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5位:アストン マーティンDB11

この21世紀に逆行するような、V12かつFRの2+2GTクーペを造る英国メーカーというだけで、その素晴らしき時代錯誤ぶりは称賛に値する。

しかもその新型であるDB11は、アストン マーティンが長らく継承してきたブランドの強みをほぼ受け継いでいる。これは単なるクルマ造りの域を超え、もはや種の保存とでもいうべきもの。新しいのに、どこか懐かしさもある。

そうした存在そのものが、DB11の、なににも勝る素晴らしさだ。いうまでもなく、これは真正のアストン マーティンである。

V12サウンドはリッチで魅惑的。乗り心地は過去のいかなるDBモデルをも凌ぎ、それでいてMIRAサーキットでポルシェ911ターボSやベントレー・コンチネンタルGT3-Rに迫るラップタイムを叩き出す。

メカニズムや装備は、フォード傘下の頃よりよくなった。DB11は、アストンにとってこれまでにないほど大きなステップアップだ。

ただ、このクルマにはまだまだ改善の余地がある。そのため、今回のトップ5で頂点に輝くことはなかった。

しかし、おそらく今回のDBモデルもライフスパンは長く、その間にさまざまな改良が施されるだろう。もしも10年後にこの企画を行ったとしても、少なくともベスト50には選出されるはずだ。

4位:フォルクスワーゲン・ゴルフR

24位に、GTIを含めたゴルフはランクイン済みだ。このうえ、Rだけを切り離して語ることがあるのかと疑問に思うかもしれない。

一見するとこれも他のゴルフと同じように、簡単なマイナーチェンジを受けただけだ。しかし、その実は外観やインフォテインメントシステムの改修だけでなく、パワーもトルクも向上している。

それでいて、改良前のモデルにあった美点はすべてそのままだ。そこが素晴らしい。新たに得たものが、なにがしかの犠牲の上にあるのではない。

われわれのオフィスでの会話には、ポルシェ911やレンジローバー、マツダMX-5(日本名:ロードスター)と並んでゴルフRの名がしばしば登場するが、それはこのクルマがわれわれの納得できるベンチマークの1台であるということだ。

パフォーマンス向上を図った結果、ガッカリするようなものに成り下がるクルマも少なくないが、これはそうではなく、沈着さ、屈強さ、本質や狙いなどに揺るぎはない。

その大きな要因が、ゴルフのエルゴノミクスの精密さだ。さらに元気なEA888エンジンや粘り強い4WDシャシー、期待以上の乗り心地などが相まって、素晴らしい運動性能を印象付ける。

結果として、トップ5入りに疑問の余地はない。ゴルフRは、走りも実用性もハイレベルで両立したいときの最有力候補だ。価格は多少張るが、バリューフォーマネーは極めて優秀だ。

3位:アルファロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ

ジュリア・クアドリフォリオで、最も驚かされるのはゼロ加速だ。ジュリア登場まで、アルファロメオは後輪駆動セダンを長らく造っていなかった。

V8にも、基本的に手を出していない。4Cを別にすれば、最近のモデルはスポーティさも平凡なレベルだ。

となれば、BMW M3やメルセデス-AMG C63へのチャレンジは失敗に終わりそうなものだが、そうはならなかった。

それどころか、予想以上にデキが良かったのだ。これこそアルファ、と呼べるものがついに現れた、と言えるかもしれない。とてつもなく素敵で、欠点はあっても感情的に逆らいがたい魅力がある。

その源は、ジュリアのあまりにも長くかかった開発の過程にある。

何度も白紙に戻し、主要部分の妥協はトップダウンで拒否された。フェラーリとも密接に協力し、マラネロの最先端技術も投入されている。

ポルシェにはヴァイザッハが、ルノーにはディエップが、メルセデスにはアファルターバッハがあるように、アルファにはマラネロが力を貸し、その成果がこのクアドリフォリオなのだ。

天使の羽根を思わせる軽さのステアリングは、正確さと鋭さも備える。軽く陽気なフィールは、重く神経質なドイツ勢とは対照的だ。

シャシーは打てば響くようなレスポンスを最優先事項とし、ノーズは活気いっぱいに向きを変える。

エクスムーアの狭い道でも、晴天に恵まれ、速度制限もある状況下では、パワフルな後輪駆動であることがクアドリフォリオの足枷にはならなかった。

バランスがよく、安心感があり、活気に富んでいることが、すべて一瞬のうちに感じ取れる。もちろん同時に、ブレーキの反応の鈍さや燃費の劣悪さ、触れる部分の質感やあまりにも楽観的な値付けといった欠点もある。

それでも、このジュリアの並外れた、期待以上の資質はそれらを上まわるほど魅力的だ。

2位:マクラーレン570S

普段なら、こんな道でスーパーカーの走行シーンを撮影するような危険は冒さない。今回はレアケースだ。まっさらなマクラーレン570Sを走らせているのは、狭い上に、メンバーの誰も来たことがないコースである。

