秋津壽男“どっち?”の健康学「疲労回復、リラックス効果のある風呂。体に負担のない温度はどのくらい?」

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 暑さが真っ盛りになり、1年でいちばん汗をかく季節がやってきます。この時期は歩いているだけでも汗が滴り落ちてきます。また、寝ている間も汗をかくので、朝風呂に入ってから出勤する人も少なくないはずです。

 体臭が気になる人は、今の時期、できればシャワーではなくお風呂に5分ほどつかってください。お風呂で汗をかくと、食べ物や生活習慣でたまる「臭いの元」=アンモニア成分や脂質が体内から出るため、汗臭くなる確率を減らすことができます。

 さて、ここで問題です。暑い時期は「熱い風呂」と「ぬるい風呂」、どちらに入るべきでしょうか。

「江戸っ子が好む」と言われる熱い風呂の場合、長くつかるほど肌がヒリヒリして「イタ気持ちいい」ですが、熱いのがダメな人は「ひたすらつらい」だけです。

 熱い風呂は刺激が強く、血圧が上がって交感神経が高まります。つまり、心臓や脳の血管系によくありません。

 体に熱のストレスが加わると、防衛するべくヒートショックプロテイン(HSP)が分泌され、免疫力が高まるなど効果的だとの説もあります。

 40〜42度の風呂に10分ほどつかるとHSPが出るそうですが、高齢になるほど前述の「熱い風呂による副作用」というリスクが生じます。

 温泉の露天風呂につかったあと、冷たい風に当たると気持ちいいものですが、血圧上昇を伴うため、浴槽から出た直後、急な血圧低下で倒れることがあります。特に飲酒をした場合、転倒事故や脳卒中に見舞われることもありますが、こうした危険は「極端な温度差」から生じるのです。

「ぬるい風呂では入った気がしない」と言う人もいるでしょうが、ぬるめのお湯だと血管が拡張して血圧は下がります。お湯がぬるくても長めに入れば、体に負担をかけず、少しずつ汗が出せます。

 首までつかると心臓に水圧がかかるとも言われますが、入浴時の水圧など微々たるもので、気にすることはありません。それならばうつ伏せで寝るほうが高圧力です。

 その点、半身浴は風呂に長時間入る方法の一つです。ぬるくても5分すれば体は温まってきますので、ぬるめの風呂に半身浴で5分入り、いったん出て5分休憩してから全身浴をするなどの「インターバル入浴」がオススメです。

 つまり、ぬるめの風呂に長くつかるほうが、リスクなしで体を温めてくれるのです。冷え性対策にも効果的ですし、入浴本来の効果である「リラックス効果」も期待できます。

 熱い風呂よりもぬるい風呂のほうが眠くなるのも、体によけいなストレスがかからないからです。

 最後に、風呂の温度で考えてみましょう。

 某サイトの「お風呂の温度設定アンケート」を見ると「38〜40度」がトップで、次いで「40〜42度」「35〜38度」という順番でした。やはり37度以下ではぬるすぎ、43度以上では熱いと感じる人が多いようです。体温と同じだと冷えますので、体温より1〜3度高い38〜40度が適温と言えます。余談ですが、たけし軍団名物「熱湯コマーシャル」は50度もあったそうです。

 私の場合、38度くらいの風呂につかり、濡れてもいい読み捨ての雑誌を読んでいます。長めにつかって熱くなってきたら、半身浴にして、また冷えてきたら全身浴で雑誌を読む、という入浴法を実践しています。

 この入り方はリラックスできて疲労も取れ、同時に知識も得られるので一石三鳥なのです。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。