多士済々のタレントを要するセビージャ。その心臓となるのがエヌゾンジ(右端)だ。(C)Getty Images

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 現在、来日中のセビージャは、7月17日にセレッソ大阪、22日に鹿島アントラーズと対戦する。
 
 リーガ・エスパニョーラでは、レアル・マドリー、バルセロナ、アトレティコ・マドリーの「3強」に続く第2グループの筆頭格で、昨シーズンはその3チームに次ぐ4位。チャンピオンズ・リーグ出場権(4位以上)を獲得している。
 
 近年は欧州の舞台でも結果を残し、ここ11シーズンでヨーロッパリーグを5度も制覇。2013-14〜15-16シーズンには前人未到の3連覇を達成している強豪だ。
 
 セビージャと言えば、「育成」と「発掘」にも定評がある。いまや世界最高のDFのひとりとなったセルヒオ・ラモス(現R・マドリー)をはじめ、ヘスス・ナバス(マンチェスター・シティを退団し、現在は無所属)やホセ・アントニオ・レジェス(エスパニョールを退団し、現在は無所属)などがこのクラブの下部組織出身だ。
 
 前スポーツディレクターのモンチ(現ローマSD)が確立した「安く買って高く売る」という補強戦略は欧州でも有名。その最たる例が、ダニエウ・アウベス(現パリSG)だ。ブラジルのバイーアからわずか55万ユーロ(約6600万円)で獲得し、6年後にバルセロナに3550万ユーロ(約42億円)で売り捌いたのだ。
 
 ほかにも、イバン・ラキティッチ(現バルセロナ)やルイス・ファビアーノ(現ヴァスコ・ダ・ガマ)、カルロス・バッカ(現ミラン)、グジェゴシュ・クリホビアク(現パリSG)などがセビージャで名を揚げている。
 
 いわばメガクラブへステップアップを果たす「一歩手前」の選手が数多く在籍しているのが、セビージャというクラブだ。今回はそんな中から注目すべき3選手を紹介する。
 
 1人目は、フランス人MFのステベン・エヌゾンジだ。190センチ・88キロの恵まれた体躯とリーチの長さを活かしたボール奪取が特長のアンカーで、大柄ながら足元の技術も高い。頻度は多くないものの、機を見て繰り出す前線への持ち上がりは迫力満点だ。
 
 昨シーズンの活躍で評価が気上昇し、ユベントスやインテル、パリSGなどのメガクラブがこぞって獲得に興味を示している。
 2人目は、左利きの技巧派MFフランコ・バスケス。持ち味は抜群のキープ力で、スピードはないものの、簡単にボールを失うことはほとんどない。シュートセンスもあり、得点力の高さも魅力だ。
 
 脚光を浴びるようになったのは、パレルモでプレーしていた14-15シーズン。その後ユベントスで世界有数のストライカーへと成長したパウロ・ディバラと“縦のツートップ”を組み、昇格チームを11位へと躍進させた。アルゼンチン出身ながら、15年3月には母親の祖国であるイタリアで代表デビューを果たしている。
 
 そして最後に紹介したいのが、今年の1月にナンシーから加入したフランスU-21代表DFのクレマン・ラングレだ。CBでも左SBでも機能するレフティーで、高いフィジカル能力を誇りながら、それに頼ることのないクレバーな守備が光る。左足のフィードも正確だ。
 
 前述の3人の他にもインテルから1年ぶりに復帰したアルゼンチン代表の司令塔エベル・バネガや、来日直前にサンプドリアから加入したコロンビア代表の快足FWルイス・ムリエルなど、ほかにも有能なタレントを抱えるセビージャ。Jリーグの首位争いを演じる2チームに対し、どんなサッカーを見せてくれるのか――。注目だ。
 
文:ワールドサッカーダイジェスト編集部