いつもなら、ウェールズの山あいを縫うワインディングに持っていくところだ。いや、実際にそこまで行ったのだ。その日は朝から雲が立ちこめ、やがて吹き付けてきた雨が地面で巻き上がり、谷を埋めるような状況となった。

これはスーパーカー向きの天候じゃないと判断したわれわれは、逃げ場を探して、エクスムーアに辿り着いたのである。

そこは狭いだけでなく、轍と穴がそこかしこにあり、部分的にはセンターラインもなく、所々が補修中だった。ウェールズの天候と同じくらい、この道路はモダンなミッドシップのマクラーレンを楽しむのに向いていないと思われた。

しかし、そうではなかった。

570Sは、そんな道にも十分に順応できることを示したのである。ノーマルモードでも、サスペンションは道路の不整をみごとに吸収した。

信じがたいほど精密で、重さも完璧であり、一定のペースと素晴らしいインフォメーションを備えたステアリングは、タイトで滑りやすい山間路でみごとなハンドリングを見せる。

グリップとボディコントロールは、期待されるレベルを文句なく満たしている。ピレリPゼロ・コルサが濡れた路面に叩きつけるパワーは570psにものぼるというのに、過敏さや神経質さは微塵もないのだから驚きだ。

しかも、前日には同じクルマでタイムアタックを行い、倍の価格を求められるようなクルマに遜色ない性能を、われわれは見せつけられている。

同程度の価格で、カーボンシャシーを持つミッドシップスーパーカーがあったなら、それはきわめて特殊なスポーツカーだろう。

これほど幅広い状況に対応し、自信を持って走らせられるのは570Sだけだろう。

マクラーレンではかつてP1にも乗ったし、570GTや720Sにも試乗した。それでも、やはり570Sはたぶんそれらにも増してクルマ好きに訴えかけるものがあると思える。

マクラーレンのクルマ造りにおける美点のすべてが、ここには詰まっているように感じられるのだ。

無駄なものを削ぎ落とし、エッセンスを集めたようなそれは、最もシンプルで、比較的安価で、しかも魅力的なマクラーレンである。

1位:ポルシェ911GTS

1%あそび以外の99%をいかに楽しませるか

GTS仕様が登場していなければ、ポルシェ911が今回の勝者になることはなかっただろう。

GTSは単一車種ではなく、いうなればチョコレートを詰め合わせたパッケージだ。その中には、さまざまな味や色とりどりの包み紙が入り交じっている。

タルガもあればカブリオレもある。MTとPDKがあり、4WDも待機中だ。

今回選んだのは、詰め合わせのなかでも最も「いいところ取り」ベーシックなGTSだ。つまり、MTで後輪駆動のクーペである。そして、それが勝利を掴んだのだ。

50年以上に渡り、ユーザーは911のさまざまな選択肢を提示されてきたが、結果は常に「シンプル・イズ・ベスト」、さもなくば「レス・イズ・モア」だった。あれこれ付け足すほどに、オリジナルの持つ魅力は損なわれていくのである。

このGTSの魅力は、先代のそれと同じバッジを付けながら、その能力が新たなレベルへ生まれ変わったことだ。これが単にドライバーズカーとして優れているというだけなら、頂点に輝くまでには至らなかっただろう。

エンスージァストとしては、寂れた田舎道での運転を、忘れられない経験に変えてくれるようなクルマを求めている。

とはいえ、そんな機会は日々の生活の中で1%にも満たない。残り99%以上の時間を無駄にするようなクルマであれば、人生における価値もおもちゃ程度にしかならない。われわれは、そんなものをこの場に持ち出したりはしたくない。

911 GTSならば100%働いてくれる

その点、このGTSは100%働いてくれる。黒い塗装のセンターロックホイールや、アルカンターラのトリムは目をも楽しませてくれる。

標準仕様のスポーツスプリングとアダプティブダンパーが生む乗り心地は秀逸だ。巡航時の静粛性は高く、視認性は全方位とも素晴らしい。

緊急用レベルとはいえリアシートを持ち、驚くほど大きなラゲッジスペースと、アプリ満載の新型インフォテインメントシステムも備える。申し分ない日々のパートナーになってくれるというわけだ。

そして、今回のようなコースでは、GTSは570Sに劣らずついていく。マクラーレンのずば抜けた速さも、911のコンパクトさに相殺されてしまうからだ。

しかも、GTSは911ターボより145kgも軽い。ステアリングホイールは手の内で穏やかに動き、シフトレバーは兵器のような精密さで変速を行い、ボディコントロールは必要最低限程度の動きのみを許容してふわつくことはない。

要するに、結論は簡単だ。そのクルマがどれだけ楽しいかは、どれだけ運転が楽しいかで決まり、その程度は運転に夢中になれる機会がどれだけあるかに左右される。

その点においてポルシェ911GTSは、もっと正確に言うなら今回の仕様の911GTSこそ最高なのである。