『文春にバレない密会の方法』(キンマサタカ著・太田出版)

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「文春砲」が暴く、数々の不倫が世間の耳目を引いている。だが後ろめたい“交際”で周囲に気を配らなければならないのは、何も芸能人に限った話ではない。ライターのキンマサタカ氏の著書『文春にバレない密会の方法』(太田出版)より、ビジネスなどにも応用可能な「密会」のコツを紹介する。

■密会するなら天王洲

密会において悩ましいもの、それは逢引きする場所選びだ。都内に勤めるカップルならば、近場でご飯を食べて、そのあとホテルにしけこむスタイルが一般的だろう。重要なのはホテル選びだ。ご飯を食べているところを目撃されても言い逃れできるが、万が一にもホテルに入るところを押さえられたらシラを切るのは不可能に近い。

そこで最良のホテル選びのコツを考えたい。大切なのは人目につかないことだ。

たとえば、品川天王洲アイルにある「第一ホテル東京シーフォート」。都心からもタクシーで20分程度とアクセスは抜群だが、天王洲はオフィス街で夜になると人通りも少なく、住民の姿もほとんど見えない。さらにこのホテルのエントランスは地下にあるため、タクシーで地下に降りて、そのまま人目につかずにチェックインすることができる利点がある。

帰るときはホテルの目の前を走るモノレールとタクシーを使えば、別々に帰宅できるうえに、都心へのアクセスの良さから終電ギリギリまで楽しむことが可能だ。

普段とは違った視点で街を見直すことで、最良の密会場所が見つかる。

■尾行をまくなら奥渋谷

尾行は2人1組が基本だ。車で移動する場合は、もちろん車であとをつける。車を降りたら、1人は後を追い、もう1人は基本的に車で待機する。急な移動に備えるためだ。一見万全に見える尾行だが、弱点もある。それは、車が入りづらい路地に入られると、一瞬にしてワンオペになってしまうのだ。

くねくね曲がりくねった街は、尾行するのがとても難しい。すぐに見失う危険があるし、近づきすぎると、尾行に気づかれる恐れがあるからだ。車は入りづらいし、バイクで侵入すると目立ってしまう。

以上のことから、渋谷のラブホテル街のような、狭い路地にホテルが密集した地域を歩くことを勧めたい。タクシーで移動して、狭い路地に入る。ここからは早足で、角を何度も曲がる。

そして角を曲がったら後ろを振り向いて、向こうから歩いてくる人をじっと見つめる。不自然に目を合わさないとしたら、それは尾行の証拠だ。違和感を覚えたとしたら、その勘はおそらく正しい。

気づかれていると思った瞬間に、尾行者は調査を終了する。念のためその日の密会はお開きにして、会うまでの期間を空けたい。

■途中でタクシー移動を挟め

徒歩で尾行中の探偵や記者が一番困るのが、街中で突然タクシーに乗られることである。もちろん近くに車両を待機させている場合が多いのだが、移動の最中に急にタクシー移動されたため、運良く直後にタクシーを捕まえられなかったので見失ってしまったというミスも起こりうる。

つまり密会の移動には普段からタクシーを挟むべきなのだ。Uberなどのサービスを使えばスマートだし、滅多にタクシーが走らないところでも車を捕まえられる。もちろん後続の空車はなかなか来ない。探偵と記者は途方にくれるだろう。

途中で落ち合ってホテルに向かうと目撃のリスクが増す、ということなら、現地集合・現地解散もいい。ホテルの部屋で待ち合わせて、そこで解散する。味気ないかもしれないが、事前に待ち合わせの連絡をしておけば、リスクは最大限に回避できる。

ホテルを出た後は、自分よりも相手を尾行される可能性が高い。密会相手の身元を特定するためだ。

街中で密会相手だけをタクシーに乗せたら、その後に不審な車が後をつけていないかを確認するクセをつけて欲しい。

■待ち合わせは市役所の駐車場

車を使った密会の待ち合わせに最適な場所はどこか。これは永遠の命題である。目撃されず、車を置ける場所はどこかにないものか。

オススメしたいのは、市役所や図書館などの駐車場だ。ショッピングセンターと比べて車の出入りが少なく、特に夜の出入りが可能な駐車場はひと目にもつきにくい。役所の駐車場は夜10時近くまで利用可能なところも多く、安全な待ち合わせ場所となる。

ショッピングモールの駐車場に車を置いて、相手の車に乗り込むのも、ごく一般的な密会方法である。車が置いてあっても違和感はない場所だが、過度に長時間の駐車は怪しまれる可能性もある。長くても3時間以内にすべきだ。相手の車に乗り込む場合は、違う階に車を置いてから、最上階などの人通りの少ない階に移動して、出口から少し離れた柱の陰ですっと乗り込むのが一番安全だ。

万全を期したつもりで、空いている階に駐車するのはナンセンス。周囲の車が出庫してしまった場合、逆に目につきやすい。わざわざ人通りが少なく、エレベーターから遠い場所にポツンと停められた車は怪しすぎて目立ってしまう。

(キンマサタカ)