元シンクロ代表・青木愛氏【写真:編集部】

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【短期連載第3回】元シンクロ代表・青木愛さんが今大会最注目の「おもしろい」種目とは

 水泳の世界選手権(ブダペスト)で熱戦を繰り広げているシンクロナイズドスイミング。プールを華やかに彩る日本代表「マーメイドジャパン」を率いているのが、名将・井村雅代ヘッドコーチ(HC)である。

 長年、日本シンクロ界を牽引し、世界的な強国に育て上げた。一時は中国、イギリス代表でも指導したが、14年から日本代表コーチに復帰。「日本シンクロ界の母」として抜群の知名度を誇るが、教え子として08年北京五輪で5位入賞した青木愛氏は、長い指導歴を誇る恩師の「新たな挑戦」に注目しているという。

 理由は今大会、青木氏が楽しみにしている種目にある。

「個人的に楽しみにしているのは、フリーコンビーションです。14年に井村先生が日本代表に戻ってこられた時は、もともと作られたプログラムでしたが、今回は井村先生自身が初めてプログラムを作られました。井村先生も相当力を入れておられる今回のフリーコンビネーション、要注目です」

 井村HCと言えば、イギリス代表、中国代表の指導を経て、14年に日本に舞い戻った。昨年のリオデジャネイロ五輪では、チーム、デュエットともに銅メダルに牽引。その世界的な名将が力を入れているというから、大きな見ものになる。

馴染みが薄い“水上のバレエ”…井村HCが手がけた挑戦的な演技構成とは?

 しかし、「フリーコンビネーション」といっても、一般のファンには馴染みが薄いかもしれない。それも、そのはず。五輪では採用されておらず、世界大会では、世界選手権やワールドカップでしか見ることができない。

 世界選手権では03年のバルセロナ大会から採用。チームフリーの8人と比べ、2人多い10人で演じる。まるで“水上のバレエ”をしているかのように躍動する、自由度の高い種目だ。青木氏もフリーコンビネーションの面白さを説く。

「1曲の間に、10人で動きを合わせて泳ぐこともあれば、1人、2人、3人、それぞれ別の動きをすることもある。そして、何人で泳いでもいい。正確には何人でこれをしないといけないという決まりはありますが、とにかく5分間で様々な動きを見られるところが魅力です」

 なかでも、井村HC率いる日本は、挑戦的な演技構成に挑んでいるという。

「実際に練習でプログラムを見てきましたが、構成がとにかくおもしろいです。例えば、演技の冒頭で半分に分かれ、それぞれがプールの端まで行ってしまい、戻ってくる。これは泳力がないと絶対にできないことで、そんなところにも井村先生のチャレンジが感じられました」

メダルの可能性も十分…田崎明日花の「柔らかさを取り入れたリフト」にも注目

 プール全体を使ったダイナミックな構成。「あとは田崎明日花選手の体がすごく柔らかい。その柔らかさをリフトに取り入れているところもポイントです」と付け加えた。

 20日(日本時間21日)から行われるフリーコンビネーション。メダルの可能性についても十分あるといい、青木氏は「初めてシンクロを見る方にも楽しんでもらえます」と話した。

 井村HCの下、「水上のバレエ」で挑戦的なプログラムを披露する日本。果たして、世界選手権ならではの種目でファンをどれだけ魅了してくれるのか。注目の5分間となりそうだ。

◇青木 愛(あおき・あい)

 地元の名門クラブ・京都踏水会で水泳を始め、8歳から本格的にシンクロナイズドスイミングに転向。ジュニア五輪で優勝するなど頭角を現し、中学2年から井村雅代氏(現・代表HC)に師事する。20歳で世界水泳に臨む日本代表選手に初選出されたが、肩のケガにより離脱。その後も補欠に回ることが多く、「未完の大器」と称された。北京五輪代表選考会では劣勢を覆し、代表の座を獲得。欧米選手に見劣りしない恵まれた容姿はチーム演技の核とされた。引退後は、メディア出演を通じてシンクロに限らず幅広いスポーツに携わっている。