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起業するにはどんな方法がある?

個人事業主ならスグに起業可能! 

起業というと会社をつくらないといけない、と思うかもしれませんが、最も簡単な起業方法は「個人事業主」として商売を始めることです。「屋号」を決めて商売を行い、個人事業主として確定申告を行えばいいのです。手続きは「開業届」を納税する管轄の税務署、都道府県税事務所に提出するだけです。

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ただし、個人事業主の場合には、
●赤字の繰り越しが3年(青色申告の場合)まで
●社会的信用が低い

といったデメリットがあります。また、個人なので必要経費に認められる範囲が狭いといった点も指摘されるところです。ですので、最初から会社(法人)を設立するという選択もアリですね。会社を起こすなら
「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」
の4種類の中から選ぶことになります。

「株式会社」が最も一般的で、「合名会社」「合資会社」は現在ではつくる人はほとんどいません。「合同会社」は2006年からつくれるようになった新しいタイプの会社で、利益分配がしやすいなどのメリットがあり、少人数での運営に向いています。また、合同会社は株式会社に比べて設立に掛かる費用が安く済むというメリットがあります。ただし、社会的信用を得にくい、また株式を上場しにくいといったデメリットもある点に注意してください。

ですので、起業するには「株式会社」「合同会社」のどちらかを選ぶとよいでしょう。株式会社、合同会社、それぞれ設立に掛かる費用を比べてみましょう。

●株式会社
公証人手数料:5万円
定款印紙代:4万円(電子定款認証の場合は0円)
登録免許税:15万円(最低金額)
定款謄本代:約2,000円
計:約24万2,000円

●合同会社
公証人手数料:不要
定款印紙代:4万円(電子定款認証の場合は0円)
登録免許税:6万円(最低金額)
定款謄本代:約2,000円
計:約10万2,000円

紙の定款(会社の目的・組織・活動・構成員・業務執行などについての基本規則を明記した文書です。会社設立の際には法務局に提出しなければなりません)を利用する場合には、

株式会社:約24万2,000円
合同会社:約10万2,000円

で14万円の差があります。電子定款認証(現在ではPDFでもOKになっています)の場合には、印紙代の4万円が掛かりませんので、

株式会社:20万円
合同会社:6万円

となります。

起業するのに必要な準備

現在では「資本金が1円」でも株式会社がつくれるようになっています。運転資金などお金の問題は置くとしても、株式会社をつくるには以下のものを準備しておく必要があります。

1.商号……いわゆる会社名です
2.本店所在地……その会社の本店をどこに置くのか、その住所。定款に記載します
3.資本金……1円でもいいですが、資本金の額は明記する必要があります
4.株主……資本金を出す株主です
5.印鑑……会社の実印となる「会社印」は絶対必要。定款に押印する必要があります
6.設立費用……上記の金額が必要です
7.定款……会社の目的・組織・活動・構成員・業務執行などについて明記した文書

設立する会社は法務局に「登記」しなければいけません。登記するには定款を提出する必要があります。定款には「商号」「本店所在地」などの項目を書き、また押印をしないといけませんので、1-6の準備は定款作成のための準備といってもいいでしょう。
定款ができたら、公証役場でその定款が正しく作成されたことを証明してもらう必要があります。電子定款認証の場合には、上記のように印紙代4万円が掛かりません。

定款の認証まで終わったら法務局で登記です。登記には以下の書類が必要です。

●登記申請書……法務局に設立登記の申請をする際の申請書
●発起人の決定書……発起人を明記した書類
●資本金の払込証明書……資本金額が入金されていることを証明する書類
●登録免許税貼付用台紙……登録免許税を貼る紙
●定款……公証役場で認証が終わった定款
●役員の就任承諾書……設立時の会社の役員、各メンバーの承諾書(発起人以外が役員になっている場合)
●印鑑証明書……役員の印鑑証明書。役員になるメンバー全員分が必要です(取締役会設置会社の場合は社長の印鑑証明)
●印鑑届書……会社印の印影を法務局に届け出るための書類

登記した後には各種届け出を行う

登記が終わったら、税務署、労働基準監督署などに各種届け出を提出します。必要書類は以下になります。

●法人設立届出書
●青色申告の承認申請書
●給与支払事務所等の開設届出書
●源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
●棚卸資産の評価方法の届出書
●減価償却資産の償却方法の届出書

上記の中で「青色申告の承認申請書」は特に大事です。税制上の特典がある、いわゆる青色申告ができるかどうかは会社にとって大きな問題なのです。

●労働保険 保険関係成立届
●労働保険 概算保険料申告書
●雇用保険 適用事業所設置届
●雇用保険 被保険者資格取得届
●健康保険・厚生年金保険新規適用届
●健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
●健康保険 被扶養者(異動)届

人を雇用する際には保険関連の手続きが欠かせません。起業家として気を付けなければならないポイントです。

合同会社の登記に必要な書類

次に合同会社を設立するのに必要な書類です。合同会社を登記する場合にも「定款」が必要なことは変わりありません。ですから必要な準備も株式会社とほとんど同じです。会社の実印たる「会社印」も必要になります。ただ、登記に必要な書類は少なくて済みます。

●登記申請書……法務局に設立登記の申請をする際の申請書
●代表社員の印鑑証明書……社長の印鑑証明です
●払込証明書……資本金が振り込まれたことを証明する書類
●印鑑届書……会社印の印影を法務局に届け出るための書類
●定款……会社保存用と法務局提出用の2部

これらの他に「代表社員就任承諾書、本店所在地決定書および資本金決定書」などが求められる場合もあります。

資金調達は正攻法なら金融機関に!

資金調達の正攻法は金融機関にお金を借りることですが、これがけっこう大変です。筆者も経験がありますが、会社が出来たてで大手銀行にお金を貸してくれと訪問してもまず相手にされません。ある程度会社を運転して、きちんと利益を出し「このような投資を行うので融資してほしい」という話を持っていかないと門前払いです。

信用金庫の方は大手銀行よりもまだハードルが低いですが、起業したての会社にはなかなか融資は下りないでしょう。ですから起業したてで資金を集めるのは難しいのが現実です。

最も可能性があるのは、信用保証協会が保証してくれる「制度融資」です。この保証によって民間金融機関からの融資が受けやすくなる、というもの。全国に51(47都道府県+横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市)の信用保証協会がありますので、まずは相談してみるのが良いでしょう。

⇒『一般社団法人 全国信用保証協会連合会』
http://www.zenshinhoren.or.jp/

最近ではクラウドファンディングで資金を集める、という方法も注目されていますので、これを試してみるというのもアリです。ただし、ビジネスアイデアをマネされ、誰かに先に実行されるという可能性もありますので注意しなければなりません。

起業するにはどうすればいいのかについてご紹介しました。会社をつくるための準備では、「これがいる」「まずはあそこに行って……」とまるでRPGのように、あちこち駆け回らないといけません。お金があれば司法書士さんに丸投げしてやってもらうことが可能ですが、商号を考えたり、社印を発注したり、資本金・運転資金を用意したり、などは創業者がやらなければなりません。起業・会社設立を考えているみなさんは、これらの面倒を乗り越えて素晴らしい船出をしてくださいね。

(柏ケミカル@dcp)