田氏はさまざまなライトを持ち込み、幻想的な写真を多数、撮影した。この撮影が、より美しい洞窟写真を撮りたいと考えるきっかけになったという。

 最後は、メキシコにある「もっとも深かった洞窟」。直線的な竪穴洞窟としては、世界一の400メートルという深さを誇る。東京タワーがすっぽり入る深さだ。底に行くにつれて穴は広くなっている。周囲の壁が遠ざかっていく中を、一本のロープのみでまっすぐに降下していくため、探検は強い恐怖心との戦いだ。

もっとも深かった洞窟

 吉田さんは、美しい洞窟内の環境を守るため、探検中に出したゴミは必ず持ち帰る。もちろん、排泄物もだ。

「密閉して、ヘルメットの隙間に収めて。ここがいちばん“安全”なのに、誰もまねしようとしない(笑)」

 過酷なエピソードも、彼が話すとすべて明るい笑い話に昇華してしまう。

「もう、言葉なんかいらないからさ。とにかくぜひ、この洞窟の写真を見てみてよ!」
(週刊FLASH 2017年7月4日号)