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散歩中に犬の尻尾が車にひかれてしまったが、運転手から治療代などを請求できるのでしょうかーー。こんな相談が弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられました。

投稿者によると、犬の尻尾をひいた車はそのまま通過、後に運転手を特定したが、ひいていないの一点張りで埒があかなかったそうです。話し合いで解決したかったが、警察に行ったほうがいいのか悩んでいるそうです。

車の運転手に犬の治療費などを請求することはできるのでしょうか。石井 一旭弁護士に聞きました。

●客観的な証拠を集めて、飼い犬が負傷した証明をする必要がある

まず、相手方が事故の存在を否定していますので、こちら側で、事故があったこと、それにより飼い犬が負傷したことを証明しなければいけません。

犬の負傷については動物病院の診断書や怪我の写真などによって証明できますが、事故があったことについては、防犯カメラの映像や目撃者の存在、相手車に犬の毛が付着していることなどといった客観的な証拠を集められない限り、残念ながら証明は難しそうです。警察も、過去の事故については、ある程度の証拠がなければ取り合ってくれないでしょう。

●治療費請求は原則として犬の時価相当額が上限となる

立証の問題がクリアできれば、加害者にペットの治療費を請求していくことができます。ただし、犬を含めた動物は、法律上「物」としか扱われておらず、「物」の修理費用については、その物の時価相当額が賠償の上限とされています。そのため、犬の治療費も原則としてその犬の時価相当額が上限となります。

ただし、生命を持ち、家族の一員ともいうべきペットを単なる「物」と同視して扱うことは不適当だとして、時価相当額を念頭に置いた上で、当面の治療や生命の維持確保に必要不可欠な治療費については社会通念上相当と認められる限度において賠償を認めるとした裁判例もあります(名古屋高裁平成20年9月30日判決)。

なお、ペットの飼い主にも事故発生の責任の一端が認められる場合は、過失相殺によって賠償額が減額されます。

リードをきちんとつけて道路の端を注意深く歩いていたのであれば飼い主の過失は小さくなるでしょうが、本来歩行すべきでない道路中央を歩いていた場合は、飼い主の過失が大きく、したがって相応の金額を減らされることになります。

(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
石井 一旭(いしい・かずあき)弁護士
京都大学法学部、京都大学法科大学院卒業。司法書士有資格者。交通事故・相続・不動産問題等を多く手がける。ペットを巡る法律問題にも関心があり、ペット法学会・ペットの法と政策研究会に所属、日々知見を深めている。
事務所名:大本総合法律事務所 大阪支店
事務所URL:http://www.ohmoto.biz/